パリ中心部エッフェル塔に隣接するシャン・ド・マルス・アリーナは2024年8月3日、熱狂といえるほどの興奮に包まれていた。
パリ2024オリンピックの柔道混合団体決勝、日本代表チーム対フランス代表チーム。柔道大国フランスで、同国を代表する柔道家たちが、柔道発祥の地・日本の柔道家たちを迎え撃つ。
3年前の東京2020オリンピック決勝では日本武道館でフランスが日本を破り優勝。3年後のパリで、フランス代表チームは再び栄光を掴むのか。それとも日本代表チームが王座を奪うのか。詰めかけた地元のファンたちは、選手入場の前から「アレ・レ・ブル」(allez les bleus=頑張れフランス!)の掛け声を繰り返し、会場には熱気が充満していた。
各チーム6人で構成され、階級別に試合を行い、先に4勝した方が勝ちとなる団体戦。第1試合(男子90kg級)で村尾三四郎がマキシム ゲール・ヌガヤプハンボを下し、第2試合(女子70kg超級)では髙山莉加が1階級上のロマヌ・ディッコを相手に優勢勝ちをおさめる大金星。日本は2-0でフランスをリードした。
そして第3試合(男子90kg超級)に登場したのは斉藤立、そしてフランスが誇る柔道家テディ・リネール。会場には「テディ」コールが響く中、両者一歩も譲らない試合は延長戦に突入し、最後はリネールが内股で1本を決めると、観客の歓声に応えるかのようにリネールは右拳を突き上げて勝利を祝った。必要なときに必要な勝利をもたらすリネールの勝負強さに観客は熱狂した。劣勢だったフランスがつかんだ最初の1勝である。
第4試合(女子57kg級)は角田夏実がサラレオニー・シジクを相手に1本勝ち。日本は3-1でフランスを追い詰め、勝利に王手をかける中、2大会連続金メダルの阿部一二三(ひふみ)が登場した…。
9分弱に及んだ阿部とジョアンバンジャマン・ガバの第5試合、続く髙市未来とクラリス・アグベニェヌの第6試合でのフランスの快進撃、そして運命の第7試合。会場にはフランス国歌が響いただけでなく、こう着状態が続いた試合では「指導」コールが起こり、表彰式では両チームの選手に惜しみない拍手が送られるなど、柔道大国ならではの盛り上がりを見せた柔道男女混合団体決勝。リアルタイムで見た人も、見逃した人も、2大強豪国の柔道家たちが繰り広げた熱い戦いを動画で振り返ろう。
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