ファン・ジェンドン、好不調の波を乗り越えパリ2024について語る
東京2020卓球男子シングルス銀メダリスト、現在世界ランキング1位のファン・ジェンドンは、2023年世界選手権で連覇を果たしたが、その年の後半は不調に苦しんだ。ファンは、自身初となる男子シングルス金メダルが期待されるパリ2024オリンピックに向けてどのようなアプローチで臨むのか。Olympics.comとワールドテーブルテニスに語った。
2024年は、世界ランキング1位のファン・ジェンドンにとってオリンピック金メダルに輝く年となるか?
中華人民共和国のファンは、2015年7月以降、卓球世界ランキングのトップ3に常に位置しているが、リオ2016では代表の座を逃し、東京2020男子シングルスでは銀メダルを獲得したものの、決勝でリオ2016金メダリストであるチームメイトのマ・ロンに敗れた。
しかし、ファンは、男子シングルス世界選手権を連覇した現在の世界チャンピオンであり、マのパフォーマンスが徐々に低下してきたこともあるため、ファンにとってはついにオリンピック王者の座につく時が来たと言えるのかもしれない。
ところが、彼自身の認めるところでもあるが、2023年後半のファンの調子はいくつかの懸念をもたらした。彼は、5月に南アフリカ・ダーバンで開催された世界選手権で優勝したものの、シーズン後半は苦戦し、10月のアジア競技大会決勝では世界ランキング2位のワン・チューチンに敗北を喫している。
最近、ワールドテーブルテニスを通じてOlympics.comの独占インタビューに応じたファンは、昨年は重要なオリンピックイヤーに向けて考えることが多かったと述べている。
「1年を通じて多くを得たと思います」と、2023年12月のITTF(国際卓球連盟)混合団体ワールドカップ開催中にファンは振り返った。
「私にとって最も重要なイベントは、ダーバンの世界卓球選手権でした。2021年の前回大会で優勝しており、2023年には連覇したいと思っていました」
「(2023年には)多くの課題を経験しましたが、同時に成長もしました。ダーバンでの勝利がこの時本当に役立ったと思います」と彼は話した。
「競技プランに確信が持てなかったことや、戦略が最適になっていなかったのかもしれません。昨年後半の落胆から今後の修正を通じて、2024年にはもっとよいパフォーマンスを発揮したいと願っています」と彼は述べた。
ファン・ジェンドンにとっての世界ランキング
世界トップ3に8年近くランクインしている26歳(2024年1月に27歳になる)のファンは、世界ランキングにはあまりこだわりがないかもしれない。
ITTFは、近年ランキングシステムを2回変更しているが、2021年3月には更新の頻度を月1回から週1回に移行し、2022年5月には旧ランキングシステムから初期ポイントを削除した。
これは、ファンが現在の世界ランキング1位の座を以前よりさらに努力して保持し続けていることを意味する。
「ランキングシステムは変更を続けています。1位を維持するのは、元の形式のほうが今よりも簡単だったと感じています」とファンは話した。「今ではたくさんの大会があり、それぞれには特定の要件があるので、それに従って出場する試合を計画しなければなりません。ランキングは毎週発表されます」
「ですから、私が世界1位を維持できているというのは、ある種の肯定的な自己暗示です。このランキングが私にとって負担やプレッシャーにならず、むしろ私の能力に反映されることを願っています」と彼は述べています。
ファン・ジェンドンの抱くパリ2024への希望
卓球界のトップ選手として成功を重ねているにもかかわらず、驚くことに、ファンはコートに立つたびにいつも緊張していると明かした。
「試合前にいつも緊張しています」と彼は認めた。「実際、誰もが試合を楽しみにしている一方で、結果のことを心配しているはずです。それが緊張する最大の理由です」
「実際にコートに立った後、私はテクニックや戦略、得点ごとにどのようにプレーするかなど、これらの具体的なことにゆっくりと焦点を当てます。最後の結果を心配することはやめて、それまでのプロセスについてもっと考えるようにしています」
ファンは、自分自身をパリ2024の優勝候補と考えているのだろうか。
「すべての対戦相手には、細心の注意を払わなければなりませんし、尊重しなければなりません」とファンは答えた。「すべての選手にとって、オリンピックに出場することは夢であり、オリンピックでよいパフォーマンスを発揮することはまた別の夢です」
「私にとっては、誰が卓球台の向こう側に立っていても、出場して、よいパフォーマンスを示す機会となることを望んでいます」
「私は試合で安定したパフォーマンスを出し、ベストを尽くしたいと思っています。これは、最高レベルのプレーをしたいということだけではなく、私がこれまでに費やしたすべての努力の成果を示したいのです」
「2024年は、これまでと同じ精神力と調子を維持し、ベストに近づけるよう自分自身を高めていきたいと思います」