バドミントン・志田千陽&松山奈未「最後に笑い合えるように」パリ2024オリンピック日本代表 

執筆者 Risa Bellino
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写真: 2023 Getty Images

数多くのドラマが繰り広げられ、観客を魅了し、深い感動を与えてきたオリンピック。その主役は、この瞬間のために全てを捧げ、技を磨いてきたアスリートたちだ。

7月26日〜8月11日まで開催されるパリ2024オリンピックでは、『光の都』パリに世界のトップアスリートが集まり、金メダル獲得や自己超越、支えてくれる家族や仲間のために全力を尽くす。

選手にとってその時が刻一刻と迫る今、Olympics.comでは日本を代表するトップアスリートの歩みを辿る。ここでは、バドミントン・女子ダブルスで念願のオリンピック初出場を決めた「シダマツ」ペアの愛称で親しまれるの志田千陽&松山奈未を紹介しよう。

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写真: Getty Images 2024

ペアを組んで10年、進化を遂げたフットワークでパリへ

中学生の時にナショナル選考会で出会った2人は、ジュニア合宿などを経て次第に交流するようになり、2014年、高校時代に松山が1学年上の志田と初めてペアを組んでから、今年で結成10年目を迎える。最初からお互いの相性の良さを感じたという二人は、1年も経たないうちに、同年のジュニア韓国オープンで優勝を収め、世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得。社会人になってからも共に競技に励み、2019年の全日本総合選手権ではベスト4入りを果たした。しかしながら、目標としていた東京2020の代表選考レースでは、あと一歩のところでペア3番手となり惜しくも出場を逃した『シダマツ』。この悔しい経験から、パリオリンピック出場への想いをさらに強固なものにした。

そんな中、2021年10月に志田が足を捻挫し、ペアに転機が訪れる。これまではスピーディーな攻撃を武器に、志田は後衛からスマッシュやクリアで相手を崩し、松山は前衛のネットプレイでショットを捌くスタイルが定着していた。しかし、志田がリハビリをしている間、松山はリオデジャネイロ2016金メダリスト“タカマツ”ペアの松友美佐紀と組んでユーバー杯に出場し、後衛としてプレーする貴重な経験を積んだことによって、普段は感じられなかった後衛の視点からダブルスの駆け引きを学び、戦術の幅を広げることができた。また、その試合を観戦していた志田も、松山の新しい一面を発見し、ペアとしてのプレースタイルに新たな可能性を見つけたことで、さらなる進化のヒントを得たのだ。

二人の強みを活かすため、自在にポジションを入れ替える新たなフットワークと戦術に切り替えたシダマツペアは、そのスタイルが見事にマッチし、さらに大きな飛躍を遂げた。

BWFワールドツアーのなかで最も格式が高い「スーパー1000」の舞台、インドネシアオープン2021で東京2020金メダルのグレイシア・ポリー&アプリヤニ・ラハユペア(インドネシア)を破り初優勝を果たすと、2022年も3月の全英オープンで優勝。6月のインドネシアオープンでは福島由紀&廣田彩花との日本ペア対決を制し、2021年に続く2連覇を達成した。

2023年にはスーパー750に位置付けられるインドオープンと中国マスターズで優勝し、12月のワールドツアーファイナルズではベスト4入りを果たし、世界ランキング2位にまで上り詰めた。パリオリンピック出場をかけたポイントレースでは日本勢のペアで最上位に位置し、念願のオリンピック出場の切符を手に入れたシダマツペア。東京2020での悔しさを、パリの舞台で晴らすことができるか。得意とする低空でのラリーを駆使し、メリハリのある攻撃で世界を驚かせるプレーを期待したい。

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バドミントン日本代表、志田千陽&松山奈未ペアの主な戦績

  • 2024年6月 シンガポールオープン(スーパー750)2位
  • 2024年3月 全英オープン(スーパー1000)2位
  • 2024年3月 フランスオープン(スーパー750)2位
  • 2023年11月 中国マスターズ(スーパー750)優勝
  • 2023年10月 デンマークオープン(スーパー750)2位
  • 2023年9月 中国オープン(スーパー1000)3位
  • 2023年7月 カナダオープン(スーパー500)優勝
  • 2023年1月 インドオープン(スーパー750)優勝
  • 2022年10月 デンマークオープン(スーパー750)3位
  • 2022年7月 マレーシアマスターズ(スーパー500)2位
  • 2022年6月 インドネシアオープン(スーパー1000)優勝
  • 2022年5月 タイオープン(スーパー500)優勝
  • 2022年3月 全英オープン(スーパー1000)優勝
  • 2021年12月 HSBC BWFワールドツアーファイナルズ 2位
  • 2021年11月 インドネシアオープン(スーパー1000)優勝
  • 2021年11月 インドネシアマスターズ(スーパー750)優勝
  • 2021年10月 フレンチオープン(スーパー750)3位
  • 2021年3月 全英オープン(スーパー1000)3位
  • 2020年1月 マレーシアマスターズ(スーパー500)3位
  • 2019年11月 韓国マスターズ(スーパー300)優勝
  • 2019年1月 インドネシアマスターズ 3位
  • 2019年9月 韓国オープン(スーパー500)3位
  • 2019年7月 USオープン(スーパー300)優勝
  • 2019年3月 スイスオープン(スーパー300)優勝
  • 2019年2月 スペインマスターズ(スーパー300)2位
  • 2018年10月 チャイニーズタイペイオープン(スーパー300)優勝
  • 2018年7月 シンガポールオープン(スーパー300)2位
  • 2017年5月 タイインターナショナルチャレンジ 優勝
  • 2015年3月 オランダジュニア2015 優勝
  • 2014年12月 韓国ジュニアオープン2014(U19)優勝

パリ2024オリンピック、バドミントンの試合日程

以下すべて現地時間(日本はパリより7時間進んでいる)。※日程は変更になる可能性もある

7月27日(土)

  • 8:30〜[予選リーグ]混合ダブルス
  • 9:20~[予選リーグ]女子シングルス
  • 10:10~[予選リーグ]男子ダブルス、女子ダブルス
  • 11:00~[予選リーグ]男子シングルス
  • 14:00〜[予選リーグ]混合ダブルス
  • 14:50~[予選リーグ]女子シングルス
  • 15:40~[予選リーグ]男子ダブルス、女子ダブルス
  • 16:30~[予選リーグ]男子シングルス
  • 19:30〜23:00[予選リーグ]女子シングルス、男子ダブルス
  • 21:10~[予選リーグ]女子ダブルス
  • 22:00~[予選リーグ]男子シングルス

7月28日(日)

  • 8:30〜[予選リーグ]混合ダブルス、女子シングルス
  • 9:20~[予選リーグ]男子ダブルス
  • 10:10~[予選リーグ]女子ダブルス
  • 11:00~[予選リーグ]男子シングルス
  • 14:00〜17:30[予選リーグ]混合ダブルス、男子ダブルス
  • 14:50~[予選リーグ]女子ダブルス、女子シングルス
  • 15:40~[予選リーグ]男子シングルス
  • 19:30〜[予選リーグ]混合ダブルス
  • 20:20~[予選リーグ]男子ダブルス、女子シングルス、女子ダブルス
  • 21:10~[予選リーグ]男子シングルス

7月29日(月)

  • 8:30〜[予選リーグ]混合ダブルス
  • 9:20~[予選リーグ]男子ダブルス
  • 10:10~[予選リーグ]女子シングルス、女子ダブルス
  • 11:00~[予選リーグ]男子シングルス
  • 14:00〜[予選リーグ]混合ダブルス、男子ダブルス
  • 14:50~[予選リーグ]女子ダブルス、女子シングルス
  • 15:40~[予選リーグ]男子シングルス
  • 19:30〜[予選リーグ]混合ダブルス、女子シングルス
  • 20:20~[予選リーグ]男子ダブルス
  • 21:10~[予選リーグ]女子ダブルス、男子シングルス

7月30日(火)

  • 8:30〜[予選リーグ]女子シングルス
  • 9:20~[予選リーグ]男子ダブルス
  • 10:10~[予選リーグ]女子ダブルス
  • 11:00~[予選リーグ]男子シングルス
  • 14:00〜17:30[予選リーグ]男子ダブルス、女子ダブルス、女子シングルス、男子シングルス
  • 19:30〜23:00[予選リーグ]女子シングルス、男子ダブルス、女子ダブルス、男子シングルス

7月31日(水)

  • 8:30〜12:00[予選リーグ]女子シングルス、男子シングルス
  • 14:00〜17:30[予選リーグ]女子シングルス、男子シングルス
  • 19:30〜23:00[予選リーグ]女子シングルス、男子シングルス[準々決勝]混合ダブルス

8月1日(木)

  • 8:30〜11:00[準々決勝]女子ダブルス[ベスト16]男子シングルス
  • 13:00〜16:30[準々決勝]男子ダブルス[ベスト16]男子シングルス
  • 18:30〜22:00[ベスト16]女子シングルス[準決勝]混合ダブルス

8月2日(金)

  • 8:30〜13:00[準決勝]女子ダブルス、男子ダブルス
  • 15:00〜22:30[3位決定戦、決勝、表彰式]混合ダブルス[準々決勝]男子シングルス

8月3日(土)

  • 8:30〜13:00[準々決勝]女子シングルス
  • 15:00〜17:30[3位決定戦、決勝、表彰式]女子ダブルス

8月4日(日)

  • 8:30〜13:00[準決勝]女子シングルス、男子シングルス
  • 15:00〜17:30[3位決定戦、決勝、表彰式]男子ダブルス

8月5日(月)

  • 9:45〜12:30[3位決定戦、決勝、表彰式]女子シングルス
  • 14:30~17:30[3位決定戦、決勝、表彰式]男子シングルス

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バドミントン・志田千陽&松山奈未プロフィール

志田千陽(しだ・ちはる)

  • 生年月日:1997年4月29日(27歳)
  • 出身地:秋田県南秋田郡
  • オリンピック歴:オリンピック初代表
  • 世界ランキング:3位(6月26日現在)
  • 種目:女子ダブルス
  • ソーシャルメディア:InstagramXYoutube

松山奈未(まつやま・なみ)

  • 生年月日:1998年6月28日(26歳)
  • 出身地:福岡県北九州市
  • オリンピック歴:オリンピック初代表
  • 世界ランキング:3位(6月26日現在)
  • 種目:女子ダブルス
  • ソーシャルメディア:InstagramYoutube

※年齢は2024年7月26日パリ2024オリンピック開会式当日を基準とした。