陸上200メートルはスピードの維持が重要。日本勢は東京五輪に向け「20秒の壁」を越えられるか

注目は飯塚翔太、サニブラウン、小池祐貴、高瀬慧ら

200メートルでは、カーブの120メートルで力みすぎず、最後の直線でいかにスピードを落とさずに走るかが重要だと言われている

200メートルは人間がトップスピードをなんとか維持できる限界の距離だと言われている。カーブがあるなかでいかに速度を落とさずに走り切るかが勝者と敗者を分ける。来たる東京五輪において、わずか20秒前後で勝負が決まるレースで、伸び盛りの日本勢は存在感を見せつけられるか。期待が高まる。

オリンピックの表彰台は19秒台前半が目安

陸上競技の200メートルは、古代オリンピックで行われていた「スタディオン走」に由来するという説がある。1スタディオンは約191メートル。この距離は人間がトップスピードをなんとか維持できる限界の長さだと言われている。

どこまでも最大のスピードで走り続けることができない人間の体の構造にあって、男子陸上の200メートルはいかに19秒台前半を出すかが明暗を分ける。

2019年2月1日時点の世界最高記録は19秒19。ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が2009年の世界陸上競技選手権大会で打ち立てた記録だ。以降、ヨハン・ブレーク(ジャマイカ)が2011年に出した19秒26、マイケル・ジョンソン(アメリカ) が1996年に出した19秒32と続く。いずれの選手も100メートルでも世界トップクラス。100メートルと200メートルの両方で実力を発揮するスプリンターは少なくない。

100メートルと同じ短距離走に分類されるが、200メートルでは瞬発力に加え、コーナリングの技術やスピードのコントロール力なども問われる。陸上トラックで200メートルのコースとなるのは、カーブの120メートルと直線の80メートル。カーブの途中にスタート地点がある。

最初の90メートル前後でトップスピードに達するというのが一般的だ。曲走路で力みすぎずエネルギーのロスを抑えながら、最後の直線でいかにスピードを落とさずに走り抜けるかが順位に反映されると考えられている。

2015年の世界選手権では3選手が準決勝へ

日本人男子の最高記録は末續慎吾(すえつぐ・しんご)が2003年に記録した20秒03だ。 

以降も「20秒の壁」が日本勢の前に立ちふさがっているが、2020年東京五輪に向けては明るい材料が少なくない。2016年には飯塚翔太が20秒11の日本歴代2位をマーク。2017年にはまだ十代のサニブラウン・ハキームが20秒32という日本歴代9位のタイムをたたき出した。2018年には小池祐貴が20秒23という同7位の記録でアジア競技大会の200メートルで金メダルを獲得した。

 瞬発力が大きな要素となる100メートルよりも、コーナリングの技術やいかにスピードを落とさずに走り切るかの力量が問われる200メートルのほうが、日本人向きだという指摘もいる。先に述べた世界選手権で銅メダルを獲得した末續が好例だろう。他にも200メートルでは、2012年のロンドン五輪で高平慎士と高瀬慧(けい)が準決勝に進出、2015年の世界選手権では高瀬、藤光謙司、サニブラウンの3選手が準決勝に駒を進めている。 

東京五輪の200メートルの会場となるのはオリンピックスタジアム(新国立競技場)。「日本全国の心を一つに」という狙いから47都道府県の木材を使用したスタジアムで、日本人の200メートルファイナリストは現れるのか。わずか20秒前後のレースが今から待ち遠しい。

もっと見る