【柔道】2022年全日本選抜体重別選手権:オリンピックメダリストとそのライバルたちが福岡に集結

1 執筆者 マンティー・チダ
combine_images

「2022年全日本選抜柔道体重別選手権大会」は4月2日(女子)と3日(男子)に、福岡国際センターで開催。東京2020を沸かせたオリンピアンや、そのライバルがしのぎを削る。2年後に迫ったパリ2024オリンピックへ向け、新たな戦いも始まる。

◆男子は100㎏超級にオリンピアンに世界王者、新興勢力が勢ぞろい

男子は東京2020金メダリスト3人をはじめ、5人のオリンピアンが顔を揃えた(ウルフ アロンはエントリー後にケガのため欠場を発表)。その中で最も激戦になりそうなのが、最重量の100㎏超級だ。

東京2020に出場した原沢久喜は、準決勝で金メダルのルカシュ・クルパレク(チェコ)、3位決定戦ではロンドンとリオデジャネイロの2大会連続で金メダルのテディ・リネール(フランス)に敗れてメダル獲得はならなかった。国内選手のトップ8が顔を揃える今大会において、原沢の初戦の相手は2016・2017年と全日本柔道選手権を連覇した王子谷剛志だったが、新型コロナウイルス感染症陽性のため欠場。そのため初戦は、天理大学3年生・中野寛太と昨年大会で準優勝・小川雄勢の勝者と準決勝で対戦することとなった。

原沢と反対の山には、2021年世界選手権金メダルの影浦心と昨年の全日本柔道選手権を制した太田彪雅、さらに昨年のグランドスラム・バグー大会を制した斉藤立ら実力者が顔を揃えた。影浦は2020年2月のグランドスラム・パリ大会の準決勝でリネールを延長の末に下したものの、決勝で敗れて優勝できなかったため、原沢との東京2020代表争いで敗れた経緯がある。斉藤との初戦が大事になるが、パリ2024を選手人生の集大成にしたい影浦。決勝で原沢を下してのタイトル獲得を目指す。

太田は、2019年の全日本選手権準々決勝で原沢を袖釣込腰で下し、昨年の全日本柔道選手権でも優勝するなど、階級のトップクラスに名を連ねてきた。影浦と太田は準決勝で顔を合わせる可能性がある。いずれにしても、数々の世界王者を輩出してきた最重量級が最も熱い階級となりそうだ。

60kg級の髙藤直寿、66kg級の阿部一二三、81kg級の永瀬貴規の金メダリスト3人がパリ2024に向け、どのようなスタートを切るのか。また、90kg級の向翔一郎の戦いぶりにも注目したい。

◆東京2020金の阿部詩に挑む世界選手権覇者の志々目愛、群雄割拠の女子52㎏級

女子は金メダリストの阿部詩や濵田尚里をはじめ、東京2020出場選手4人がエントリーした。52㎏級の阿部詩は瞬発力のある柔道スタイルに磨きが増しているのか注目され、パリ2024へ向けて好スタートを切りたいところだ。

阿部と激しい代表争いを繰り広げたライバルたちは、すでに昨年秋からグランドスラムで試合を積んでいる。2021年世界選手権金メダリストで、これまでも阿部と激しい代表争いを繰り広げてきた志々目愛はすでにパリ2024へ視線を向けている。2021年8月には脱臼癖があった左肩を手術。大内刈りなど足技を練習し、志々目は攻撃の幅に広がりを持たせる取り組みをしている。阿部より一足先に昨年のグランドスラムで実戦を積んだ志々目。順当に勝ち上がれば、決勝で阿部と顔を合わせる。今度こそきちんと勝利して代表の座を勝ち取りたいところだろう。

他にも、2月のグランドスラム・デルアビブ大会で2位に入り、2020年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会を制覇した武田亮子、昨年の大会で武田に勝利して優勝し、今大会で連覇を狙う坪根菜々子もエントリー。パリ2024へ向けてリスタートとなる阿部が、国内の激しい戦いを勝ち抜けるのかに注目だ。

その他、東京2020のメダリスト、78kg級金の濵田尚里、48kg級銀の渡名喜風南、57kg級銅の芳田司の戦いぶりに来たい。新井千鶴、素根輝の金メダリストが不在となる70kg級、78kg超級では新星誕生なるか。

もっと見る