アリ・トゥルーウィット、サメに襲われた悲劇から16か月後、表彰台に立つ/パリ2024パラリンピック・パラ水泳
サメに襲われて命がけで泳いだ16か月後、アメリカ合衆国のアリ・トゥルーウィットは、パリ2024パラリンピックのパラ水泳女子400m自由形(S10)および100m背泳ぎ(S10)で2個の銀メダルを獲得した。
2023年5月、イェール大学を卒業したばかりのトゥルーウィットの人生は、卒業旅行で友人と訪れた大西洋に浮かぶ楽園タークス・カイコス諸島沖で、シュノーケリングを楽しんでいる最中に劇的に変わった。サメに襲われて左脚をかまれ、命からがら70m先の安全な場所まで泳ぎ着いた。
医師たちは最善を尽くしたが、トゥルーウィットの膝下を切断する必要があった。
イェール大学の競泳選手だった24歳のトゥルーウィットは、命の危険にさらされたがプールに戻り、事故から16か月後の9月5日、女子400m自由形(S10)で銀メダルを獲得、4分31秒39の米国記録を樹立した。また、翌日の6日には100m背泳ぎ(S10)で2個目の銀メダルに輝いた。
アリ・トゥルーウィット、悲劇から勝利の表彰台へ
2023年9月、トゥルーウィットは、競泳コーチのジェームズ・バローネと再会し、下肢切断者としての新しい現実に適応するため、競泳選手としての厳しい道のりを歩み出した。ストロークやターンなどを改めて習得する必要があったが、何より彼女の競争心は激しく燃え上がっていた。
「人生を変えるトラウマに直面して、私はポジティブな面だけを見て、全てに感謝しようと努めました。死と直面し、不意に訪れた人生のセカンドチャンスが何を意味するのかを考えるようになり、それを最大限に活かしたいと思うようになりました。だからこそ、それを実現するために努力してきました。そして、それは信じられないほどの周りからのサポートなしでは実現できませんでした」
2023年10月、彼女は初めてのパラ水泳大会に出場し、12月には全米選手権でメダルを獲得するまでになった。そして、悲劇から1年も経たないうちに、トゥルーウィットは世界最大の舞台であるパラリンピックでのメダル獲得を目指し始めた。
パリ2024パラリンピックの女子400m自由形(S10)決勝では、トゥルーウィットはカナダの世界記録保持者、オーレリー・リヴァードのわずか2秒後にフィニッシュし2位となった。銀メダル獲得を決めた壁にタッチした瞬間、サメに襲われた後にトゥルーウィットが命からがら泳いだ70mが、ついに歓喜の勝利につながった。
「私の脚に止血帯を巻いて応急処置をしてくれ命を救ってくれた友人のソフィーや、私が空輸された病院で医学生として実習していたハンナが観客席で応援してくれました。彼らや観客席にいるすべての人々にとても感謝しています。これは、悲劇から始まった旅が完結した瞬間であり、周りで私をサポートしてくれたすべての人のおかげです」と、メダルを首にかけたトゥルーウィットは表彰式で話した。