錦織圭が愛用するテニスラケットを徹底調査! 2015年から「生涯契約」を締結

小学5年から『ウイルソン』一筋。2011年から「錦織モデル」が誕生

1 執筆者 オリンピックチャンネル編集部
『ウイルソン』は2011年から錦織のオリジナルモデルを開発。両者は「生涯契約」を結んでいる

錦織圭は、小学5年生のころから『ウイルソン』製のラケットを愛用している。2011年から錦織のオリジナルモデルが開発されるようになり、2015年末に異例の「生涯契約」を締結。男子テニス界の第一線で活躍し続けられるのは、培ってきたメーカーとの信頼関係と熱いサポートがあってこそだ。

名手フェデラーに続く「生涯契約」

17歳でプロに転向し、現在も男子テニス界の第一線で活躍している錦織圭が長年愛用しているのが、『ウイルソン』のラケットだ。『ウイルソン』は1914年に創業されたスポーツ用品メーカーで、アメリカのシカゴに本社を構える。テニスのラケットのほか、野球やゴルフ用品、楽器の弦などさまざまな分野の製造を行っている。

錦織と『ウイルソン』が契約を結んだのは2015年末。同年、ATPランキングで自己最高の4位に浮上するなど目立った成績を残した錦織は、異例の「生涯契約」というVIP待遇を受けることとなった。トッププレーヤーでもメーカーの「移籍」は時折起こる一方で、「生涯契約」に至った選手は、現役ではロジャー・フェデラー(スイス)に続いて2人目。歴史をさかのぼっても数えるほどしかいない。

錦織は小学5年生のころから『ウイルソン』のサポートを受けており、2019シーズンまでに15本のラケットを使用してきた。

プロ転向当初に使用していたのが『n TOUR II(エヌ・ツアー・ツー)』だ。ストリングホールに入っている樹脂製のグロメットの穴が通常より大きいため、打球時のストリングの可動域が広がり、柔らかい打球感が得られるのが特徴。錦織の場合、縦よりも横のストリングを強く張り、フェイス面をあえて少し縦長に変形させることで、通常のスイートスポットよりも先端寄りでボールを捉えた際もパワーの乗ったショットを放ちたいという独特なこだわりがある。

オリジナルモデルを使用し金星獲得

2011年秋から使用した『STeam PRO(スティーム・プロ)』以降、『ウイルソン』は錦織のためにオリジナルモデルを開発し、日本市場で販売を行うようになった。『STeam PRO』は繊維素材のバサルト・ファイバーの配合量を増やすことで、打球時のフィーリングがよりクリアになっている。このラケットを使用した錦織は、 2011年11月のスイスインドア準決勝で世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)から金星を挙げた。

2019シーズンに使用しているのは、2018年末に販売開始された『ULTRA TOUR 95 CV(ウルトラ・ツアー 95 CV)』だ。2017年の夏に手首を脱臼し、シーズン後半を欠場した錦織は、翌シーズンに復活を遂げたものの、離脱以前よりも進化するため、ラケットに「さらなるバウンドの後のボールの伸び」と「柔らかい打球感」を求めた。

『ULTRA TOUR 95 CV』のスペックは、フェイス面積95平方インチ、重さ平均309グラム、バランス平均32.5センチ、フレーム厚22.0ミリ、サイズ27.25インチ。この『ULTRAシリーズ』はフレーム6時部のグロメットに『CRUSH ZONE(クラッシュ・ゾーン)』を搭載することにより、1000分の3~5秒とも言われる打球時間を最長化させることができる。また、前作の『BURN 95CV(バーン 95CS)』と同様にNASA公認の振動吸収素材『COUNTERVAIL』を取り入れており、体への疲労を軽減し、長時間のプレーでもボールの伸びを落とすことなく戦える仕様となっている。

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