柔道・村尾三四郎、本物を目指して/パリ2024オリンピック日本代表
数々の名シーンが生まれ、観客を興奮の渦に包み、人々に多くの感動をもたらしてきたスポーツの祭典、オリンピック。中心にいるのは、この瞬間のために多くを捧げて自らのスキルを磨いてきたアスリートたちだ。
7月26日〜8月11日の日程で行われているパリ2024オリンピックでは、フランスの首都パリに世界のトップアスリートたちが集結し、それぞれ夢や目標のために全神経を傾けすべてをぶつける。金メダルを獲得するために、過去の自分を超えるために、いつも支えてくれる家族のために、この瞬間を仲間と共有するために…。
選手にとってその時が刻一刻と迫る今、Olympics.comでは日本を代表するトップアスリートの歩みを辿る。ここでは「令和の三四郎」と呼ばれる米ニューヨーク生まれの柔道家、村尾三四郎を紹介しよう。
NY生まれの村尾三四郎、「オリンピックは夢の舞台」
日本出身の父、アメリカ合衆国出身の母を持つ村尾三四郎は、2000年に米ニューヨークで生まれた24歳。2歳のときに日本に移住し、その3年後に柔道と出会った。中学生の頃から全国大会で頭角を表した村尾は、高校3年だった2018年に「代打」として急遽出場した初めてのグランドスラム大阪大会で銅メダルを獲得し、世界へと羽ばたくチャンスをものにした。
時は東京2020を2年後に控えた2018年。「令和の三四郎」と呼ばれるなどして注目を集めたものの、日本代表の座は最終的に向翔一郎にわたった。代表争いの中で自分の弱さを突きつけられた村尾だったが、2021年5月のグランドスラム・カザン大会でツアー初優勝、翌年にはグランドスラム2勝。そして2022年6月に行われた団体戦・全日本学生優勝大会では歴史に残る名勝負を演じる。当時東海大学の主将を務めていた村尾は、無差別級の全日本王者・斉藤立(たつる)を破って東海大の6連覇に貢献。体重差75kgを乗り越えて手繰り寄せた一本には多くの賛辞が寄せられた。
同年12月のワールドマスターズでは決勝でアレクシス・マチュー(フランス)を破って優勝。これをきっかけに村尾はパリに向けて大きく前進し、世界選手権の日本代表に選出されて3位で表彰台に立った。
小さい頃から磨いてきたという内股と大外刈りを得意とする村尾の好きな言葉は「Be Real」。「本物」を目指して心技体の鍛錬を重ねる中で勝ちにこだわり、「(オリンピックは)小さいときから憧れの舞台。自分の人生において重要な、すごく意味のある夢の舞台だなと思っています」とOlympics.comのインタビューで語るなど、オリンピックにかける思いは強い。
村尾が出場する90kg級で最大のライバルと目されるのは、東京2020金メダリストのラシャ・ベカウリ(ジョージア)だ。村尾と同じ2000年生まれのベカウリとはこれまでに3度対戦し、村尾が3敗。直近では2023年の世界選手権の準決勝で対峙し、合わせ技一本でベカウリに軍配が上がった。パリ2024ではそれぞれが勝ち上がれば決勝まで対戦することはない。果たしてパリでの戦いの行方はいかに。
柔道日本代表、村尾三四郎の主な戦績
- 2024年4月 アジア選手権2024 優勝
- 2024年3月 アンタルヤグランドスラム2024 優勝
- 2023年12月 東京グランドスラム2023 優勝
- 2023年5月 世界選手権2023 3位
- 2023年3月 タシケントグランドスラム2023 準優勝
- 2022年12月 ワールドマスターズ・エルサレム2022 優勝
- 2022年12月 東京グランドスラム2022 3位
- 2022年8月 アジア選手権2022 優勝
- 2022年7月 ハンガリーグランドスラム2022 優勝
- 2022年2月 パリグランドスラム2022 優勝
パリ2024オリンピック、柔道男子90kg級の試合日程
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柔道・村尾三四郎プロフィール
※年齢は2024年7月26日パリ2024オリンピック開会式当日を基準とした。