「1回目で通過したかったんですけど、簡単にはいかなかった」
2月3日の男子モーグル予選1回目を16位で終えた**堀島行真**は、残る10枠の決勝進出への切符を掴むため、5日19:00(現地時間18:00)から予選2回目へ挑む。
堀島のフリースタイルスキーモーグル競技のキャリアにおいて、常に目標であり、ライバルであり、超えたい存在の**ミカエル・キングスベリー**(カナダ)が1位で予選を通過する中、堀島はキングスベリーとの決勝対戦に向けて、予選1回目でミスのあったエア(空中技)を調整していきたいところだ。
中学3年生で堀島がワールドカップデビューをした時からモーグル男子トップとして最高成績を打ち立てていたキングスベリーは、堀島にとって憧れの選手だ。
世界一になるために超えなければならない壁である彼を必死に追いかけてきた堀島は、平昌プレシーズンとなる2017年に、当時ワールドカップ総合6連覇中だったキングスベリーを破り、世界選手権モーグルとデュアルモーグルで日本男子史上初の2種目制覇を達成。2018年1月にはワールドカップ初優勝を飾り3連覇を果たすなど、一躍その名を世界にとどろかせ、モーグル界の新星として一気に注目を浴びる存在となった。
いつしか憧れの存在から同じ舞台で戦うトップアスリート同士となり、オリンピックでは打倒キングスベリーに一番近い存在として、平昌2018に初出場を叶えた堀島だったが、本番ではエアの着地とターンミスが転倒に繋がり、11位に。
同い年の**原大智**が日本男子モーグル史上初のメダル(銅)を獲得し、キングスべリーと共に表彰式で輝く姿を見ることとなった。
「当時は金メダル候補と言われても自分の実力を信じられなかった」
世界選手権制覇、9季連続のワールドカップ種目別総合優勝を誇り、最多優勝記録71勝を達成しているキングスベリーもそうであったように、オリンピックの金メダル獲得の道は一筋縄ではいかない。心技体が三位一体となっていなかったと振り返る平昌2018の自分を超えるために、自分の苦手とするモーグル採点配分の60%を占めるターンの課題に向き合い取り組むことを決意する。
ターンを武器として高得点を打ち出す、キングスベリーとの勝負に勝つことだけでなく、自分の夢である「歴代のモーグルスキーヤーの中でも、堀島行真が1番と言われる選手になること」を実現するために。
持ち味のエア(空中技)を伸ばしつつ、ターンでも理想的な滑りが追求できるよう、スキー板の長さも変更し、得点を狙えるだけでなく、スピードにもつながる、スキー板のエッジを雪面にきかせて滑る「カービングターン」の習得に打ち込んだ。
以前から、ジブアイテムを使ったフリースタイルスキーを楽しんだり、夏場はBMXやパルクールをしたりといろいろな競技にチャレンジしてきた堀島だが、2021年の夏は、スノーボードや、フィギュアスケートのブレードの細さで左右のエッジを感じる感覚を養ったりなど、モーグルのターンに活かすヒントを得られるスポーツを体験し、オフシーズン日本でできることの全てをチャレンジしてオリンピックシーズンに準備してきた。
数年にわたり改善してきた技術面のパズルのピースが噛み合い始めた今季は、ワールドカップ9戦全てで表彰台に上がり、3勝を収め、種目別総合ランキングはキングスベリーに続き2位で北京入りを果たす。
非オリンピック種目のデュアルモーグルでは、これまでのワールドカップ2戦でキングスべリーが2勝している。
「世界で最も優れたスキーヤーのひとりである行真と競い合うのはいつも楽しいです。毎回接戦で、今回も例外ではなかったですが、本当に素晴らしいレースでした」=2021年12月12日イドレ大会終了後、ミカエル・キングスべリー:Vancouver is Awesome
憧れの存在から良きライバルへと関係を変えながら、今では互いを成長させる存在であるふたり。北京2022では、キングスベリーが2連覇達成を狙う中、堀島は悲願の金で4年前の雪辱へ。ワールドカップでは、前人未到の年間総合優勝10回目を目標に掲げるキングスベリーに対し、堀島は自身初となる種目別クリスタルグローブ獲得を狙う。
北京予選では一歩で遅れたものの、決勝ラウンドでは調子を整えながら勝ち抜き、念願のメダルを手に入れたいところだ。
本日5日19:00~の予選2回目で決勝に突破した場合、決勝1回目で20人から12人に絞られ、決勝2回目で上位6人が最終戦進出となり、決勝3回目でメダリストが決まる。
2月5日スケジュール(日本時間)
- 19:00開始:男子モーグル 予選2回目
- 20:30開始:男子モーグル 決勝1回目
- 21:05開始:男子モーグル 決勝2回目
- 21:40開始:男子モーグル 決勝3回目