国際スケート連盟(ISU)が主催「ISU 世界フィギュアスケート選手権大会2023」の競技が、3月22日に埼玉県さいたま市のさいたまスーパーアリーナでスタート。初日は女子の前半ショートプログラム(SP)が行われた。
■貫禄の坂本花織
現世界女王が貫禄の演技を見せた。坂本花織(シスメックス)がパーフェクトな演技で今シーズン世界最高得点の79.24点。特にトリプルルッツやトリプルフリップ+トリプルトーループのコンビネーションは鮮やかに着氷し、GOE(出来栄え点)で2点近くの加点を得た。ダイナミックなステップでも会場を沸かせた。
ダブルアクセルやスケーティングのスピード感で「少し悔しい」という点があったというが、連覇に向けて視界は良好。24日の後半フリースケーティング(FS)に向けて、ジャンプをポイントに挙げ、「笑顔で終わりたい」と意気込んだ。
■坂本花織のコメント
今シーズンのショートはずっと不安があったんですけど、今日は不安なく、しっかりと滑りきることができました。楽しく滑れました。去年は80点を超えたので、それに近い数字が出たのはうれしかったんですけど、「あともうちょっとだな」と感じています。でも、今シーズンの中で一番いい演技ができたと思うので、満足です。
(どのあたりに「もうちょっと」と感じる?)今日は全体的にスピード感がなかったと思ったのと、(ダブル)アクセルの加点が1.3点くらいしかありませんでした。満点欲しかったなと、少し悔しいです。
久々に声出しOKだったので、「4年前の埼玉での世界選手権もこういう感じだったな」と思い出しました。最初は久しぶりすぎて、舞い上がって緊張したり、6分間練習のときは危なかったんですけど、本番までにはなんとか慣れさせて、普段どおりの気持ちでできました。声援というのはすごくうれしいなと思いました。
ジャンプがまだ残っているときはまだ控えだったのかなと思うくらい、ステップになった途端にほぼ全員が手拍子してくださっているんじゃないかという大きさでした。「こんなにも人がいるんだ」と思いながらやっていました。
明後日のフリーは得点源になる3連続ジャンプで、自分らしいジャンプを跳べるようにしたいと思っているし、ショートで満点取れなかったアクセルも満点を取りたいなと思っています。フリーはパーフェクトな演技をして、笑顔で終わりたいと思います。
■3位三原舞依、15位渡辺倫果
三原舞依(シスメックス)も会心の演技で3位につけた。「マックスで心を込められた」というパフォーマンスで73.46点。惜しむらくはわずかな3回転のコンビネーションジャンプで回転不足を取られたこと。それでも観衆を引き込む演技にガッツポーズも飛び出し、FSへ「プログラムの中で強い女性を演じきれたら」と決意を語った。
渡辺倫果はSPの調子が上がりきっていなかったこともあり、冒頭のトリプルアクセルで転倒。60.90点で15位発進となった。悔しい思いを語りつつも「フィギュアスケートはジャンプだけで決まるものではない」。「フィギュアスケート自体が作品なので、それを壊さず、絵の具がどこに垂れようとも、作品としてまとめあげることが大切」と力強く演技への思いを語り、FSでの巻き返しを図る。
女子シングルのFSは24日17時20分から行われる。
■三原舞依のコメント
今シーズンの中でびっくりするくらい緊張していて、最後まで滑れるかなという不安との戦いでもありました。観客席にたくさんのお客さまがいましたし、声援がすごくて、背中をグッと押してくださりました。お客さまの前で滑れることに感謝をしながら、楽しく滑れたと思います。
「ショートプログラムは今までの人生を込めて滑ってね」と言っていただいたときから、何回も滑ってきて、今日が心をマックスで込められたかなと。最後はすごくうれしかったので、感謝の思いがこぼれたかなと思います。
緊張のほうが勝っていたので、フリーではもっと楽しんで滑れるように明日しっかり体を休めて、全力でいけるように準備したいと思います。フリーでは今まで見つかってきた課題を全部克服して、パーフェクトで情熱度の高くなるような。力強いところは力強く、眼力も含めて。優しいところは優しく、コントラストを持ちながら、プログラムの中で強い女性を演じきれたらと思います。
■渡辺倫果のコメント
演技そのものは、正直現地に入ってからショートプログラムの調子がそこまでいいものではなくて、良くも悪くも現地の練習がそのまま出たなという感じでした。ただ、拍手や温かい声援はありがたかったですし、切り替えてまた頑張っていければと思います。
(初めての世界選手権となったが)一年半前にここに立ったときは、こんな景色を見れるとは思ってもいなかったので、いい意味で思い描いていたものとは違ったのですが、こうしてこの場にいれることはありがたいことなので、この経験を生かして頑張っていければと思います。
(ジャンプにはミスもあった)フィギュアスケートはジャンプだけで決まるものではないので。もちろん、得点源としてジャンプは大きいと思いますけど、スピンの出来によってジャンプ1、2個分の点数になることもあるので、フィギュアスケート自体が芸術というか、作品なので、それを壊さず、絵の具がどこに垂れようとも、作品としてまとめあげることが、フィギュアスケートとして大切なことだと思っています。そこは諦める理由にはならないので。悔しい部分はありますけど、切り替えて明後日に迎えればいいんじゃないかと思います。
■日程
3月22日(水)
- 11:00 ペア SP
- 15:00 オープニングセレモニー
- 15:50 女子シングル SP
3月23日(木)
- 11:00 ペア FS
- 15:50 男子シングル SP
3月24日(金)
- 11:00 アイスダンス RD
- 17:20 女子シングル FS
3月25日(土)
- 12:30 アイスダンス FD
- 17:20 男子シングル FS
3月26日(日)
- 15:00 エキシビジョン
SP…ショートプログラム
FS...フリースケーティング
RD…リズムダンス
FD…フリーダンス