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東京2020に出場するIOC難民選手団の29名の競技スケジュールをチェック
2021年7月23日に東京国立競技場で正式に開幕するオリンピック競技大会 東京2020では、IOC難民選手団(EOR、フランス語のÉquipe olympique des réfugiésから)が2度目の出場を果たす。
リオ2016に続き、国連の難民認定を受けている世界有数のアスリートたちが、再びオリンピックに出場する機会を得ることになる。
2018年10月、ブエノスアイレスで開催された第133回IOC総会では、東京2020に向け、EORの結成が承認された。13ヵ国と21のホスト国から集まった55人の候補アスリートに、トレーニングを支援するIOC難民アスリート奨学金が与えられた。
その結果、29名のアスリートが選抜され、東京2020でEORのカラーを身にまとう。難民アスリートは、現在進行中の世界的な難民危機に対する認識を高めるために、再び国際的な舞台に立つ。
ここでは、東京2020に出場するEORのアスリートたちの競技種目と、日本での観戦方法を紹介する。
IOC難民選手団の歴史
IOC難民選手団は、2016年3月に国際オリンピック委員会の執行委員会によって初めて創設されたもので、難民問題の影響を受けた潜在的なエリートアスリートたちに、オリンピック大会の出場権と参加する機会を提供することを目的としている。
トーマス・バッハIOC会長は、当時、「難民オリンピックアスリート(当時の呼称)をリオ2016に迎えることで、私たちは世界のすべての難民に希望のメッセージを送りたい」と述べた。
この年、43名の候補者が最終選考に残り、最終的に10名の選手が選ばれ、リオのオリンピックに参加。候補となった選手はすべて、国連の難民認定を受けていた。
2016年6月にチームが発表された後、バッハ会長は「これは、世界中のすべての難民にとって希望の象徴となり、この危機の大きさを世界がよりよく認識することになるでしょう」と付け加えた。
「また、難民は私たちの仲間であり、社会を豊かにする存在であることを国際社会に伝えるものでもあります。難民アスリートたちは、想像を絶する悲劇に直面したにもかかわらず、誰もがその才能やスキル、人間の精神の強さを通じて社会に貢献できることを世界に示すことになるでしょう」
ポポレ・ミセンガとユスラ・マルディニの2名のアスリートが、予選などで結果を残した。
閉会式で旗手を務めたミセンガは、柔道の開幕戦で勝利し、90kg級でラウンド16に進出。マルディニは、100mバタフライの予選を勝ち上がったものの、準決勝には進めなかった。
IOC難民選手団に与えられたミッション
難民とは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の定義によると、「迫害、戦争、暴力などのために自国からの脱出を余儀なくされた人」を指す。
EOR、そしてそのアスリートたちは、世界中の難民にとって希望の象徴であり、国際的な難民危機の規模についての世界的な知識と関心を高める役割を果たしている。
IOCは、オリンピック・アジェンダ2020+5が今年採択されるまでオリンピックムーブメントの戦略的ロードマップとなっていたオリンピック・アジェンダ2020が承認された後、難民危機を受けて、200万ドルの特別基金を設立し、スポーツを通じた救済プロジェクトを展開してきた。
それがやがて、リオ2016に向けたチームの結成につながっていった。
そして2017年9月、リマで開催されたIOC総会において、スポーツを通じた脆弱な状況にある子どもや若者の保護、育成、エンパワーメントを支援する**オリンピック難民基金**が発足した。
現在、**オリンピックソリダリティー**の管理のもと、難民アスリート奨学金プログラムは成長し、陸上競技、バドミントン、ボクシング、カヌー、自転車競技、柔道、空手、射撃、競泳、テコンドー、ウエイトリフティング、レスリングの12競技で、55名の有望な難民アスリートがIOCの支援を受けている。
IOC難民選手団メンバーと出場する競技日程
2021年7月23日の日本時間午後8時(UTC11:00)から始まる開会式で、IOC難民選手団は、ギリシャに続いて2番目に入場する。
EORの各選手が出場する競技と、日程の詳細なガイドを紹介する。すべての時間はセッションの開始時間を反映しており、必ずしも競技の正確な時間ではない。また、時間は日本標準時(UTC +9時間)。スケジュール情報は2021年7月1日時点のもの。
陸上競技
出身:南スーダン
ホスト国:ケニア
競技種目 女子1500m
出場競技日程:8月2日午前9時(予選)、8月4日午後6時30分(準決勝)、8月6日午後7時50分(決勝)
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出身:コンゴ
ホスト国:ポルトガル
競技種目: 男子100m
出場競技日程:7月31日午前9時(予備予選)、7月31日午後7時(予選)、8月1日午後7時(準決勝、決勝)
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出身:スーダン
ホスト国:イスラエル
競技種目:男子5000m
出場競技日程: 8月3日午後7時(予選)、8月6日午後7時50分(決勝)
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出身:南スーダン
ホスト国:ケニア
競技種目:男子800m
出場競技日程:8月1日午前9時10分(予選)、8月2日午後7時(準決勝)、8月5日午後7時(決勝)
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出身: 南スーダン
ホスト国:ケニア
競技種目:男子1500m
出場競技日程: 8月3日午前9時(予選)、8月5日午後7時(準決勝)、8月7日午後7時(決勝)
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出身: 南スーダン
ホスト国:ケニア
競技種目:女子800m
出場競技日程:7月30日午前9時(予選)、7月31日午後7時(準決勝)、8月3日午後7時(決勝)
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出身:エリトリア
ホスト国:イスラエル
競技種目:男子マラソン
出場競技日程:8月8日 午前7時
バドミントン
出身:シリア
ホスト国:オランダ
競技種目: 男子シングルス
出場競技日程:7月24日〜28日(グループプレー)、7月29日午後5時(ラウンド16)、7月31日午前9時(準々決勝)、8月1日午後1時(準決勝)、8月2日午後8時(決勝)
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ボクシング
出身: シリア
ホスト国:ドイツ
競技種目: 男子ライト級(-57kg)
出場競技日程:7月25日(ラウンド32)、7月31日(ラウンド16)、8月3日(準々決勝)、8月6日午後2時(準決勝)、8月8日午後2時(決勝)
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出身: ベネズエラ
ホスト国:トリニダード・トバゴ
競技種目: 男子ミドル級(-75kg)
出場競技日程:7月26日(ラウンド32)、7月29日(ラウンド16)、8月1日(準々決勝)、8月5日午後2時(準決勝)、8月7日午後2時(決勝)
カヌー/カヤック
出身:イラン
ホスト国:ドイツ
競技種目:男子K-1フラットウォーター1000m
出場競技日程:8月2日午前9時30分(予選、準々決勝)、8月3日午前9時30分(準決勝、決勝)
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自転車競技
出身: アフガニスタン
ホスト国:フランス
競技種目:女子ロードタイムトライアル
出場競技日程:7月28日午前11時30分
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出身: シリア
ホスト国:スイス
競技種目:男子ロードタイムトライアル
出場競技日程:7月28日午前11時30分
柔道
東京2020では、全選手が柔道混合団体の一員として出場する。
出場競技日程:7月31日午前11時(エリミネーションラウンド、敗者復活戦)、午後5時(メダルマッチ)
アーマド・アリカイ
出身:シリア
ホスト国:ドイ(IJF)
ジャバド・マジョウブ
出身:イラン
ホスト国:カナダ(IJF)
ムナ・ダホーク
出身 :シリア
ホスト国:オランダ(IJF)
ニガラ・シャヒーン
出身: アフガニスタン
ホスト国:ロシア(IJF)
出身: コンゴ共和国
ホスト国:ブラジル
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出身:シリア
ホスト国:オランダ
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空手
出身:イラン
ホスト国:カナダ
競技種目:男子67kg級組手
出場競技日程:8月5日
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出身:シリア
ホスト国:ドイツ
競技種目:男子形
出場競技日程:8月6日
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射撃
出身:エリトリア
ホスト国:スイス
競技種目: 女子10mエアライフル
出場競技日程:7月24日午前8時30分
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競泳
出身:シリア
ホスト国:ドイツ
競技種目 女子100mバタフライ
出場競技日程:7月24日午後7時(予選)、7月25日午前10時30分(準決勝)、7月26日午前10時30分(決勝)
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出身: シリア
ホスト国:ドイツ
競技種目: 男子50m自由形
出場競技日程: 7月30日午後7時(予選)、7月31日午前10時30分(準決勝)、8月1日午前10時30分(決勝)
テコンドー
出身: アフガニスタン
ホスト国:ベルギー
競技種目: 男子68kg級
出場競技日程:7月25日
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出身: イラン
ホスト国:オランダ
競技種目: 女子49kg級
出場競技日程:7月24日
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出身:イラン
ホスト国:ドイツ
競技種目: 女子57キロ級
出場競技日程:7月25日
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ウエイトリフティング
出身: カメルーン
ホスト国:イギリス
競技種目: 男子96kg級
出場競技日程:7月31日午前11時50分
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レスリング
出身:イラク
ホスト国:オーストリア
競技種目: 男子グレコローマン67kg級
出場競技日程:8月3日午前11時(予選)、8月3日午後6時15分(準決勝)、8月4日午前11時(敗者復活戦)、8月4日午後6時15分(メダルマッチ)