現地時間12月4日、男子プロテニス協会のATPが「2019年グランドスラムのベストマッチ」を発表した。今年行われた激闘の数々を振り返ろう。
6位:ミロシュ・ラオニッチvsスタン・ワウリンカ(全豪OP・2回戦)
元世界3位のラオニッチにとって、今年の全豪オープンのドローは簡単ではなかった。1回戦でニック・キリオスと対戦し、その次に当たったのは3度のグランドスラム優勝を誇るワウリンカだった。
両者は互角の戦いを演じ、第4セットまでの全てがタイブレークに入った。途中30分の降雨中断も挟み、4時間1分に及んだ試合を制したのはラオニッチだった。同選手は試合後、「この試練を乗り越えることができて嬉しい」と安堵の表情を見せていた。
5位:ロジャー・フェデラー vs ラファエル・ナダル(ウィンブルドン・準決勝)
ウィンブルドンでのフェデラーとナダルの因縁の対決が5位にランクインした。2008年、両者はウィンブルドン決勝で多くのファンの記憶に残る激闘を演じ、同大会では11年ぶりとなる再戦が今年実現した。
フェデラーは常に前に出続ける積極的なテニスでナダルを圧倒し、11年前のリベンジを果たした。「この試合は間違いなく僕の思い出の試合として記憶に残るだろう。なぜならウィンブルドンでのラファとの試合だからね」と、好敵手からの特別な勝利を喜んだ。
4位:ロベルト・バウティスタ・アグートvsアンディ・マレー(全豪OP・1回戦)
全豪オープン開幕前、マレーは臀部の痛みにより2019年のウィンブルドンで引退する考えを涙とともに明かした。
そうして迎えたグランドスラム初戦で、マレーはバウティスタ・アグートと激闘を演じた。2セットを先取されるも、第3・第4セットをタイブレークの末に奪い取る粘りを見せた。
最終セットを落とし、惜しくも敗れたマレーは「もし今日が僕の引退試合だったら、華麗なキャリアの締めくくり方だっただろう」と清々しい表情を見せ、「コートの上で文字通り全てを出し尽くした。最善を尽くし、(痛みの影響で)練習やトレーニングができない中、やるべきこと以上の戦いをした」と語った。
3位:ラファエル・ナダル vs ダニール・メドヴェージェフ(全米OP・決勝)
3位には全米オープンの決勝がランクイン。過去3度の全米優勝経験を持つナダルは、メドヴェージェフに対して有利との予想が多かった。ナダルはその予想通りに第1・第2セットを連取するが、メドヴェージェフが粘りを見せ、第3・第4セットを奪い返される。最終セットはナダルが立ち直り、自身4度目の全米制覇を果たした。大会最長記録に迫る4時間49分の激闘だった。
敗れたメドベージェフは「ラファが勝って僕は負けてしまったけど、僕はこの試合を忘れることはないだろう。素晴らしい試合で、そして素晴らしいストーリーだったから」と試合を振り返った。
2位:スタン・ワウリンカ vs ステファノス・チチパス
2位に選ばれたワウリンカとチチパスの試合も長時間の激闘だった。ワウリンカは27つあった22のブレークポイントを守り抜き、チチパスに粘り勝った。チチパスは試合後「疲れ果てた気分だ。人生でこんな経験は一度もない。最後の場面には本当に落胆している」と憔悴した様子だった。
1位:ノヴァク・ジョコビッチ vs ロジャー・フェデラー(ウィンブルドン・決勝)
2019年グランドスラムのベストマッチに選ばれたのはウィンブルドン決勝、ジョコピッチ対フェデラーの試合。7-6(5), 1-6, 7-6(4), 4-6, 13-12(3)の激闘を制し、ジョコビッチが16度目のグランドスラム制覇を果たした。4時間57分は1877年から続くウィンブルドンの決勝戦として最も長い試合時間だった。
ジョコビッチは「おそらく、僕がプレーした試合で最も厳しい試合だった。全豪決勝でのナダルとの試合がフィジカル面で一番つらかったが、メンタル面ではこの試合が段違いだった」と、多くの激戦をくぐり抜けたそのキャリアの中でも特に苦しい試合だったと語った。