日本、2大会連続の銀…フランスに屈する|パリ2024柔道混合団体

執筆者 WATANABE Fumishige/渡辺 文重
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Tatsuru Saito, Teddy Riner
写真: Getty Images

シャン・ド・マルス・アリーナで行われているパリ2024オリンピック柔道は現地時間8月2日までに個人戦が終了。競技最終日の3日は、Tokyo2020から採用された混合団体が行われた。

混合団体は女子の57kg級、70kg級、70kg超級、男子の73kg級、90kg級、90kg超級の6人でチームを組んで対戦。出場する6人は、ラウンドごとに登録メンバーから選べる。日本はパリ2024の日本代表全員が登録されており、出場する選手は普段と異なる階級で戦うこともある。先に4勝したチームが勝利となるが、3-3で並んだ場合は抽選で選ばれた階級で決定戦を行う。

決勝の組み合わせはTokyo2020と同じ、フランス代表と日本代表になった。組み合わせは以下の通り。

  1. 男子90kg級:村尾 三四郎 vs.マキシム ゲール・ヌガヤプ ハンボ
  2. 女子70kg超級:髙山 莉加 vs.ロマヌ・ディッコ
  3. 男子90kg超級:斉藤 立 vs.テディ・リネール
  4. 女子57kg級:角田 夏実 vs.サラ レオニー・シジク
  5. 男子73kg級:阿部 一二三 vs.ジョアン バンジャマン・ガバ
  6. 女子70kg級:髙市 未来 vs.クラリス・アグベニェヌ

個人戦銀メダルの村尾と銅メダルのヌガヤプハンボによる対戦は本戦4分間で決着せず、ゴールデンスコアの延長戦となる。延長戦開始直後、村尾の内股が決まり、日本が戦勝する。

2戦目は女子78kg級の髙山と女子78kg超級銅メダルのディッコが対戦。髙山が先に2つ目の指導を受ける。髙山は寝技に引き込もうとするが、パワーで上回るディッコが振り払う。髙山は1分52秒、大内刈で技あり。そこから寝技で一本を狙うも防がれる。ディッコの出血で中断した試合は、残り48秒で再開。その後スコアは動かず、髙山の優勢勝ちとなった。

斉藤の対戦相手は、フランスの英雄・リネール。58秒、互いに指導。1分53秒に斉藤が2つ目の指導を受ける。斉藤は果敢に攻めるもリネールに阻まれ、試合は延長戦に突入する。7分4秒、リネールの内股で決着。フランスが1勝を挙げる。

4戦目の組み合わせは、女子48kg級金メダルの角田と女子57kg級銅メダルのシジク。互いに技を掛け合ってビデオ判定の結果、角田の巴投が認められ、日本の王手となる。

5戦目は、男子66kg級金メダルの阿部と男子73kg級銀メダルのガバ。軽量の阿部が積極的に技を仕掛ける。対するガバは重量差を活かして寝技を狙う。阿部の指導1、ガバの指導2で延長戦に突入。互いに投げを打ち合う展開となる。試合時間8分手前、阿部の出血で中断。8分52秒、ガバの掬投が決まり、フランスが2勝目を挙げる。

6戦目、女子63kg級同士の対決も延長戦に突入する。髙市が積極的に攻めるも、銅メダルのアグベニェヌが外巻込で技ありを奪い、決勝は代表戦にもつれ込む。

抽選の結果は男子90kg超級。これにフランスの観客が沸き立つ。ゴールデンスコアによる代表戦は6分26秒、リネールが大内刈で一本。パリ2024オリンピック柔道競技は、フランスの混合団体連覇で幕を閉じた。

村尾三四郎の試合後コメント

先鋒で会場のフランスに飲まれることないように、ポイントをつなぐ役割は果たせたが、チームで勝ちたかった。日本を背負って戦えたこと、このメンバーで戦えたことを誇りに思います。

髙山莉加の試合後コメント

自分より大きい相手だったので、がむしゃらにポイントを取りに行こうと思った。いつでも準備はできていたので、何があっても出るつもりだった。素根輝選手にアドバイスをもらったので感謝しています。

斉藤立の試合後コメント

すいませんでした。ここで勝たないと日本柔道の代表として顔向けできないという思い。本戦で負け、代表戦で挽回できるチャンスだったが負けてしまったので悔いが残ります。代表戦の終盤、自分のペースになってきたが、ここからという場面で(相手の技を)防げませんでした。今日勝たないでいつ勝つんだという場面だったので悔いが残ります。

阿部一二三の試合後コメント

日本の皆さんにすいませんという気持ち。みんながつないでくれた良い流れをものにできずに申し訳ない。あそこで勝ち切らないと意味がないので悔しい気持ちでいっぱいです。

決勝に先立ち行われた3位決勝戦の1試合目は、ブラジル代表とイタリア代表が対戦。代表戦(女子57kg級)の結果、ブラジルが銅メダルに輝いた。3位決定戦もう1試合も代表戦(男子73kg級)にもつれ込み、大韓民国代表がドイツ代表を下した。

■日本代表選手

▼男子

  • 60kg級:永山 竜樹
  • 66kg級:阿部 一二三
  • 73kg級:橋本 壮市
  • 81kg級:永瀬 貴規
  • 90kg級:村尾 三四郎
  • 100kg級:ウルフ アロン
  • 100kg超級:斉藤 立

▼女子

  • 48kg級:角田 夏実
  • 52kg級:阿部 詩
  • 57kg級:舟久保 遥香
  • 63kg級:髙市 未来
  • 70kg級:新添 左季
  • 78kg級:髙山 莉加
  • 78kg超級:素根 輝