8月12日に最終日を迎えたIFSCクライミング世界選手権2023。ボルダー&リード複合の男子決勝が行われ、日本代表の楢崎智亜(ともあ)が3位となり、上位3人に与えられるパリ2024オリンピック出場枠を獲得した(※)。
優勝はリードでも金メダルを獲得したヤコプ・シューベルト(オーストリア)、2位はコリン・ダフィー(アメリカ合衆国)。日本からもうひとり決勝に進出していた16歳の安楽宙斗(あんらく・そらと)は4位となった。
ボルダー&リード複合の男子決勝は、現地時間午後4時にボルダーの戦いから幕を開けた。楢崎は自身が得意とするボルダーで用意された4つの課題を、すべてトップまで上り詰めて(完登して)首位で決勝後半のリードを迎えると、リードではベテランのアダム・オンドラらも苦戦した中盤の地点で落下。ボルダーとの合計点を156.7とした。
この時点で楢崎は、直前にクライミングを行ったシューベルトに次ぐ暫定2位に立ったが、直後にダフィーが合計160.7ポイントをマークして楢崎は暫定3位となり、パリ2024オリンピック出場枠の行方は、最終演技者でリードを得意とする安楽のパフォーマンスを待つことに。
楢崎が3位でパリ2024のチケットをつかむか、それとも16歳の安楽が楢崎を越えて表彰台にたどり着くのか。
ボルダーで85ポイントを獲得していた安楽と暫定3位に立っていた楢崎のポイント差は71.7。緊張を感じさせない冷静な様子で登り進めていった安楽だったが、37+(64.1ポイント)に差し掛かったところでホールド(突起物)をつかむことができず落下。合計149.1ポイントとなり、楢崎の3位、安楽の4位が確定した。東京2020の複合では表彰台にわずかに届かず4位となった楢崎が、再びオリンピックでその悔しさを晴らすチャンスをつかんだ。
周囲から結果を知らされた楢崎はすぐにステージを降りると、会場にいた東京2020銅メダリストで妻の野口啓代さんやサポートチームのもとに駆け寄り、涙を流す啓代さんを抱きしめ、喜びを分かち合った。直後のインタビューで啓代さんのことについて聞かれると、「自分以上に緊張しているんじゃないかというくらいで、すごく応援してくれていたので、啓代の前で表彰台に立てたのは嬉しいです」と喜びを語った。
男子ボルダー&リード複合決勝の結果
- ヤコプ・シューベルト(オーストリア)183.6
- コリン・ダフィー(アメリカ合衆国)160.7
- 楢崎智亜(日本)156.7
- 安楽宙斗(日本)149.1
- トビー・ロバーツ(英国)143.4
- アダム・オンドラ(チェコ共和国)141.2
- イ・ドヒュン(大韓民国)127.1
- ポール・ジェンフ(フランス)102.8
※各国代表に関しては国内オリンピック委員会(NOC)が責任を持っており、パリ2024への選手の参加は、選手が属するNOCがパリ2024代表選手団を選出することにより確定する。