コーチのファビアン・ブロイヒが提唱する、ピクセルを離れたところでの eスポーツの練習

オリンピックeスポーツシリーズ開始に先立ち、eスポーツのコーチであるファビアン・ブロイヒは、 Olympics.com に寄稿したエッセイの中で、ちょっとした体制がeスポーツには必要だと提言した。

1 執筆者 Fabian Broich
Fabian Broich

(Michal Konkol (@KonkolMichal) / Twitter.)

成功とは、計画から始まり、行動に移すことで得られる。私たちの一日は、どのように構成されているのだろう? 何時に起床し、どのように仕事や練習、ミーティングに備える? 何を食べ、いつ、どのように休憩を取る? 学び、成長するための時間も確保できているだろうか?

アスリートは常にこのような枠組みの中で動いている。計画、目標、ルール、スケジュール – これは競技ゲーマーにも当てはまる。eスポーツでは、練習だけではなく、ゲーム内外のパフォーマンスも考えるように変わった。

技術力、ゲームIQ、適切なギア、チームワーク、コミュニケーションなどが主な要素を占めている。しかし、この10年間で、体力、精神的や感情的な部分のコンディション、栄養、睡眠、回復といったものが、より重要になってきている。今回は、私がAstralisやExcel Esportsなどのチームで実践してきた、日々のスケジュールを組み立てるためのツールやヒントを紹介したい。

一日を正しくスタートさせる

まず、きちんとした時間に起きること。プロを目指すのなら、夜中の2時までゲームをする時代はとっくに終わっている。水分を摂り、30分程度の屋外での運動と組み合わせるのがおすすめだ。朝2時間以内に日光を浴びると気分も上がり、運動することで意識も高まり、脳が活性化する。その後での食事も大切。朝からマウンテンデューとドリトスをデスクで食べるのはもう止めよう。ベリー類、オーツ麦、卵、アボカドなど、ボリュームのある健康的な朝食を食べてもらいたい。

トリビア:現在多くのeスポーツチームには、栄養や健康についてのコーチなど、これらをサポートするスタッフがついている。

eスポーツの練習に向けた準備

食事の後は、その日の目標を設定することが大切。コミュニケーションであったり、特定のスキルの練習であったり、チームの全体的な戦略であったり。朝から運動をしているため、脳と身体は覚醒し、その日最初のゲームをする準備ができている。さらに、部屋の温度は摂氏17~20度(華氏62~68度)程度で、空気の質がよく、十分な明るさがあることが望ましい。これらの要素が足りていないと、練習中に集中が散漫になる可能性がある。成功するため、ベストな環境を整えることが肝心だ。

さらに、道具を揃えることも大きな違いを生む。多くのプロは、少なくとも自分専用のキーボード、マウス、ゲームパッド、スティックなどを使って競技に臨んでいる。リオネル・メッシが適切なスパイクを、トム・ブレイディが適切なショルダーパッドを着用するのと何が違うのだろうか? 使用する道具によって、精神的な快適さや慣れを得ることができる。DPIを調整できるマウス、144hz以上のリフレッシュ・レートのモニター、人間工学に基づいた椅子を使用することで、快適さを保つだけでなく、ゲームに集中できる。

(Michal Konkol (@KonkolMichal) / Twitter).)

eスポーツで集中力を保ち、エネルギーを維持するためにブレイクを取ることの必要性

仕事中、1時間ごとに数分間立ち上がって歩き回るなど、休憩をとるという話を聞いたことがあると思う。これはゲームにも当てはまる。

ゲームの種類によって、試合時間は12分から60分まで、あるいはそれ以上とさまざまだ。ゲーム中はゲームタイムでも、ゲーム終了後は外に出て新鮮な空気を吸い、立ち上がって少しストレッチするのが効果的。いつも閉じこもっていては、良い結果は得られない。

日中は、十分な水分(一般的には水)を摂ることが非常に重要だが、健康的な間食でエネルギーを維持することも大切だ。アーモンドやベリー類など、ナッツ類や果物を食べて、集中力と活力を維持するために必要な栄養素を摂取しよう。エナジードリンクやキャンディーで糖分を摂取してしまうのを防ぎ、より高いレベルの練習を続けることが可能になる。

学びながら、成長を続ける eスポーツ

目標は、集中力を維持し、目的を与えてくれる。先ほど、その日の目標を設定したことを覚えているだろうか? この工程には、次の段階がある。

試合後に気づいた点を書き留め、自分が何をしたかを振り返ることができれば、上達のスピードが上がる。練習後、ちょっとしたまとめや、学んだこと、経験したことなどポジティブな要素を書き出すと、モチベーションが上がり、楽しみが増す。

自己認識を深めることは、プレーにも反映される。例えば、FIFAの試合では、クロスバーやポストにボールが直撃するなど、かなり気持ちが持っていかれてしまうケースがある。ボールを保持している間は目を離さなくても、チャンスが来たときには、一呼吸おいて、自分を見つめ直してみよう。例えば、ボールがアウト・オブ・バウンズになったとき、あるいは交代選手を投入するタイミングなど、一呼吸おいて、気持ちをゲームプランに戻せる瞬間が生まれる。プレッシャーの下で安定したパフォーマンスを発揮するには、感情を安定させることが重要になる。

eスポーツに必要なリラクゼーションとリカバリー

練習は長い。終わりは決めておいた方がいいが、もし練習の前の時点で疲れていたら、少し早めにやめる合図かもしれない。試合を多くこなせば、多くの成果を得られるというわけではない。自分を理解し、就寝の1時間前にはプレーをやめるよう心がけよう。

eスポーツが発展するにつれ、導入されるシステムも変化していく。近年、趣味を職業にするプレーヤーも増えていて、eスポーツは情熱を職業に変える新たな道を提供してもいる。もちろん、楽しいことばかりではない。それでも、目的を持った練習と、勤勉な取り組み方が上達を促し、次のレベルに導いてくれる。

ファビアン・ブロイヒは、eスポーツのパフォーマンスエージェンシーであるAchievemindsの創設者。彼は現在、eスポーツの世界トップクラスの選手やチームと仕事をしている。以前は、Excel Esportsのパフォーマンス責任者を務めていた。イギリスのeスポーツ組織であるExcelは、世界最高のeスポーツチームの中で競技を行っている。かつてプロフットボール選手で、ゴールキーパーだった彼は、プロサッカークラブのシャルケ04と、世界で最も成功しているeスポーツ組織のひとつであるAstralisで勤務していた。心理学の学士号(ウィンスロップ大学、米国)、スポーツと運動の心理学の修士号(ケルン・ドイツスポーツ大学、ドイツ)を取得。32歳のドイツ人は、睡眠、身体活動、栄養、スポーツ心理学をeスポーツの新分野に統合するホリスティック・パフォーマンス・アプローチに焦点を当てている。