紫色の陸上トラックが選手たちを際立たせるスタッド・ド・フランス
4月9日(火)、8人の男性がスタッド・ド・フランスの陸上競技トラックのコーナーのひとつで作業を行っていた。
パリ2024オリンピックの400mハードル決勝が行われるのはまだ4か月先のことだが、現在、サン・ドニのスタッド・ド・フランスでは陸上トラックの設置が急がれている。
パリ2024オリンピック開会式が行われる108日前にあたるこの日までに、片側の直線と1つのコーナーが完成している。
「トラックの設置は、計画通りに進んでいます。天気に左右されることもありますが順調に進めています」と、パリ2024の陸上競技担当スポーツマネージャー、元オリンピアンのアラン・ブロンデル氏は説明した。
この日の作業は、レーンラインを引く作業とともに、5月末に終了する予定の全工程の最終段階にあたる。6月1日には、スタッド・ド・フランスの鍵がパリ2024オリンピック・パラリンピック大会組織委員会に引き渡されることになっている。
ここでは、パリ2024の象徴的な会場のひとつであるスタッド・ド・フランスの現在の様子を見てみよう。
大会組織委員会の創造性を反映した特徴的なトラック
なぜスタッド・ド・フランスの陸上トラックは、紫色をしているのか?
これは、改装中のスタジアムをメディアが視察した際に、ブロンデル氏が何度も質問されたものだ。
「これまでとは趣の異なるトラックを考案し、大会組織委員会が描く創造性を反映させた革新的な試みを行うことが重要でした」とブロンデル氏は話した。そして、ラベンダーを思わせるこの色を選んだ理由について説明した。
「競技大会のカラーとして、全ての競技会場に青、緑、紫の3色が使われています。私たちはトラックで使用する紫色をいくつかの異なるトーンで配色しています。競技エリアは明るめの紫、アウトフィールドは暗めの紫としています。曲走路の終わりのコーナーはグレーとし、100年前のパリ1924オリンピックの灰色トラックを彷彿とさせるでしょう」
配色の結果は非常に印象的だ。
すでに部分的に設置されているレーンの色は、何千人ものファンを待ち構える観客席のグレー色と対照的によく際立っている。スタジアムの外からでもトラックは目立ち、見映えがよく写真映りもよさそうだ。
紫色をした陸上トラックは珍しいが、この色は時間をかけて検討を重ねた結果として選ばれた。
「私たちはトラックの色について時間をかけて検討を重ねました。その結果、アスリートを際立たせるベストな色調を創り出したのです。トラックは美しくなければなりませんが、何よりもそこはアスリートたちがパフォーマンスを発揮するステージです。アスリートが際立つことがとても重要です」と、十種競技の元ヨーロッパチャンピオンのブロンデル氏は強調した。
細部まで徹底されたスタッド・ド・フランス
スタッド・ド・フランスは巨大な会場である。
パリ2024オリンピックでは、日々74,000人の観客を収容することになる。スタジアムは非常に大きいため、その屋根を数キロメートル先からでも見つけることができる。改修工事が大規模になったとしても不思議ではない。
競技大会のために2つの巨大なスクリーンが新たに設置され、それぞれがテニスコートほどの大きさがある。また、興奮する観客を際立たせるため、650の新しい照明が追加された。
一方、選手たちにとっての理想的な競技環境を確実にするため、ミリメートル単位の精度と詳細な専門知識が求められた。工事中には専門家が呼ばれ、競技エリアの2層のアスファルトが適切に敷かれているか確認作業が行われた。完璧を求めるためには精度が重要であり、競技エリアの平坦さの追求はその例である。
今後、13,000~14,000平方メートルの競技エリアを設置する数週間の作業が計画されている。2,800個以上使用される接着剤はトラックと同じ紫色とするほどの徹底ぶりだ。
スタッド・ド・フランスでは、オリンピック競技大会の開催が少しずつ現実味を帯び始めている。第33回オリンピアードがパリで開幕となるまであと100日となった。