パリ2024パラリンピック、障がいのある選手たちの利用しやすさを考えた施設デザインとは?
8月18日(日)にパリ2024パラリンピックの選手村がオープンした。この日に合わせて、世界トップクラスのパラアスリートたちを迎える準備が進められてきた。責任者であるロラン・ミショー氏が、実際にどのような対応が行われたかをOlympics.comに語った。
開村を前に、パリ2024の選手村は変身を遂げた。オリンピック期間に利用した最後の入居者が13日に施設を退去し、180のパラリンピック代表団の最初の一行が18日の午前8時から入居を開始した。選手村では、障がいのある人々を最高の形で歓迎できるよう準備が進められてきた。
オリンピック・パラリンピック選手村は、設計や建設の段階から、移動に制限のある選手にも対応できるようないくつかの要素がすでにデザインされていた。
「公共スペース、道路、歩道、横断歩道はすべて、車いすの利用者も通れるように設計されています。これは、新たな都市開発に求められるユニバーサルアクセシビリティ基準に準拠したものです」と、選手村の責任者ロラン・ミショー氏は説明する。「そのため、この部分に関してはほとんど手を加える必要がありませんでした」。
いくつかの修正点
屋外エリアでは、選手にとって見えにくく危険な段差をマークすることが主な作業となった。
ミショー氏は、「つまずく危険性があるので、それらを識別できるよう黄色と黒のストライプを引いています」と説明し、「パリ市が運営する給水機は、車いす利用者や盲導犬、介助犬が利用できるよう、高さを調整して設置されています」と続けた。
一方で、この移行期間中に作業を行う必要がないよう、屋外の仮設エリア(メインエントランス、代表団ウェルカムセンター、バス停)には、最初からスロープが設置されていた。
会場を印象づけるロゴマークとしては、オリンピックリングまたはパラリンピックシンボルのスリーアギトスが掲げられている、あるいはどちらのエンブレムも示されていない状態だったため、ほとんど変更の必要はなかった。「手を加える必要があったのは、選手村の一部にあった大きなオリンピックリングをアギトスに置き換えることだけでした」とミショー氏は続けた。
すべての部屋にPRM対応のバスルームを設置
選手たちが利用する部屋に関しては、PRM(移動能力制限:Persons with reduced mobility)対応のバスルームが少なくとも1つ設置されている部屋のみを使用する。「オリンピック期間中は14,000床が必要でしたが、パラリンピックでは9,000床が利用されるため、外部の建物を利用する必要はなく、選手村のみに集中させることができます」とロラン・ミショー氏は説明する。「また、移動しやすくするために、トイレに手すりを設置し、シャワー室には車いすも用意しています」。
一方、室内のデザインはオリンピックから変更された。「寝具は選手たちへの贈り物なので、パラリンピック選手用に交換しました。それに合わせてベッドの色は青から緑に変わりました」。
競技役員1300人もパラリンピック選手村に滞在
パラリンピック選手村で提供されるサービスは、オリンピックの期間中とまったく同じだ。美容室、ミニマーケット、レストラン、コインランドリー、フィットネスセンターなども同様に利用できる。「アクセシビリティを向上させるために、特にレストランなどではカウンターの高さを若干変更する必要はありました」とミショー氏は語る。「トイレはすでにバリアフリー対応になっていましたが、ビュッフェ台の高さは調整し、車いすでテーブルについたときに動きやすいように椅子の数も減らしています」。
また、トレーニングスタジオも引き続き利用可能となる。ここでは車いすフェンシングやシッティングバレーボール、パラテコンドー、パラパワーリフティング、車いすバスケットボール、ゴールボールのトレーニングを行うことができる。
パラリンピック選手村には、選手やスタッフだけでなく、競技役員1300人も滞在する。「当然ながら彼らの動線は選手とは別々になるよう設計されています」とロラン・ミショー氏は締めくくった。