2月18日出場!スキークロス須貝龍、オリンピックメダルにかける想い

過去2大会で男子日本代表選手を派遣することができていない、フリースタイルスキー・スキークロス。日本で誰もまだ到達したことのない高みをめざし、アルペンスキーから競技転向して挑む、須貝龍の北京2022への挑戦に注目しよう。

文: Risa Bellino
写真: 2021 Getty Images

アスリートを突き動かす原動力のひとつとなる、最大の目標「オリンピック」

北京2022冬季オリンピックでは、平昌2018より7種目多い、15競技・109種目が行われる。

そのオリンピックでのメダル獲得の道を切り開くため、平昌大会で日本代表の夢を叶えられなかった須貝龍(すがい りょう)は、2018年の夏、自身のスキーキャリアにおいて最大の決断を下した。

須貝龍:FISアルペンスキーワールドカップ=2017年11月29日ビーバークリーク
写真: 2017 Getty Images

夢実現のための競技転向

アルペンスキーの花形種目と言われるダウンヒル(滑降)とスーパーG(スーパー大回転)、そしてアルペンコンバインドで世界を目指し、ワールドカップに参戦していた唯一の日本選手であった須貝は、自身の最高順位を出した2017/2018シーズンに、自分の成長を実感する一方で、オリンピック日本代表の座を逃し、トップとの差を痛感。

新たな4年間に挑もうとした時、自分のスキー人生の中で世界一の目標を達成できる期間が限られていることを考えたときに出した答えが、スキークロスへの転向だった。

FISフリースタイルスキーワールドカップ・スキークロス=2019年12月14日オーストリア
写真: 2019 Getty Images

アルペンスキーで培ったパワーとスピード

スキークロスは、他のフリースタイルスキー種目とは異なり、採点ではなくタイムレースの予選と順位を競う決勝で構成される種目であり、高速系と技術系両方のアルペンスキーを経験していた須貝の、これまでの力を発揮できるところが多くある。

実際のことろ、日本だけでなく、これまでの全オリンピックチャンピオンを含め、世界のトップスキークロス選手のほぼ全員がアルペンスキーの経験者だ。スキークロスワールドカップ初代総合王者で、日本男子で唯一オリンピックに出場した瀧澤宏臣も、アルペンスキーからモーグルを経てスキークロスの道に進んだ選手で、バンクーバー2010に出場した福島紀子、平昌2018に出場した梅原玲奈も同じ転向組だ。

瞬時の判断力や高い技術が要求されるスキークロスの魅力は、複合的なスキルが必要となる、その難しさでもある。ウェーブ、ジャンプといった連続した起伏と、バンクと呼ばれるカーブセクションがある約1kmのコースを滑走するスキークロスは、予選では、トーナメントのシード順を決めるタイムトライアルをひとりずつ行い、1回戦から決勝では各レース4人で競い、上位2人が次戦に進出できる。一瞬の駆け引きで順位が入れ替わり、集団で高速滑走する中で、他の選手との接触のリスクもあり得るスリリングな競技だ。

「人と一緒に滑るって事は様々な状況に対応しなければいけない。同じ状況なんてなく、誰が勝つかはゴールをするまで分からない」-須貝龍・Instagram

多くのスキー選手と同様に、須貝も幼少期からスキーをはじめ、数々の大会に出場しながら長年世界レベルの技術を磨いてきた。しかし、アルペンスキーの5種目中3種目で日本ランキング1位を獲得したことのある須貝でも、新たな競技に向き合うことは大きな挑戦だった。

繋ぐオリンピックメダルへの想い

スキークロスへの適性や素質があったとはいえ、新たに飛び込んだ世界で、須貝を急成長させてくれたのは、同じ志を持った仲間たちだった。

2018年夏からタレント発掘育成事業合宿などに参加し、日本スキークロス界第一人者である瀧澤から指導を受けたり、遠征先では他国の選手とコースについて意見交換をするなど積極的に先輩アスリートからの意見を取り入れ、自分のものにしてきた。

競技転向から1年を経たずに出場したワールドカップデビュー戦で、15位。翌シーズンは2回のTOP10入りを果たすと、3シーズン目には見事銀メダルを獲得し、日本男子14年ぶりのワールドカップ表彰台の快挙を成し遂げる。

4シーズン目となった今季は、北京2022の会場で行われたオリンピックテスト大会も兼ねたワールドカップ開幕戦で、7位入賞と良いスタートを切った。

瞬く間にポテンシャルを開花させた須貝は、頭脳戦+スキー技術を要するスキークロスへの挑戦を、転向当初から「楽しい」と話す。

「自分の滑りに集中しつつも、対戦相手の気持ちを考えながら滑る。アルペンとはまた違う面白さがある」-須貝龍・Instagram

アジア勢メダル第一号の獲得に向けて、30歳で迎える須貝の初のオリンピックが、いよいよ始まる。

北京2022フリースタイルスキー・スキークロスは、日本時間2月18日(金)12:45~シード決定戦から決勝までがすべて1日で行われ、メダリストが決定する。

この4年間の挑戦で得てきた力を、思う存分発揮してほしい。

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