【パリ2024パラリンピック9日目】廣瀬順子、視覚障がい者柔道日本女子初の金! 水泳の木村、柔道の瀬戸、テニスの上地も金メダル

執筆者 Chiaki Nishimura
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視覚障がい者柔道で日本女子初の金メダリストとなった廣瀬順子(左から2番目)=2024年9月6日、パリ2024パラリンピック
写真: 2024 Getty Images

パリ2024パラリンピックは9日目となった9月6日、日本勢では新たに4人の金メダリストが誕生した。

視覚障がい者柔道の廣瀬順子が日本女子初の金メダルを獲得したほか、同じく柔道の瀬戸勇次郎が自身初の金、パラ水泳の木村敬一が今大会2つ目の金メダルに輝き、車いすテニス女子シングルスの上地結衣(かみじ・ゆい)は前日の女子ダブルスと合わせて2冠を達成した。

また、パラ陸上では男子400m(T62)決勝で、ハンター・ウッドホール(アメリカ合衆国)が金メダルに輝き、オリンピック女子走幅跳で金メダルに輝いたばかりのタラ・デイビス・ウッドホール(アメリカ合衆国)とともに夫婦そろってパリ2024金メダリストとなった。

大会9日目の主な試合結果、ハイライトをまとめた。

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パリ2024パラリンピック9日目ハイライト

障がい者柔道の廣瀬順子が日本初の快挙!

2000年大会から始まった障がい者柔道の女子種目で、7大会目にして日本女子の金メダリストが誕生した。

3大会連続出場、女子57kg級(J2)の廣瀬順子は、初戦、準決勝を1本勝ちで勝ち上がると、決勝ではクムシュホン・ホジャエワ(ウズベキスタン)と対戦し、2分20秒がすぎたところで体落を決め、一本勝ちをおさめ金メダルを決めた。

廣瀬は1990年生まれ、山口県出身の33歳。漫画「あわせて1本!」の主人公に憧れて小学5年生で柔道を始めたが、19歳のときに膠原病の後遺症で視覚障がいとなり、大学3年生で視覚障がい者柔道を始めた。のちに、同じ視覚障がい者柔道に励む廣瀬悠さんと結婚。ともにリオ2016、東京2020に出場した。夫・悠さんは階級の基準変更によりパリへの出場を断念し、コーチとしてサポート。その力を味方に、廣瀬は5位で終わった東京2020の悔しさを晴らしての金となった。

瀬戸勇次郎、決勝45秒で金メダル!

男子73kg級(J2)には2大会連続出場の24歳、瀬戸勇次郎が出場。初戦では開始19秒で背負投を決めて一本勝ち、準決勝では内股返、体落の合わせ技一本で勝ち上がると、決勝ではギオルギ・カルダニ(ジョージア)を相手に開始6秒で背負投、45秒で出足払を決めて合わせ技一本で金メダルを手繰り寄せた。

瀬戸は2000年生まれ、福岡県出身の24歳。生まれつき視覚障がいのある瀬戸は中高と柔道部に所属し、高校3年生で視覚障がい者柔道に転向した。初めて出場した東京でのパラリンピックでは66kg級で銅メダルを獲得。しかし東京大会後に階級の基準が変更となり、7kg重い73kg級での挑戦の末の金メダルとなった。

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選手の言葉で知る、パリ2024パラリンピック9日目

「木村くんと一緒に表彰台に上がれるので、頑張ってきた成果かなと思って感謝したいと思います」

パラ水泳の男子100mバタフライには、東京2020で金銀を分け合った木村敬一と富田宇宙が登場。最初の50mを木村が首位で折り返し、2番手に富田が続いた。後半では木村が2番手以降とリードを広げる中、富田、ダニロ・チュファロフ(ウクライナ)らが2番手争いを繰り広げ、最後は木村、チュファロフ、富田の順でタッチ。木村は自己ベストを更新しての2連覇達成となった。

試合後、木村は「泳ぐ前から孝さん(鈴木孝幸)がベスト出してて、控え場所の空気とかすごく良くて、ベスト出る気配しかしなかったので、いいレースができたなと思っています。こういう環境の中で水泳させてもらえて幸せだなと思いました」と語った。今大会では50m自由形に続き2つ目の金メダルとなり、「取れてしまってのがこの前でしたけど、取りに行ったので、こっちの方がだいぶ嬉しいです」と喜びを語った。

一方、ライバルとして友として互いに高め合ってきた富田は、銅メダル。「バタフライなかなか調子が上がらなくて正直かなり厳しいなと思いながらすごい不安で。でもいく前にコーチが『これまで絶対負けない練習してきたから自信持っていきなさい』って強く言ってくれて、なんとか試合に向かえた」と話し、「全然いいタイムじゃなかったんですけど、なんとか木村くんと一緒に表彰台に上がれるので、頑張ってきた成果かなと思って感謝したいと思います」と語った。

写真で見る日本代表メダリストたち[9月6日]

日本代表メダル獲得選手、パラリンピック9日目

パラ陸上

  • 佐藤友祈、男子100m(T52)…銅メダル🥉

車いすテニス

  • 上地結衣、女子シングルス…金メダル🥇
  • 小田凱人(ときと)&三木拓也、男子ダブルス…銀メダル🥈

視覚障がい者柔道

  • 廣瀬順子、女子57kg級(J2)…金メダル🥇
  • 瀬戸勇次郎、男子73kg級(J2)…金メダル🥇
  • 小川和紗、女子70kg級(J2)…銅メダル🥉

パラ水泳

  • 鈴木孝幸、男子50m自由形(S4)…銀メダル🥈
  • 木村敬一、男子100mバタフライ(S11)…金メダル🥇
  • 富田宇宙、男子100mバタフライ(S11)…銅メダル🥉

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そのほか9月6日の主な結果、パリ2024パラリンピック

車いすテニス女子シングルスでは、4大会連続出場の上地結衣が、決勝で東京2020金メダリストのディーデ・デフロート(オランダ)をフルセットの激闘の末に破って初の金メダルを獲得した。上地は、オランダ勢以外で女子シングルス初の金メダリストとなった。また前日の女子ダブルスと合わせて2冠を達成した。

男子ダブルス決勝では小田凱人(ときと)&三木拓也が英国のアルフィー・ヒューエット&ゴードン・リードと対戦し、2-6、1-6で敗れ、銀メダルを獲得した。

パラ陸上では佐藤友祈が男子100m(T52)で17秒44を記録し、銅メダルを獲得した。佐藤は400mで銀メダルに輝いており、今大会2つ目のメダルとなった。佐藤はリオ2016、東京2020の400m、1500mで金銀メダルを手にしているが、100mでのメダルは初。

視覚障がい者柔道女子70kg級(J2)の小川和紗(かずさ)は準決勝で東京2020金メダリストのアラナ・マウドナド(ブラジル)に一本負けを喫して銅メダル決定戦に回ると、ここでは同じくブラジルのケリー・ビクトリオと対戦。小川は開始1分で指導を与えられるものの、2分半を迎えようとしたところで背負投で技あり、残り7秒で内股返で技ありとし合わせ技一本で勝負を決めた。2大会連続の銅メダルとなった。

パラ水泳の男子50m自由形(S4)には、東京2020の同種目で銀メダルを手にした鈴木孝幸が登場。レース序盤からセバスチャン・マサビー(カナダ)が首位に立ち、2番手争いを鈴木、アミオマル・ダダオン(イスラエル)、キャメロン・レスリー(ニュージーランド)らが繰り広げ、最後は鈴木が2着、ダダオンが3着でフィニッシュし、鈴木の銀メダルが決まった。タイムはアジア新記録となる36秒85。鈴木は今大会4個目のメダル獲得となった。また、金メダルのマサビーは35秒61で世界記録を樹立した。

9月6日のすべて試合結果はこちら

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写真で見るパリ2024パラリンピック競技9日目

パリ2024パラリンピック、競技日程・スケジュール

パリ2024パラリンピックの全競技日程は、こちらで確認可能。

パリ2024パラリンピック、放送予定・ライブ配信情報

日本ではNHK、JCOMなどで、中継、ライブ・ハイライト・アーカイブ配信が予定されている。また、パラリンピックYouTubeチャンネル国際パラリンピック委員会ウェブサイトOlympics.comで配信される(一部見られない地域もある)。

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