冬季オリンピックアスリートの幸運を招くゲン担ぎ

オリンピックは、アスリートにとって夢の舞台。開幕間近の北京2022で活躍が期待される冬季オリンピック選手たちが、大一番の前にルーティンで行なっているゲン担ぎや、幸運が来ると信じていることなどを紹介しよう!

1 執筆者 Hounche Chung
Francesca Lollobrigida of Italy
(2020 Getty Images)

冬のアスリートたちは、戦いの舞台となる氷雪の上で、ウィンタースポーツ特有の用具を巧みに操り、その正確性や覚悟を決めた強いメンタル、時には刻々と変化する状況への瞬時の対応力など、多くの研鑽を積んで、様々なスキルを備えている。だからこそ、ライバルと繰り広げるアクロバティックなパフォーマンスに、私たちは心を動かされる。

そんな常人を超越したトップアスリートの中には、重要な場面の前に必ず行なうゲン担ぎのルーティンや、微笑ましい迷信を信じているようだ。Olympics.comでは、開幕間近の**北京2022**に出場するアスリートたちが、実際に実行しているルーティンやゲン担ぎを厳選したので、興味深いアスリートの舞台裏を紹介していこう!

ボディペイント

ローザンヌ2020冬季ユースオリンピックのフリースタイルスキー・ビッグエアで金メダルに輝いた中華人民共和国(中国)代表の**グー・アイリーン**は、手の平に「ラッキーキャット(幸運を呼ぶ猫)」をペイントしていた。

「私、とても迷信深いのです。試合の時に、誰かを頼ることは良くないことだと分かっているので、(手の平のペイントを)見つめながら心を落ち着けていました。もし、オリンピックで表彰台に立てる成績を収められるのなら、ラッキーキャットのタトゥーを入れようかな」

地元開催となる北京2022のメダル候補として呼び声の高い彼女は、ひょっとしたらもう、幸運を呼ぶ猫のタトゥーを入れているのかもしれない。

(2020 Getty Images)

ソチ2014スノーボード女子クロスで金メダルに輝いたチェコ共和国(チェコ)代表の**エバ・サムコバ**は、重要な大会の前には、上唇の真上にフェイクの口髭を描くことで有名だ。初出場でいきなり5位に入った2011年の世界選手権以来、彼女はこのルーティンを欠かさないそうだ。そして、その3年後、オリンピックの表彰台の頂に上り、チェコ初となる金メダルをもたらしたのだ。ちなみに、この時の口髭は、チェコの国旗と同じ、白・赤・青の3色で描かれていた。

(2014 Getty Images)

色へのこだわり

色に関するゲン担ぎといえば、ショートトラック大韓民国(韓国)チームの主将を務める**クァク・ユンギ**のルーティンが興味深い。クァクは、大きな大会前に身に着けるアンダーウェアについて、取り憑かれたようなこだわりがあると告白している。大会で長期間にわたって遠征先に滞在する際は、特別な日の試合に向けて、様々な色のアンダーウェアを持参するそうだ。

しかし、このルーティンを今はやめている。なぜなら、競技スケジュールの変更などが発生すると、用意したものでは足りなくなってしまうことがあり、現地で再調整しなければならないことが負担になったそうだ。そこで、彼は新たに、よりシンプルなルーティンを取り入れるようになった。それは、大一番の場面では、同じ形状かつ同じ色、それは必ず赤色のアンダーウェアを身につけるようになったという。

クァクとは対照的に、スピードスケートのイタリア代表**フランチェスカ・ロロブリジダ**は、特定の色にこだわらない。彼女は状況に応じて、レーシングスーツの下に身につけるアンダーウェアの色を変えると、Olympics.comのインタビューで答えている。

「レース毎に、幸運をもたらしてくれる色は変わるので、それに応じてアンダーウェアも変えています」

イタリア国内最速記録を3000mと5000mの2種目で保有しているということは、このルーティンがまさに彼女へ幸運をもたらしている証拠だ。

「1000m、1500m、3000mと、種目毎に色を変えています。それから、レース中のクラッシュ防止の願いも込めて、靴下の左右の色も変えることがあります」

(Getty Images)

競技直前のルーティン

チーム競技のアスリートは、チームメイトとともに共通のルーティンを実行している。ROCカーリング女子代表でスキップを務めるアリーナ・コバレワが、Olympics.comのインタビューで教えてくれた。

「ええ、競技の直前、チーム内でのルーティンがありますよ。お手玉のような小さなボールで、それを蹴って遊んでいます。これで、ウォームアップやストレッチは十分に行なえて、大事な試合に臨めるのです」

「早めにアイスリンクへ到着してしまった時など、だいたい15分から20分くらい待たなければいけないので、そのボールで蹴って遊ぶんです。何もすることがないから(笑)。でも、こうすることで、本番で使うカーリング用具を傷めなくて済むので、今では競技用具だけでなく、このボールを持ち歩くことが、私たちの大切なルーティンになっています」

ほかにも、平昌2018ショートトラックで金メダルに輝き、ハンガリーのスター選手となった**シャオリン・リュウ**は、レース開始前の紹介アナウンスで名前を呼ばれると、右から左へ両眉を右手の指でなぞり、カメラに向かってウィンクするのが定番だ。彼のこのお決まりのルーティンのおかげで、ハンガリー初となる金メダルを獲得できたのかどうかは不明だが、「愛情を込めたウィンク」のパワーを信じていると、Olynmpics.comのインタビューで語っている。

「カメラに向かってウィンクしたら、みんなが気に入ってくれて! 僕のゲン担ぎのようなものになったんだ。これを毎回するようになってから、レースでもたくさん勝てるようになったんだ」

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