パリ2024 閉会式、どんなセレモニーが予定されているのだろうか

執筆者 Jo Gunston
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写真: 2016 Getty Images

セリーヌ・ディオンがパリの夜空にエディット・ピアフの名曲「愛の讃歌」を響かせてから16日。パリ2024オリンピックの開会式を演出をした芸術監督トマ・ジョリー氏が、8月11日に予定されている閉会式でも指揮を執る。

フランスの首都パリで繰り広げられている壮大な大会を締めくくるため、ジョリー氏は何を考えているのだろうか? パリ2024オリンピックを次の開催地であるLA2028に正式に引き継ぐ際、彼は恍惚とした雰囲気と厳粛さをどのように融合させるのだろうか?

まずは、オリンピック閉会式がこれまでどのように執り行われてきたのかを見てみよう。

東京2020オリンピック閉会式中にエッフェル塔上空を飛行するパトルイユ・ド・フランス

写真: 2021 Getty Images

オリンピックの旗が次の開催地へと引き継がれるとき、盛大なパーティーの雰囲気によって選手たちの活躍を称え開催都市の成功を祝う。過去の多くの大会において花火が最後を締めくくってきた。しかし花火以外の部分では、開催国は各々のアイディアで閉会式を演出する。

ロンドン2012では、英ポップグループ、スパイス・ガールズが再結成され、ロンドン名物の黒塗りタクシーの上で「スパイス・アップ・ユア・ライフ」を歌いながらアリーナに到着した。

シドニー2000では、オーストラリアのポップスター、カイリー・ミノーグが、羽のついた鮮やかなピンクのショーガール姿でABBAの「ダンシング・クイーン」を歌い、21世紀最初の大会が幕を下ろした。

モントリオール1976では、カナダが先住民族に敬意を表し、彼らのコミュニティから何百もの人々が参加してパフォーマーを行った。ロサンゼルス1984の開会式の際には、次の大会となるソウル1988を紹介するためにプチェチュムという伝統舞踊が披露された。

アトランタ1996オリンピック閉会式

写真: Bongarts/Getty Images

アトランタ1996とロンドン2012では、ジョン・レノンの「Imagine」が観衆を優しく包んだ。前者ではスティーヴィー・ワンダーが感動的に歌い上げ、後者ではリヴァプール・フィルハーモニー・ユース合唱団が、聴覚障害者を含むリヴァプール手話合唱団と共演した。

ジョリー芸術監督は、7月26日に開催されたパリ2024の開会式でも、セーヌ川でフランス人歌手ジュリエット・アルマネがこの曲を歌う演出を採用した。しかし8月11日の閉会式で、ジョリー芸術監督と彼のクリエイティブチームは何を見せてくれるのだろうか?

パリ2024オリンピック閉会式

閉会式のテーマは「記録」。それは暗号のようなものと言えるだろう。

オリンピックの式典は秘密厳守のため、必然的に曖昧な表現になる。わかっているのは、セレモニー会場となる8万人収容のスタッド・ド・フランスが巨大なコンサートホールに変身するということだ。

100人以上のパフォーマー、ダンサー、サーカスアーティストが、世界的に有名な歌手たちとともにさまざまな音楽パフォーマンスを披露する。

ショーの一部は空中で行われ、華やかな照明効果やフランス人による衣装のセンスが添えられ、全体的な効果として、観衆を「(自宅でも会場でも)過去への旅、大会の起源への旅、そして未来への旅、最終的には時代を超えた宇宙への旅」へと誘う。

「2024年8月11日、オリンピックは終わり、オリンピック聖火は消える。その瞬間、オリンピックがいかに貴重なものであるか、共有された経験に対する唯一無二の記念碑であるか、そしてそれゆえに壊れやすいものであることを思い知らされるのです」と、ジョリー氏は言う。

「オリンピックはすでに古代に姿を消し、ピエール・ド・クーベルタンによってフランスで再び創設された。この祝賀の瞬間は、私たちの社会におけるオリンピックの重要性を考える機会にもなるでしょう」

ジョリー氏は、このショーを「非常に視覚的」「アクロバティック」「オペラティック」で、「この上ないフレスコ画」と表現している。

彼は、第33回大会期間中に見られたドラマに匹敵する閉会式にしなければならない、という重責を担う。

パリ2024オリンピック期間中のスタッド・ド・フランスの全景

写真: 2024 Getty Images

大会初日、7人制ラグビー男子のフランス代表は、アントワーヌ・デュポンの時代を超えたパフォーマンスによって、開催国初のオリンピック金メダルを獲得した。フランス代表は、ピッチの中でまったく別のフォーメーションをとり、ダンスを披露し、観客を楽しませた。

あるいは、女子100mでセントルシア初のオリンピックメダル、それも金メダルを獲得したジュリアン・アルフレッドについてはどうだろう。

ドミニカ共和国に女子三段跳初のオリンピックメダルとなる金メダルをもたらしたテア・ラフォンドも同様だ。同国の人口は7万2,000人。彼女の偉業を目の当たりにした人の数よりも圧倒的に少ない。

閉会式において、ジョリー氏の担う役割は大きい。しかし閉会式の全貌を彼以上に知っている者はいない。

「私はオリンピックが再び姿を消し、誰かがそれを見つけるというショーをデザインしました。非常に視覚的で、非常に振り付けが多く、非常にアクロバティックなショーで、オペラのような側面もある」

「過去に敬意を表し、未来を受け入れる、記憶に残る祭典にしましょう」。