わたがしペア、東野有紗&渡辺勇大、安定した強さの秘訣

東京2020オリンピックのバドミントン混合ダブルスで銅メダルを獲得した東野有紗&渡辺勇大ペア。わたがしペアの愛称で知られ、前回の世界選手権2位の彼らが、まもなく東京で始まる世界バドミントン選手権2022に挑む!

1 執筆者 Chiaki Nishimura
watagashi
(2021 Getty Images)

東京2020バドミントン日本代表選手の中で唯一メダルを獲得し、多くのスポーツファンを魅了した**東野有紗&渡辺勇大**(ゆうた)ペアが、8月22日〜28日に東京体育館で開催される世界バドミントン選手権2022に参戦する。

東京2020以降、ここまでの1年で着実に成長し、パリオリンピックでの活躍も期待される「わたがしペア」の強さの秘訣や、世界の頂点を目指す彼らの前に立ちはだかる世界のトップ選手らを紹介しよう。

関連記事世界バドミントン選手権2022:日程や見どころ、注目選手、視聴方法は?

ペアとしての仲の良さ

東野&渡辺ペアにとっての2021年は、まさに飛躍の1年だった。

3月に行われた全英オープンでの優勝を皮切りに、夏の東京オリンピックでは銅メダル、10月のデンマークオープン、フレンチオープンで優勝し、11月のインドネシアオープン、12月のワールドツアーファイナルズ、世界選手権では2位に輝くなど、東野&渡辺ペアは安定して決勝進出を果たしてきた。

その勢いは2022年に入っても続き、3月の全英オープンでは2連覇を達成。昨年12月にOlympics.comのインタビューに応えたふたりは、ペアとして勝つこと秘訣をこう話した。

「勇大君が年下なんですけど、すごく優しくて頼れるし、バトミントンの部分でもプライベートの部分でも相談したときに、最初に否定から入らず、受け入れて意見を聞いてくれるので、勇大君が優しいから成り立っているのかなと思います」

1996年生まれの東野が、1歳下の渡辺の優しさに触れると、渡辺は「その言葉をそのまま返す形です」として、こう続けた。

「気の知れた仲で何でも言い合えるような存在じゃないとうまくいかないのかなと思っています。僕らにはそれがある」

それは試合中に支え合うことにも繋がり、渡辺は、「全体を見て引っ張っていくのは僕かなと思いますけど、試合中に僕の気持ちが落ちたところでスイッチを入れ直してくれたりとか、(反対に東野が落ちたときには)自分自身で入れてくれるのが先輩のすごいところ」と付け加えた。

1大会1大会の先にパリオリンピック

ふたりが目標に掲げるのはパリオリンピックに出場し、金メダルを獲得すること。だが、先を見過ぎず、目の前の大会に集中したいと口をそろえる。

東野は、「目標は、先を見ればパリオリンピックで金メダルを取ることですが、あんまり先を見すぎず、1大会1大会、1試合1試合を大事にして戦っているので、1大会1大会で優勝できるように、オリンピックまでの過程を頑張っていきたいです」と、落ち着いた口調で話す。

だが、世界のトップレベルで戦い続けることは容易なことではない。

渡辺はその難しさを認めた上で、「トップ居続けるということが格好いいことだと思っていますし、トップに居続けることによって、自分の価値が上がっていくものだと思っています」。「それを目指して僕はバドミントンを続けてきているので、ぶれることなくそれを続けられるような選手になりたいと思っています」と力強く語った。

そんな彼らにとって、ふたりの強さを示し、またひとつ成果を積み重ねるときがまもなく東京体育館で始まる世界バドミントン選手権である。

世界バドミントン選手権2022、混合ダブルスの有力ペア

現在、わたがしペアは世界ランキング3位につけており、今回の組み合わせでも第3シードとなっている。順当に勝ち上がれば、準決勝で第2シードの**デチャポン・プアヴァラヌクロー&サプシリー・タエラッタナチャイ**(タイ)と当たることになるだろう。

世界ランキング1位のプアヴァラヌクロー&タエラッタナチャイは過去2大会で表彰台に立っており、前回の世界選手権ではわたがしペアが決勝で敗れた相手でもある。

またトーナメントの反対側では、第1シードの**ファン・ヤチョン(黄雅琼)&ジェン・シーウェイ(鄭思維/中華人民共和国)や、第4シードのファン・ドンピン(黄東萍)&ワン・イルユ**(王懿律/中華人民共和国)が会場を沸かすだろう。

ファン&ジェンは東京2020の銀メダリストで今季のアジア選手権、タイオープン、インドネシア・マスターズ、インドネシア・オープン、マレーシア・オープンを制しており、好調ぶりを見せている。一方のファン&ワンは東京2020の準決勝でわたがしぺアの決勝進出を阻み、決勝ではファン&ジェンを倒して金メダルを獲得したペアだ。

関連記事世界バドミントン選手権大会2022の放送予定

世界バドミントン選手権の混合ダブルス、過去2大会の結果

2021年世界選手権(スペイン・ウエルバ)の混合ダブルス

  • 優勝:デチャポン・プアヴァラヌクロー&サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)
  • 2位:東野有紗&渡辺勇大
  • 3位:篠谷菜留&山下恭平
  • 3位:ツェ・イエンスエット(謝影雪)&チュン・マンタン(鄧俊文/ホンコン・チャイナ)

2019年世界選手権(スイス・バーゼル)の混合ダブルス

  • 優勝:ファン・ヤチョン(黄雅琼)&ジェン・シーウェイ(鄭思維/中華人民共和国)
  • 2位:デチャポン・プアヴァラヌクロー&サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)
  • 3位:東野有紗&渡辺勇大
  • 3位:ファン・ドンピン(黄東萍)&ワン・イルユ(王懿律/中華人民共和国)
もっと見る