静岡県出身の青木勇貴斗(ゆきと)は、東京2020オリンピックで初めて実施されたスケートボード競技の男子ストリートに堀米雄斗、白井空良とともに出場した。
上位8人による決勝には進めなかったものの、当時17歳だった青木にとっては世界を感じられた瞬間で、試合後には「世界の選手は練習からトリックのメイク率が高い。上との実力の差がすごいと感じた」と語った。
あれから1年以上が過ぎ、国内外の選手と関わり合い、青木はスケボーへの思いをますます強めている。青木勇貴斗がolympics.comのインタビューに応じ、スケートボードとのつながりについて語った。
青木勇貴斗「スケボーは僕の人生です」
「スケボーは僕の人生です」
目を輝かせてそう語る青木勇貴斗のスケボー人生は、5歳だった2009年に、ある日突然はじまった。
「お父さんが見ていたビデオの中で、スケボーのシーンがあって、俺もチラッと見て、その時に『うわぁカッコイイ!』俺もやってみたいと思って、その日にスケボーを買ってもらいました」
初めて滑ってみた印象は?
「予想通り、最高に面白かったっすね」。その日から、青木の人生が大きく動き始めた。中でも青木を突き動かしたのは、「わからない」ことへの好奇心だ。
デッキを自在に操るスケーターを見て、どうやってデッキを回転させるのか、足とデッキがまるで一体のようになっているのはなぜなのか。そんな疑問を持つ人は少なくないだろう。
「どうしてあれ(デッキ)がついてくるのかって、自分も最初は疑問だったんですけど、わからないもの、理解できないことにすごい惹かれたんです」と青木は子ども時代を振り返る。
「そういうことにまっすぐになれたのが初めてで、それがスケボーでした」
それから10年以上、青木はスケートボードにのめり込んでた。
「練習した分だけ実力がつく。やった分だけ結果に出るし、練習した分だけ上手くなるのが自分でもわかる。正直に返ってくるですよ。それが(スケボーは)いいっす」と笑顔で語る。
「まったく違う」からこそのリスペクト
スケートボードといえば、選手同士のつながりもたびたび注目される。青木にとって同じスケーターは仲間なのか、それともライバルなのか。
そんな質問を投げかけてみると、青木はどちらを選ぶでもなくこう切り出した。
「当たり前ですけど、他の人は自分とはまったく違う滑りをするじゃないですか。なので、全員リスペクトしてます」
「(この1年)アメリカなど、いろいろな国にいってスケボーをすることで、学ぶことがたくさんありました。日本とは違う大きさのイベントがあって、世界中からたくさんのスケーターが街に集まるんですよ」
「そういうイベントがあるっていいなと思いました。いろいろなスケーターに会って(気持ちが)上がったし、スケボーは楽しいほうが成長すると思います」
そんな青木は、夏にローマで行われた、ストリート・スケートボード・ローマ2022に出場し、スケボーの楽しさを多くのスケーターと共有した。
大会前に「他の選手に自分を見せつけたい」と語っていた青木は、決勝進出こそならなかったものの、準決勝に進出し、時に観客を沸かせるなどして、自らの存在感を見せつけた。
さらには他の選手のパフォーマンスに興奮したことも認める。この大会で優勝したナイジャ・ヒューストンの決勝の滑りを間近に目撃し、「メンタルが半端ない」とそのときの思いを青木はこう振り返る。
「自分があの場面だったら、やっぱ安定の技に落ち着いたりしちゃうんですけど、あそこで挑戦してちゃんと決めてくるメンタルの強さがすごい」
こうやって選手から刺激を受ける一方、他のスケーターは青木を奮い立たせる大切な友達でもある。
「一緒に滑ってて、自分が怖い技があってできないときとかも、友達がいれば一緒に勢いでできたり、挑戦できたりする」と語った青木は、「やっぱ友達は大事ですね」と続けた。
日本スケートボード選手権の日程・放送予定
日本スケートボード界では、11月24日〜27日の日程で日本スケートボード選手権が行われる。この大会は、2023年のアジア競技大会派遣選手や2023年の強化指定選手の選考会を兼ねており、パリ2024オリンピックを目指す選手たちにとって重要な大会となる。
男子ストリートには青木や白井空良など57人、女子ストリートには西矢椛、中山楓奈など30人、男子パークには平野歩夢、平野英樹など44人、女子パークには開心那など23人がエントリー。
2019年のこの大会で優勝し、東京オリンピック出場に向けて大きく前進した青木にとっては、思い出の大会でもあるだろう。今年6月に、Olympics.comがパリオリンピックへの思いを尋ねた際には、「パリは結構先なので、近いものを目標にしています」と語った青木だが、その言葉通り、目の前の戦いに集中して自分のパフォーマンスを見せてくれるに違いない。
- 11月24日(木)女子パーク予選
- 11月25日(金)男子パーク予選・男女ストリート予選
- 11月26日(土)男女ストリート準決勝・決勝
- 11月27日(日)男女パーク準決勝・決勝
戦いの模様は、日本テレビなど地上波、Tver、⽇テレスポーツYouTubeチャンネルなどで放送される。
詳しくはワールドスケートジャパンのウェブサイトにて。