中華人民共和国の首都・北京から北へ車で2時間半ほどの場所にあるシークレットガーデンスキー場。
およそ3年前に北京2022冬季オリンピックのスノーボード・ハーフパイプが行われたこの地で12月6日、今シーズンのワールドカップ(W杯)ハーフパイプが開幕する。
日本からは男子6人、女子4人が派遣され、北京2022の男子ハーフパイプで金メダルに輝いた平野歩夢(あゆむ)や女子ハーフパイプで銅メダルを獲得した冨田せななどが名を連ねている。
2026年に予定されているミラノ・コルティナ冬季オリンピックのプレシーズンとなる今季のW杯を前に、平野や冨田をはじめ、2季連続で年間優勝を果たした平野流佳(るか)、小野光希(みつき)らがOlympics.comのインタビューで新シーズンへの意気込みを語った。
平野歩夢「どこまでいけるのかというのを楽しみにしていたい部分もある」
スノーボード男子ハーフパイプの日本勢の強さはすでに多くの人が知っていることだろう。日本人ライダーの活躍は世界でも一目置かれる存在で、難易度の高い技や高いエアに挑戦し、そのシーンを席巻している。
中でもW杯で安定した強さを示しているのが、一昨季から2年連続で年間ハーフパイプ優勝を達成した平野流佳だ。平野は昨シーズンのW杯で1勝をあげることはなかったものの、4大会で表彰台に立ち年間優勝を手繰り寄せた。
「昨シーズン優勝はできなかったですけど、今までの自分のベストランも出せたし、自信につながるシーズンになりました」と振り返る平野は、「去年は後半は高さはあったんですが、ヒット数が少なくなるっていうのが多かった。(今季は)ちゃんとヒット入れて、高さをあげるというのと、もちろん技の難易度が必要なのかなと思います」と冷静に分析し、今シーズンに活かしていく。
一方、北京2022オリンピック男子ハーフパイプ金メダリストの平野歩夢は、「(ミラノオリンピック)1年前だからこそ、進化しようとする気持ちとかを忘れずに、どこまでいけるかわからないですけど、自分の限界というものを常に見据えながら、その限界と闘い続けていきたい」とコメント。「自分自身の中でどこまでいけるのかというのを楽しみにしていたい部分もある」と語った。
「今シーズンも自分らしくいけたらいいなというのがひとつの目標」と話すのは兄・歩夢とともにオリンピックに出場し、昨シーズンはXゲームズで2度目の表彰台に立った平野海祝。高いエアでファンを魅了する平野海祝は、「いろんな人がいるんですけど、自分との戦いの中で自分がやりたいことをやれたら結果がどうであれ満足かなというのはあるし、それが絶対未来につながっていくかなというのはあります」と胸を張る。
さらに、オフシーズンに苦手な部分の克服に取り組んだと話すのは戸塚優斗。昨季のW杯で2度表彰台に立った戸塚は、苦手としていたキャブの技を克服するために練習や筋肉トレーニングに取り組んできた。
「今まで苦手だったキャブをやって来なくて、そこがルーティーンの中で1個ランクが下がっているというか、ほかが高いのにそこだけできないというのがすごく多かったので、そこはもっと積極的にしていきたい」とした上で「トリプルコークもできていないので、それを自分の中で不安なく入れられるようにして、オリンピックにつなげていきたいという感じです」と続けた。
冨田せな「一つ一つの大会全部楽しみながら結果を残せたらな」
平野流佳が男子で年間優勝を果たしたが、女子では小野光希が同様の結果を残し、年間女王としてシーズンを迎える。
小野は、「いくつか新しい技をルーティーンに入れられたらいいなと思っていて。その技の難易度、エアの高さだったり、バランスをうまくとって、自分らしさを出せればなと思います」とリラックスした様子で目標を語った。
一方、北京2022冬季オリンピック女子ハーフパイプで日本勢初の銅メダルに輝いた冨田せなは、「今シーズンからオリンピックの選考レースが始まるので、まずは出場の内定をもらえるようにW杯で成績を残すのと、あと世界選手権もあるので、出場できるように頑張りたいなと思っています」とし、「オリンピックの選考に関わる大事な大会になってくるので、もちろんいろんなプレッシャーとかすごい気持ちの面で波はあると思うんですけど、一つ一つの大会全部楽しみながら結果を残せたらなって思っています」と期待感を覗かせた。
スノーボード・ハーフパイプのW杯開幕戦は12月6日に予選が行われた後、8日に決勝が実施される。選手たちがどんなパフォーマンスで大会を盛り上げるのか。その戦いをお見逃しなく!
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