7000名の大声援が響き渡る拱墅(きょうしょ)運河スポーツパーク体育館で行われた卓球女子シングルス準決勝。地元・中華人民共和国の宿敵、ワン・イーディ(王艺迪)と対戦した早田ひなはフルゲームを戦い勝利し決勝進出を決めた。
早田の決勝進出は、日本選手として1994年広島大会以来29年ぶりとなった。
決勝は、現地時間午後7時45分から世界ランキング1位のスン・インシャ(孫穎莎/中華人民共和国)との対戦となる。
早田ひなが中華人民共和国の強豪を破って女子シングルス決勝進出
第19回アジア競技大会大会(中華人民共和国・杭州)、卓球競技も残すところ2日となった10月1日(日)、現地時間午後3時前に女子シングルス準決勝第2組が行われ、早田ひなが中華人民共和国のワン・イーディと対戦しゲームカウント4-3で勝利し決勝進出を決めた。
世界ランキング4位のワンと同9位の早田のこれまでのシングルスでの対戦成績は早田の1勝2敗。今年5月で9度のマッチポイントを覆し、死闘の末、早田が勝利した世界卓球選手権2023(南アフリカ・ダーバン)準々決勝以来の因縁の対戦となった。
第1ゲームは、早田のサービスで相手を崩してからのフォアハンドのドライブが冴え、連続ポイントを重ねゲームポイント11-4でまずは1ゲーム先取。しかし、第2ゲームはワンがラリーを制し4連続ポイントを上げるなど早田を圧倒。3-11でワンが取りゲームカウント1-1となった。
第3ゲームでは、今度は早田が長いラリーを制すなどして6連続ポイントを上げるが、ワンも4連続ポイントを早田から奪う。しかし、また長いラリーを打ち勝った早田が11-8で制しゲームカウント2-1とした。第4ゲームは、さまざまなサービスを織り交ぜる早田でワンを攻めようとするが、ワンも早田のサーブを読み対応し始め、逆にラリーを制した。ラリー戦を覚悟していたという早田だが、このゲーム7-11で落としゲームカウント2-2となった。
お互いが一歩も譲らない展開は、5月の世界卓球選手権の準々決勝を彷彿させたが、積極的にフォアで攻める早田にワンは食らいつき、第5ゲームは、早田がゲームポイントを迎えたところから、ここまで追いかける立場だったワンが5連続ポイントを上げ、このゲームを逆転で取り返し、ゲームカウント2-3としリードした。
続く第6ゲーム。ここで中華人民共和国の強豪を追いかける立場になった早田だが、冷静に第3ゲームで有効に作用したロングサービスを繰り出しポイントを重ねる。しかし、このゲームを取れば決勝進出が決まるワンは1ポイント差で食らいつき8ポイント目を挙げた時点で7-8と早田に先行する。だが、早田の振り切ったフォアハンドからのドライブが決まり始め、ゲームポイントを迎える。ところが、ワンは粘りに粘り、逆にマッチポイントのチャンスを得る。そこを覆す早田は4度目のゲームポイントを制して激戦となった第6ゲームを取りゲームカウント3-3にした。
決勝進出のかかる第7ゲーム。お互い連戦の疲労の中で迎えた最終ゲームとなった。早田の先取点から始まり、早田が先行する展開となったが、今大会9個のメダルを獲得している中華人民共和国代表としての強さをワンは味方につけ、ゲームポイント9-9まで追いつく。早田は、この試合で何度も繰り返してきたように、ここでも勇気を込めて打ち抜くフォアで攻め、最初のマッチポイントを迎えた。しかし、手ごわいワンはデュースに持ち込む。2度目の運命のマッチポイントを迎えた早田。最後はラリーを制し12-10でこのゲームを勝ち切り、ついにゲームカウント4-3として決勝進出を決めた。
現地時間午後7時45分からの決勝では、早田は世界ランキング1位のスン・インシャ(中華人民共和国)と対戦し悲願の金メダルを目指す。スンとは、今大会、女子団体決勝で戦っており1-3で敗北している。また、9月のアジア卓球選手権(大韓民国・平昌)では、女子シングルス準々決勝で対戦しているが、この時も早田はスンに1-3で敗れている。
さて、スンとの宿命の戦いに早田はどのように挑むか。女子シングルス決勝に注目だ。