4年ごとに行われるオリンピックでは、体操競技の選手たちは世界中の人々を魅了する。
2021年に開催される東京2020が待ちきれない人のために、ここでは注目選手やスケジュール、フォーマット、会場やオリンピックでのこの競技の歴史をご紹介しよう。
東京2020体操競技の注目選手
東京2020は、体操競技ファンにとって特別なものになることだろう。この競技における史上最高のアスリート2人、シモーン・バイルス(米国)と**内村航平**(日本)が出場予定だからだ。
2013年に国際大会に登場して以来、バイルスはこのスポーツを支配してきた。個人総合で世界王者のタイトルを5回獲得した唯一の女子選手であるなど、彼女の栄光の記録は止まる所を知らない。19の世界タイトルと4個のオリンピック金メダルを含む30のメダルを世界選手権とオリンピックで獲得。また、彼女の名を冠した技が4つある。
アメリカ女子チームは、3大会連続での団体金メダル獲得が有力だが、4人で構成されるこの選手団に入るのは熾烈な争いだ。候補にはスニサ・リー、モーガン・ハード、ライリー・マカスカー、グレース・マッカラン、リアン・ウォン、カーラ・イーカー、ミカイラ・スキナーらが名を連ねる。チームUSAの一員として2017年と2019年の世界選手権でメダルを獲得しているジェイド・キャリーは、すでに個人で本大会への出場権を獲得している。
その他の女子選手としては、2019年世界選手権の個人総合でそれぞれ2位と3位に入賞した中国のタン・シージンとロシアの**アンジェリーナ・メルニコワ**に注目だ。
男子では、内村が東京2020では鉄棒のみに出場することを表明している。そのため、彼が前人未到のオリンピック個人総合3連覇を達成することはなくなった。
しかし他にも、ロシアのダイナミックなデュオ、**ニキータ・ナゴルニーとアルトゥル・ダラロヤン**ら注目選手が目白押しだ。ダラロヤンが世界選手権で個人総合のタイトルを取った2018年以降、2人は男子体操界を席巻している。ナゴルニーは2019年の欧州選手権と世界選手権で個人総合の金メダルを獲得。2人の善戦により2019年にはロシアに世界選手権で初の団体金メダルをもたらした。
東京では、中国がロシアの最大のライバルになりそうだ。2017年の世界個人総合チャンピオン、シャオ・ルオテンと、2019年の世界選手権で個人総合5位に食い込んだスン・ウェイがいかにロシアの2人に対抗するか。スンは中国の現個人総合チャンピオンだ。
そして日本チームの命運は、この2年間で頭角を現してきた選手たちにかかっている。そのうちの一人、**萱和磨は2019年の世界選手権で個人総合6位、直近の全日本選手権では、2018年のユースオリンピック、ブエノスアイレス大会で5つの金メダルを獲得した新星、北園丈琉**より上位で終えている。
東京2020での体操競技日程
東京2020の体操競技は7月24日から8月3日まで行われる。男子と女子が交互に行われ、まずは予選ラウンドからスタートする。最初のメダル決定戦は団体戦の決勝で、続いて個人総合が行われる。その後2日間の休息日を経て、3日間をかけて種目別の決勝が行われ、体操競技は幕を閉じる。
スケジュールは以下の通り。時間はすべて日本標準時(JST)。
7月24日(土)
- 10:00 - 12:30 - 男子予選、第1グループ
- 14:30 - 17:00 - 男子予選、第2グループ
- 19:30 - 22:00 - 男子予選、第3グループ
7月25日(日)
- 10:00 - 13:35 - 女子予選、第1グループ
- 15:10 - 18:45 - 女子予選、第2グループ
- 20:20 - 22:00 - 女子予選、第3グループ
7月26日(月)
- 19:00 - 22:00 - 男子団体決勝
7月27日(火)
- 19:45 - 22:00 - 女子団体決勝
7月28日(水)
- 19:15 - 22:00 - 男子個人総合決勝
7月29日(木)
- 19:50 - 22:00 - 女子個人総合決勝
8月1日(日)
- 17:00 - 20:00 - 種目別決勝 1日目(男子ゆか運動・鞍馬、女子跳馬・段違い平行棒)
8月2日(月)
- 17:00 - 19:15 - 種目別決勝 2日目(男子つり輪・跳馬、女子ゆか運動)
8月3日(火)
- 17:00 - 19:15 - 種目別決勝 3日目 (男子平行棒・鉄棒、女子平均台)
東京2020での体操競技フォーマット
東京2020の体操競技には、男子98名、女子98名の選手が出場する。ほぼすべての選手は、4人1組のチームの一員として出場権を獲得する。その他、2019年の世界選手権のメダリストや、ワールドカップシリーズ、大陸選手権などで種目別、個人総合でメダルを獲得した選手も個別に出場権を得ることができる。
競技は予選ラウンドから始まり、ここで団体戦決勝に進む8カ国、個人総合決勝で金メダルを狙う24人、種目別決勝で表彰台を目指す各種目の8選手が決定する。
予選での得点はメダル決定戦には持ち越されない。団体戦の決勝では、各国とも3人が演技を行い、最終順位は、全種目のすべての得点を合計して決定する。個人総合のメダルは、すべての種目の得点を合計して決定。種目別決勝は、各種目ごとにその日に演技を行った8人の得点で順位が決まる。
オリンピック競技としての歴史
体操競技は、1896年に近代オリンピックが誕生して以来、実施競技となっている。女性が初めて参加したのは、1928年のアムステルダム大会だ。
この競技で権勢をふるうのはソビエト連邦で、オリンピックでの獲得メダル数も最多の182個。そのうち72個が金メダルだ。2番手はアメリカで114個のメダルを獲得。日本が98個で続く。
オリンピックで最も多くのメダルを獲得した選手はソビエト連邦の**ラリサ・ラチニナで18個。そのうち9個が金メダルだ。同じくソ連のニコライ・アンドリアノフ**は15個と、この競技で2番目に多くのメダルを獲得している。
体操競技の歴史で最も象徴的と言えるのは、1976年のモントリオール大会で、ルーマニアの**ナディア・コマネチ**がオリンピック史上初の10点満点を出した瞬間だろう。この大会で彼女はさらに6回満点の演技を披露し、3つの金メダルを獲得した。その4年後のモスクワ1980でも2つの金メダルを勝ち取っている。
東京2020での体操競技会場
東京オリンピックの体操競技は、東京・有明地区の北部に位置する有明体操競技場で行われる。この会場は12,000人のファンを収容することができる。