パリ2024オリンピックで活躍したブラジルの卓球選手ブルーナ・アレシャンドレの次の目標は、パラリンピック金メダル!/パリ2024パラリンピック
8月5日、ブラジルのブルーナ・アレシャンドレは、パリ2024オリンピック女子卓球で世界のトップ選手たちと戦った。そして今、8月28日に開幕したパリ2024パラリンピックで、29歳のアレシャンドレは再び世界の舞台に立ち、パラ卓球のエリート選手たちとテーブルに向き合う。オリンピックからひと月も経っていない8月31日には、すでに女子ダブルス(WD20)で銅メダルに輝き、自身、5個目のパラリンピックメダルを獲得している。
「オリンピックとパラリンピックの両方の代表になるのは非常に難しいので、この経験を最大限に生かそうと思います」と、アレシャンドレはOlympics.comの独占インタビューで話した。
2つの世界最大のスポーツの舞台に立つことはそう簡単なことではないが、パラリンピック初出場となったロンドン2012以来、アレシャンドレは10年以上にわたって進歩を重ねてきた。
「気持ちを切り替えてプレーしなければなりません。戦い方を変え、少しスピードを落とし、異なる角度でプレーしようと思います。これまでの経験が生かされます」と、パラリンピック4大会連続出場のアレシャンドレは説明した。
ひとつのラケットでパリ2024の2つの大舞台を経験しているアレシャンドレは、次のチャレンジとして、9月2日(現地時間)に行われる女子シングルス(WS10)準々決勝に臨み、念願の金メダル獲得を目指す。
アレシャンドレにとって、オリンピックでの経験がパラリンピックに生かされる
パリ2024オリンピック卓球女子団体種目に、ブラジル代表チームのメンバーとして出場したアレシャンドレは、初戦で大韓民国代表チームに1-3で敗れたが、その経験はアレシャンドレにとって多くの収穫をもたらした。
オリンピックでは、中華人民共和国、日本、大韓民国などの世界トップの選手たちのプレーを目の当たりにした。「パリが初めてのオリンピックでしたが、世界最高のアスリートたちと一緒にいることができ、本当に素晴らしい経験でした」と彼女は振り返った。シャンドレは、2023年パンアメリカン競技大会で銅メダルを獲得したことによりパリオリンピックの代表に選出された。
同じ年にオリンピックとパラリンピックの両大会に出場するという、ブラジル人アスリートとして初の快挙を成し遂げたアレシャンドレは、メリッサ・タッパー(オーストラリア)や、彼女の長年の憧れであるナタリア・パルティカ(ポーランド)と同じように、オリンピックに続けてパラリンピックにも出場している。
しかし、オリンピックとパラリンピックの両大会でプレーすることは、特に卓球のような競技では簡単なことではない。わずかな差が試合の結果を左右することが多くあるからだ。
「オリンピックでは、対戦相手が多く、しかもレベルがとても高いです。厳しい戦いが強いられます。私は、片腕がないので、バランスに難しさがあります。そのためサーブが難しいのです。しかし、私はオリンピックで戦うために進歩を続けてきました。これはパラリンピックでも大いに役立つはずです」
彼女にとって、オリンピックは競技のためだけではなく、パラリンピックの準備のためでもあった。
「ナタリアやメリッサも同じ経験をしていると思います。私たちにとって、きっとよい経験になっているはずです」
「私はオリンピックとパラリンピックの両方で戦えるよう、これまでに努力を重ねてきました」とアレシャンドレは続けた。
「パラリンピックのアスリートが、オリンピックでどんなことができるかを示すのは素晴らしいことだと思います。どんなことにも可能性があるのです」
アレシャンドレの目標はパリで金メダルを獲得すること
7歳の時、アレシャンドレの卓球への情熱に火がつき、それ以来、彼女は卓球とパラ卓球の両方を極めることに努力してきた。
何年もの絶え間ない練習と、健常者との競技とパラ競技の両方での戦いと勝利を通じて、アレシャンドレはブラジルにおける頂点に立った。彼女はバランスにほとんど問題がなく、「私はすべてのボールにラケットを届かせることができます」と自信を持つ。
そして彼女は、4度のオリンピアン、6度のパラリンピック金メダリストであり、長年の憧れであるポーランドのナタリア・パルティカに勝利するまでになった。
アレシャンドレは、13歳の時、YouTubeでパルティカの動画を見つけた時のことを鮮明に覚えている。
「彼女はいつも私を励ましてくれました。そして、いつの日か彼女に勝つことを夢見ていました」とアレシャンドレは振り返った。その夢は2023年のイタリアオープンで現実のものとなった。アレシャンドレは、それまでパルティカに8回敗れていたが、ついに勝利を収めたのだった。アレシャンドレは、その勝利の瞬間を「夢の実現」と表現した。「彼女は私がオリンピックでプレーすることを最も励ましてくれた人でした」
そして今、彼女たちはパリ現地時間9月2日17時45分(日本時間3日0時45分)から行われる女子シングルス(WS10)の準々決勝に臨もうとしている。2人は、順調に勝ち進めば、9月4日13時45分~(日本時間同日20時45分~)の決勝で対戦することになる。
今大会の女子シングルス(WS10)では、東京2020銀メダリストのアレシャンドレ、同女子団体銀メダリストのタッパー、リオ2016金メダリストのパルティカがメダル争いを繰り広げる熱い戦いが見られるだろう。パルティカとタッパーは、それぞれが準々決勝で勝利した場合、準決勝で相まみえることになる。
アレシャンドレはまた、東京2020金メダリストのヤン・キアン(オーストラリア)と準決勝で対戦する可能性がある。アレシャンドレは東京2020決勝でヤンに敗れているが、今大会ではリベンジを果たしたいところだ。
アレシャンドレにとって、オリンピックとパラリンピックの両大会で競技することは、個人的な達成以上のものであり、強力な発信力となる。彼女は、このチャンスを通じて、多くの人々に希望を与え、オリンピックとパラリンピックの橋渡しになることを目指している。
「パラリンピックは私にとって大きなモチベーションです。インクルージョンの観点からも、スポーツ界だけでなく、私の国や世界に障がいのある人が何でもできることを示すのは、私自身をさらに励ましてくれるのです」
1個の銀メダルと3個の銅メダル(リオ2016女子シングルスおよび団体、東京2020女子団体)を獲得しているアレシャンドレは、果たして今大会でもうひとつの夢をかなえ、念願のパラリンピック金メダルを手にすることができるだろうか。今、世界が注目している。