5月16日~19日に開催された第1戦上海での激闘から約1ヶ月。スケートボード、スポーツクライミング、ブレイキン、BMXフリースタイル4競技のパリ2024オリンピック出場枠をかけた最後の戦いとなる「オリンピック予選シリーズ」(OQS)の第2戦が、6月20日、ハンガリーの首都ブダペストで開幕した!
大会初日、現地時間12:00から行われたスポーツクライミング女子ボルダー予選(ボルダー&リード 複合)に、OQS上海大会で総合4位の野中生萌(38ポイント)と総合5位の伊藤ふたば(36ポイント)が挑んだ。上海大会とブダペスト大会のポイントの合計でパリ2024日本代表の座、残り最大1枠が決まるスポーツクライミング。東京2020銀メダリストの野中は、ボルダー全4課題を完登し、99.8点(24.9/25.0/25.0/24.9)で首位発進。伊藤はオーバーハングの第3課題で苦戦し、84.3点(24.9/24.4/10.0/25.0)の10位でボルダー予選を終えた。6月21日リード予選の結果、上位20選手が準決勝に進出する。
4つのヒートに分かれて行われたスケートボード女子パーク予選では、日本女子勢が1.07ポイント以内に4人がひしめく接戦を繰り広げた。1位は、日本人の母とイギリス人の父を持つイギリス代表のスカイ・ブラウン。ひざの靭帯損傷のため上海大会を欠場したとは思えないパフォーマンスで86.88点のハイスコアを出し、2位のブライス・ウェットンスタイン(アメリカ合衆国)に3.13点の差をつけて首位で準決勝へ進んだ。日本選手最高順位は第2ランで3位となる83.60点の高評価を受けるランを披露した草木ひなので、4位に長谷川瑞穂(83.50点)、5位開心那(ひらき・ここな、83.01点)、6位四十住さくら(よそずみ、82.53点)、11位菅原芽依(79.76点)、42位中村貴咲(26.80点)という結果だった。なお、準決勝進出は上位16名までとなり、中村は予選で敗退となった。
現地時間18:35から行われたスケートボード男子ストリート予選では、佐々木音憧(とあ)が出場43選手の中で唯一の91点台のハイスコアを叩き出すランで1位で予選突破、会場を大いに沸かせた。代表争い5番手から逆転を狙う堀米雄斗は、7位に入った。1本目で失敗し、後がなくなった2本目に得意とするノーリー270ノーズスライドをきめて86.40点の高得点を出し、東京2020金メダリストの勝負強さを見せつけた。このほか、根附海龍(ねつけ・かいり、10位85.68点)、白井空良(そら、12位83.90点)、小野寺吟雲(ぎんう、15位82.75点)が上位16名に入り、準決勝進出を決めた。青木勇貴斗(ゆきと)は22位78.48点で、予選で敗れた。
オリンピック予選シリーズ第2戦ブダペストの結果はこちらで6月20日~23日まで毎日更新予定。
※オリンピック各国代表の編成に関しては国内オリンピック委員会(NOC)が責任を持っており、パリ2024への選手の参加は、選手が属するNOCがパリ2024代表選手団を選出することにより確定する。各競技の出場資格に関する公式資料はこちら。
OQS第2戦ブダペスト、スケートボード
草木ひなのがフルメイクして首位発進/女子パーク予選
最大3枠のパリオリンピック代表を目指す日本女子勢のトップ・全体3位で予選を通過した草木は、「上海(OQS第1戦)とドバイ(スケートパークWST)、めちゃめちゃ悔しい想いをしたんで、やっと借りを返したというか、草木ひなのだよっていうのを見せれたと思います」と、自分の納得したランで得点に繋げられた喜びを語った。1本目は「大会で気合入っちゃってスピードが速くなって、最後結構巻いて全然点数が出なかった」と振り返るも、「2本目は自分でやりたかった540(ファイブフォーティー)、しっかり攻めたわたしらしいラインができたのかなと思います。気持ちよかったですね、本当に」と、笑顔で続けた。今シーズン初めて試合できめることができた540については、「軸を修正して準決勝でも1本目しっかり出していけたらいいなと思います」と抱負を語った。
4位で予選を終えた長谷川瑞穂は、結果とは裏腹に、予選のランを振り返り意外な言葉を口にした。「悔しかったな、と思います。1本目がめちゃくちゃ危ない場面がいっぱいあって、だけど結構高めに点が出たから、なんだろう?と」自分の中では良くないと感じたランの評価が想像より高かったことに対して葛藤が生まれたという。「それで、『絶対いいやつ見せてやる』みたいな感じで、その後2本とも(自分にできるランを)全部見せた」と、熱い想いを口にした。3本目はフロントエアーの後に滑ってしまい点数が伸びなかったが、「頑張ってるところを見てほしいなと思います。自分の滑りが出来たらいいなと思います」と、準決勝に向けて気合を込めた。
OQS上海で準優勝した世界ランキング1位の開心那は、「1本目から完璧に滑り切れて、準決勝に進出できて良かったです。2本目は準決勝に進出できるのが分かっていたので、何をしようか考え、練習していなかったフロントテールに挑戦しました」と、試合本番で新技に挑戦したことを明かした。そして、「予選から準決勝に進出できたので、ここからはさらに攻めていきたいと思います。まだフロントノーズを出していないので、それに挑戦したり、フリップのインディーも試してみたいと思います」と、パリ2024の前哨戦としてブダペスト大会でさらなる進化を目指す意気込みを語った。準決勝以降の彼女のトリックに注目したい。
6位で準決勝に駒を進めた四十住さくらは、コースに入る前、「今までで一番緊張してた。最終戦っていうのもあるし、今回のルーティーン的にあんまり自分の中で良いランをきめてなくて、納得のいくライン取りがなかなかできなかったから」と、不安を抱えながら挑んだことを打ち明けた。「1本乗ってそれで点数がでたから、逆にそれで自信が付きました」。「スカイ(ブラウン)が1位通過していて『一緒のヒートで行けるように頑張ろうね』って言ってハグして。スカイのパワーが届きました。日本でも直前まで一緒に練習してたし、大親友なんで、一緒に上がれてよかったです」と嬉しさをにじませた。
OQS第2戦ブダペスト、スケートボード
堀米雄斗が勝負強さを見せて準決へ/男子ストリート予選
東京2020のように土壇場の底力を見せて巻き返し、予選を7位で通過した堀米雄斗。「最初1本目乗れなくてきつい感じではあったんですけど…(第3ヒート)一番最後っていうのもあって2本目すごいプレッシャーもあったんですけど、最後まで滑り切れて、狙っている技もちゃんと乗れたのが良かったです」と、初日を振り返った。2本目で決められなかったらパリへの道が絶たれてしまうという後がない状態の中、トリックを成功できた理由を聞くと「プレッシャーをいつもは楽しめないんですけど、なんか楽しめたからですかね」と笑顔を見せ、「まずはラインをちゃんと決めて、ベストトリックも次はあるので、そこもちゃんと乗ってまずは決勝まで行きたいです」と、力強く口にした。
OQS上海大会で日本勢トップの準優勝という成績を残し、ブダペストに乗り込んだ14歳の小野寺吟雲(ぎんう)は、予選のランを振り返り、「1本目で落ちちゃってぎりぎりで、でも2本目でちゃんときめられたから嬉しかったです」と話すと、「楽しく全力でやるだけと思って」と語り、追い込まれた2本目も、緊張せずに自分らしくパフォーマンスができたと笑顔を見せた。男子ストリートの準決勝は、6月22日(土)現地時間11:15から開始となる。「明日は1日空くから、ちゃんと休んでいっぱい食べます。あと準決勝と決勝だけなんで、攻めて勝ちたいです」と、元気に抱負を語った。
OQS第2戦ブダペスト、スポーツクライミング
ボルダー予選(ボルダー&リード複合)
第1戦上海でも高温多湿の中、クライマーを苦しめた屋外クライミングウォール。ブダペスト初日も32度を超える暑さの中、ボルダー4課題が選手たちをふるいにかけた。
「汗はコントロールできないんで、なるべく待機中にアイシングしたりだとか、扇風機の風にあったりだとかしていました」と対策を打って挑んだ野中は、「暑い中でもまとまったクライミングができたと思うので、良いスタートを切れた」と安堵の表情を見せた。「自分でも気づかなかったんですけど、上海の後は気持ち的にも体力的にもダメージを受けていた部分があって、一週間はゆっくり過ごしていました。そこから徐々にクライミングを再開して調子もあげて、トレー二ングの内容もさらにレベルを上げてやってきました」。0.1ポイント差の4位で終えた第1戦目については、「上海で(リード種目)60点を超えたっていうのは私的には嬉しくて」と振り返ると、“今大会での目標は80ポイント”と掲げ、リードのコーチと共に「目標が現実になるようにちゃんと練習も頑張りました」と、明日のリード種目に向けて意欲を語った。
ボルダーすべてで完登し勢いをつけたかったという伊藤は、3課題目で足が滑り、10位発進に。「緊張とかで集中しきれてなかったり、歯車が合わない感じであんまりうまくいかなかった感じがします。この大会ですべてが決まるので、ここに向けてすごくトレーニングも頑張ってきたので、すごく緊張してます」と、初日を振り返った。上海のあとブダペストに向けてさらなるレベルアップを図り練習を重ねてきたが、「メンタル的には今大会の方がすごく厳しい部分があると思う」と、最終戦ならではのプレッシャーを感じていることを明かした。
「ラウンドをこなしていくごとに少しずつ上がっていくタイプなので、しっかり明日からまた切り替えて頑張っていきたいなと思います。スタートする前がすごく不安で、始まるのが怖かったりとかはあったんですけど、始まっちゃえばあとやるだけなので、切り替えて良いパフォーマンスをすることだけに集中したいなって思ってます。明日リードでしっかり良い登りをして、準決勝に繋げられたらいいなと思います」と、前を向いた。
オリンピック予選シリーズ2024 第2戦ブダペストのライブ配信情報
オリンピック予選シリーズ(OQS)第2戦ブダペストの戦いの模様はOlympics.comのオリンピックチャンネル、公式アプリで配信が予定されている。詳しくはこちら。
オリンピック予選シリーズ2024 第2戦ブダペストの日程
以下、現地時間。括弧内は日本時間(日本時間は7時間進んでいる)。開始時間は変更になる可能性もある。
6月20日(木)
- 11:40(18:40)スケートボード女子パーク 予選
- 12:00(19:00)スポーツクライミング男子・女子ボルダー&リード 予選・ボルダー
- 16:35(23:35)スケートボード男子ストリート 予選
6月21日(金)
- 10:00(17:00)BMXフリースタイル女子 予選
- 10:00(17:00)スポーツクライミング男子・女子ボルダー&リード 予選・リード
- 11:40(18:40)スケートボード男子パーク 予選
- 14:00(21:00)BMXフリースタイル男子 予選
- 16:35(23:35)スケートボード女子ストリート 予選
- 17:00(24:00)スポーツクライミング女子スピード 予選
- 17:50(24:50)スポーツクライミング男子スピード 予選
6月22日(土)
- 9:30(16:30)スケートボード女子パーク 準決勝
- 10:00(17:00)スポーツクライミング男子・女子ボルダー&リード 準決勝・ボルダー
- 11:30(18:30)BMXフリースタイル女子 決勝
- 11:15(18:15)スケートボード男子ストリート準決勝
- 13:00(20:00)ブレイキンBボーイ・Bガール 1次予選
- 14:00(21:00)BMXフリースタイル男子 決勝
- 14:00(21:00)スポーツクライミング男子・女子ボルダー&リード準決勝・リード
- 15:30(22:30)スケートボード男子パーク準決勝
- 16:45(23:45)ブレイキンBボーイ・Bガール 2次予選
- 17:05(24:05)スケートボード女子ストリート準決勝
- 18:15(翌1:15)スポーツクライミング女子スピード 1回戦〜決勝
- 18:30(翌1:30)スポーツクライミング男子スピード 1回戦〜決勝
6月23日(日)
- 9:30(16:30)ブレイキンBガール ラウンドロビン
- 10:00(17:00)スポーツクライミング女子ボルダー&リード 決勝・ボルダー
- 10:30(17:30)スケートボード女子パーク 決勝
- 12:00(19:00)スケートボード男子ストリート 決勝
- 12:05(19:05)スポーツクライミング女子ボルダー&リード 決勝・リード
- 12:45(19:45)ブレイキンBボーイ ラウンドロビン
- 15:00(22:00)スケートボード男子パーク 決勝
- 15:30(22:30)スポーツクライミング男子ボルダー&リード 決勝・ボルダー
- 16:00(23:00)ブレイキンBガール・Bボーイ 準々決勝〜決勝
- 17:00(24:00)スケートボード女子ストリート 決勝
- 17:35(24:35)スポーツクライミング男子ボルダー&リード 決勝・リード