オリンピック予選シリーズ、スケートボードのすべてがわかる!

オリンピック予選シリーズ

アクション満載のイベントについて、ルールや競技フォーマット、採点方法を紹介する。

1 執筆者 Greg Presto for Olympics.com
Marina Gabriela of Brazil competes during the 2024 World Skateboarding Tour, Street-Women's Open Qualifiers in Dubai
(Francois Nel/Getty Images)

1963年にカリフォルニアで初めて開催された大会から、東京2020でオリンピックに初登場するまでの間に、スケートボードの人気は爆発的に増大し、世界中の何百万人もの競技者やファンが、フリップ、スライド、グラインドといった妙技に歓声を上げている。

そのスケートボードはパリ2024でも実施される。出場をかけた戦いのクライマックスとして、5月と6月に開催されるオリンピック予選シリーズ(OQS)が選手たちを待ち構えている。無観客で行われた東京2020とは異なり、OQSでは上海とブダペストの都市部で、パリ2024ではパリ中心部のコンコルド広場で、ファンが歓声を上げることになる。

ここでは、この最も新しく、最もトップ争いの激しいスケートボードについての豆知識や観戦に役立つ情報を紹介する。

スケートボードはいつからオリンピック競技に?

スケートボードは、2021年に開催された東京2020オリンピックでデビューした。オリンピックではパークとストリートの2種目が実施され、いずれも男女の種目があり、それぞれにメダルが授与される。

東京オリンピックでは、オーストラリアのキーガン・パーマーが男子パークで金メダルを獲得した以外は、開催国の日本が残る3つの金メダルを手にした。女子パークは四十住さくらが優勝。男子ストリートは堀米雄斗が制し、女子ストリートでは西矢椛が金メダルに輝いた。

オリンピックのスケートボードはどのように行われる?

男子パーク、女子パーク、男子ストリート、女子ストリートの4種目それぞれに22人が出場し、合計88人のスケーターが参加する。

これらの種目にはいずれも予選ラウンドと決勝ラウンドがあるが、コースや競技フォーマットは異なる。

パーク種目

パーク種目は、お椀の中央にコブや凹凸が追加されたような造りのコースで実施される。ジャンプセクションには、筒状のパイプを4分の1にカットしたクォーターパイプのような障害物も含まれる。選手はこれらを使って高さのあるトリックを繰り出す。

選手は45秒間のランを2回行い、この間、好きなだけトリックを決めることができる。ウィニングランを決めるスケーターは、通常5~8つのトリックを成功させている。スケートボードの国際統括団体であるワールドスケートのルールブックによると、演技は次の5つの基準によって審査される。

  • トリックの難易度と種類:トリックの数だけでなく、それぞれのトリックの難易度や、種類の多彩さが考慮される。
  • 質の高さ:スケーターがどれだけうまくトリックを成功させたかを判断する。着地も重要だが、スピードや高さ、流れるような動きも考慮される。
  • コースの使用:滑走中に複数の障害物からトリックを決めるなど、できる限りコースを広く使用することが求められる。
  • 流れと一貫性:45秒のランが全体としていかにまとまっているかを判断するもので、個々のトリックを審査するものではない。
  • 反復:同じトリックを複数回行ったり、似たようなトリックだった場合は得点は低くなる。

審判はこれらの基準で採点して0~100点の点数をつける。各ラウンドでスケーターが行う2回のランのうち、高い方の得点のみがカウントされる。

パーク種目で選手が直面するもうひとつの課題は、コースのデザインが大会ごとに変わり、大会直前まで知らされないことだ。つまり、スケーターたちは公式練習でランを調整していく。

ストリート種目

ストリート種目は、パーク種目とは異なるコースで行われる。ストリートのコースは平坦で、ストリートの名が示す通り、都市部を模してレールや階段が配置されている。

競技の面でパーク種目と異なる点は、2つのフェーズに分かれていることだ。45秒間のランを行うのはパークと同じだが、ストリートではシングトリックを5本披露するベストトリックも含まれる。

ランでは、選手は45秒間のランを2本行う。それぞれが審査され、0~100点が与えられる。2本のランのうち、得点の高い方が採用される。ランでは、選手は通常6~7つのトリックを披露する。例えば、東京大会で銀メダルを獲得したブラジルのケウビン・ホフラーは、7つのトリックを組み込むランを行った。

ベストトリックでは、スケーターたちはシングルトリックを5本披露する。これらのトリックも100点満点で採点され、得点の高かった2つが総合得点に加えられる。

このベストトリックでは、選手が必ずしもすべてのトリックを成功させていないことに気づくかもしれない。それはできないからではなく、選手たちが難しいトリックに挑戦しているからだ。リスクを犯しながらできる限り高い得点を目指す。

ここで挑戦するトリックは、ランの中で披露するものとは異なるものでなければならない。もし同じであれば、減点の対象になりうる。ワールドスケートの審査基準には、「ランの段階ですでに決めたトリックを、ベストトリックの試技の中で行うことは、選手のトリックのレパートリーにおいてオリジナリティが限られていることを示すとみなされる。トリックの選択にバラエティが乏しい場合、最終的にシングルトリックの得点が低くなる可能性がある」と記されている。

ストリート種目では、ランのスコア1つ(100点満点)とベストトリックのスコア2つ(それぞれ100点満点)を合計し、最高300点を獲得することができる。

パリ2024で新しくなった点は?

パリ2024では、ストリート種目の採点ルールの一部が変更された。東京2020では、ベストトリックとランは100点満点ではなく10点満点で採点され、すべての試技を合わせた中から4つのベストスコアが得点に加算された。男子ストリート金メダリストの堀米は、ベストトリックですべての得点を獲得している。

パリ2024とオリンピック予選シリーズでは、選手の合計得点には、ランによる得点が1つと、ベストトリックからの得点2つが合計される。

もうひとつの新しい採点ルールは、採点の拒否だ。ベストトリックにおいて、スケーターは採点を帳消しにすることができる。通常、すでに実施したトリックを繰り返すと得点が伸びることはないが、トリックを思うように決めることができなかった場合は、そのトリックを採点しないよう審査員に伝えることができる。スケーターはその後、再びそのトリックに挑戦し、より完璧に成功させることを目指す。

予選と決勝ラウンドの仕組み

パークもストリートも、予選ラウンドには全選手が出場する。パークでは45秒のランを2本行い、100点満点で点数の高い方が総合得点となる。

ストリートの予選ラウンドは、45秒のラン2本とベストトリックの試技5回で構成される。2回のラン(各100点満点)のうち、良いほうの得点が、ベストトリック(それぞれ100点満点)で最も高い得点2つに加算され、合計得点は最大で300点となる。

各種目で上位8人が決勝ラウンドに進出する。予選ラウンドの得点は決勝ラウンドに持ち越されず、全選手がゼロの状態からスタートする。各種目の決勝ラウンドは、予選ラウンドのフォーマットと同じで、パークは100点満点、ストリートは300点満点中、最も高い点数を獲得した選手が決勝ラウンドの勝者となる。

パリ2024では、各種目の予選と決勝は同日に行われる。

スケートボード選手がオリンピック出場枠を獲得する方法は?

パリ2024のスケートボードには、男子パーク、男子ストリート、女子パーク、女子ストリートの4種目にそれぞれ22人ずつ、計88人が出場する。

22人(各国最大3人)のうち、開催国枠1つやユニバーサリティ枠1つを除いて20人がオリンピック予選を通じて決定する。オリンピック世界スケートボードランキング(OWSR)によって決定される。このランキングは、2022年以降の世界選手権やプロツアーなどの予選イベントで選手が獲得したポイントによるもので、出場枠の獲得がかかった最終ポイントは、今年5月に中華人民共和国の上海、6月にハンガリーのブダペストで開催されるオリンピック予選シリーズ(OQS)で争われる。

なお、オリンピック各国代表の編成に関しては国内オリンピック委員会(NOC)が責任を持っており、パリ2024への選手の参加は、選手が属するNOCがパリ2024代表選手団を選出することにより確定する。

パリ2024、スケートボードの日程は?

パリ2024では、各種目の予選と決勝が同日に行われる。例えば、女子ストリートは、予選、決勝とも7月28日に行われる。

  • 7月27日:男子ストリート(予選および決勝)
  • 7月28日:女子ストリート(予選および決勝)
  • 8月6日:女子パーク(予選および決勝)
  • 8月7日:男子パーク(予選および決勝)
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