スノーボーダー岩渕麗楽、4位からの成長の証 

16歳で出場した平昌オリンピックは悔し涙の4位。スノーボードの岩渕麗楽がビッグエア、スロープスタイルでその存在感を増している。 

文: Chiaki Nishimura
写真: Getty Images

小柄な体で板を自在に操り、雪の上を舞うスノーボーダー、岩渕麗楽(れいら)。2017年9月のワールドカップデビュー以来、22戦中20戦で10位以内に入り、表彰台に立つこと10回、勝利数は7(ビッグエア6、スロープスタイル1)を数える。さらに、Xゲームでも好成績を残し、招待制のデューツアーにも参戦するなど、国際的トップアスリートとしての道を着実に歩んでいる。

だが、国際舞台での実戦も少ないままに出場した4年前の平昌オリンピックスノーボードでは、惜しくも表彰台を逃し4位。「4年後に戻ってくる」と宣言してからそれだけの月日が流れ、まもなくその時を迎えようとしている。2月4日に始まる北京オリンピックでの活躍が期待される岩渕の、この4年間を辿った。

ワールドカップデビューから5ヶ月の大舞台

3位か、あるいは4位か。たった1つの順位の違いだが、オリンピックにおいては大きな隔たりがある。だが、つかみ損ねたメダルにあえて希望を見るとするならば、若きアスリートにとっての4位は未来への原動力となるのかもしれない。

平昌2018のおよそ5ヶ月前にワールドカップデビューを果たした岩渕は、初戦のスロープスタイルで4位に輝くと、12月のビッグエアの大会で初勝利を飾り、平昌オリンピック行きの切符を手にした。

当時の年齢は16歳で、日本選手団の中でも最年少。平昌大会直前のXゲーム・ビッグエアで2位の成績を収めるなど絶好調の高校生に、バンクーバー大会の浅田真央(フィギュア)を超える冬季オリンピックの日本女子最年少メダルへの期待も寄せられた。

だが、環境が慌ただしく変化する中で迎えたオリンピック最初の種目スロープスタイルでは14位。岩渕は気持ちを切り替え、ビッグエアに臨んだ。ビッグエアの決勝では選手らは3本滑走し、そのうち2本の合計点数で競われる。岩渕は1本目をキャブ900で決めて79.75点をマークすると、2本目、3本目で、Xゲームの2位につながったバックサイドダブルコーク1080で勝負に出る。しかし、着地がうまく決まらずメダルには一歩及ばなかった。

岩渕麗楽=平昌2018スノーボード女子ビッグエア
写真: 2018 Getty Images

金メダルのアンナ・ガサー(オーストラリア)とは40点近くの差がつけられたが、若きアスリートに無限の可能性を見た人も多かったに間違いない。岩渕は表彰台に届かず涙を浮かべたが、自身のインスタグラムでは「また四年後戻ってきて最高の滑りができるように頑張ります」と前を向いた。

成長を遂げた4年間

日本のみならず世界中が注目する4年に1度のスポーツの祭典は、16歳のスノーボーダーをさらに大きく飛躍させた。

雪を離れた場所では、サッカーの長友佑都久保建英らを指導することで知られる木場克己トレーナーに師事。2018年以降、体幹を鍛えてきた。2018/2019シーズンはワールドカップのビッグエアで開幕2連勝を飾り、翌シーズンも好成績を残すと、シーズンを通じた種目別総合(ビッグエア)で2季連続優勝を達成。高校卒業直前に挑んだ2020年1月のXゲームのビッグエアでは、鬼塚雅村瀬心椛(ここも)に次いで表彰台に立ち、日本女子の表彰台独占に貢献した。

2020/2021シーズンはコロナ禍の影響で試合数も減り、スロープスタイルでは初勝利をあげたものの、得意のビッグエアでは4位止まり。表彰台に上がれずモチベーション維持に苦労したというが、今季初勝利となった12月のビッグエアでは、バックサイド1260をしっかり決め、平昌オリンピック覇者で2位のアンナ・ガサーに30点以上の差をつけて圧勝。「自分のマックスが出せた」と胸を張った。

小さな巨人

2021年末に20歳の誕生日を迎えた岩渕は、ときに「小さな巨人」と称される。

その理由は、150センチという身長にある。日本女子トップ選手の中でもひときわ背が低く、オリンピック女子スロープスタイル金メダリスト(ソチ2014、平昌2018)のジェイミー・アンダーソン(米国)や、アンナ・ガサーとの身長差は10センチ以上。それでも、2020年にFIS(国際スキー連盟)のインタビューに登場した際には、このような言葉が添えられた。

「ビッグエアやスロープスタイルでも、レイラ以上に小柄な体を使って大技を繰り出すライダーは、男子でも女子でもほとんどいない。その高さや確固たるスタイル、既に習得しているスイッチやレギュラーのダブルコークなどのほか、さらに増え続けるトリック。彼女は今後何年にもわたって世界で最も刺激的かつ圧倒的なライダーのひとりとなるだろう」

この4年間で世界トップ選手としての地位を築いてきた岩渕。高校生から大学生になり、国際舞台での経験も積んだ彼女の4年間の成長を、しっかりと見届けたい。

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