東京五輪で追加・復活した5競技の日本代表は?出場権獲得状況を整理: 1年延期の影響は?

スポーツクライミングの男女代表2枠目問題は未解決のまま

1 執筆者 渡辺文重
スノーボード冬季五輪2大会連続銀メダリストの平野歩夢は、スケートボード・パークで夏季五輪出場を目指す/時事

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、Tokyo2020(東京五輪)の1年延期(2021年7月23日開幕)が決定した。ここでは東京五輪で追加・復活した5競技(野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン)について、出場枠や内定状況を確認する。

■スケートボード

東京五輪のスケートボードでは、各種目「40」の出場枠が用意されている。国・地域ごとの上限は各種目「3」となっている。日本は出場枠を確保できなかった場合に限り、各種目「1」の開催国枠を与えられる。参加資格「40」のうち「3」は、2020年5月に開催される世界選手権の上位3名に、残りは2020年6月1日時点のオリンピック世界スケートボードランキングによって決定される予定だった。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界選手権は延期が決定。ランキング対象の大会も中止・延期となっているため、競技を統括するワールドスケートは新基準を提示すると見られている。

10代の選手の活躍が顕著な競技であることから、1年延期によって新たな注目選手が代表争いに食い込んでくる可能性がある。

  • 男子パーク:「1」~「3」
  • 男子ストリート:「1」~「3」
  • 女子パーク:「1」~「3」
  • 女子ストリート:「1」~「3」

■スポーツクライミング

スポーツクライミングの東京五輪日本代表選考は、すでに終了しているものの、出場選手を確定できていない。国・地域ごとの出場枠上限は、各種目「2」。日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)は、2019年の世界選手権7位以内かつ日本人最上位の選手を内定する一方、残り「1」枠は2020年5月のジャパンカップで決定する計画を立てていた。これは日本が開催国枠を持ち、スポーツクライミング各種目で上限となる「2」枠を確保できることが確実視されていたためで、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)も一度は承認している。

しかしIFSCが方針を転換。東京五輪出場枠が与えられる世界選手権7位以内となった男子の楢崎智亜(1位)、女子の野口啓代(2位)に加えて、男子4位の原田海と女子5位の野中生萌も東京五輪出場権を獲得したと通達する。この通達を巡り、JMSCAはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。判断が下されないまま、ジャパンカップの延期、そして東京五輪の1年延期が発表されている。

どのような判断が下されるにせよ、楢崎智亜と野口啓代の内定は確定している。

  • 男子ボルダリング・リード・スピード複合: 楢崎智亜・「1」
  • 女子ボルダリング・リード・スピード複合: 野口啓代・「1」

■サーフィン

東京五輪のサーフィン競技は、男女ショートボード種目のみが行われ、その出場枠はそれぞれ「20」。国・地域ごとの上限は各種目「2」と定められている。日本は出場枠を獲得できなかった場合に限り、開催国枠「1」ずつが認められている。

東京五輪の出場枠は、2019シーズンのWSL(ワールドサーフリーグ)のチャンピオンシップツアー(CT)で上位の選手(男子は「10」、女子は「8」)が最優先とされる。次に2020年5月開催のISA(国際サーフィン連盟)ワールドサーフィンゲームス(WSG)の上位選手(男子「4」、女子「6」)が優先される。その次に2019年のWSGやパン・アメリカ選手2019の結果などで代表が決められる。

参考:サーフィン競技の資格認定プロセス

サーフィンは現時点で3名の内定が出されているが、全て条件付きとなる。五十嵐カノアは最優先のCT上位枠により内定となっているが、“2020年のWSGに出場すること”が条件となっている。村上舜と松田詩野は2019年のWSGで出場権を得たが、2020年のWSGが優先されるため、この大会におけるほかの日本人選手の結果次第で内定を失う可能性がある。

  • 男子ショートボード: 五十嵐カノア・村上 舜
  • 女子ショートボード: 松田詩野

■野球・ソフトボール

侍ジャパン(日本野球代表)とソフトジャパン(ソフトボール日本代表)は開催国枠により、東京五輪出場が決定している。野球は2019年に行われた第2回WBSCプレミア12、ソフトボールはたびたび強化合宿を行っているものの、東京五輪登録メンバーの発表は行っていない。出場国に関しては、野球のアメリカ大陸予選と世界最終予選の日程が未定。一方ソフトボールは全出場国が決定しており、東京五輪における試合日程も発表されていた。

野球出場チーム(全「6」枠)

  • 日本
  • イスラエル
  • 韓国
  • メキシコ
  • アメリカ大陸予選「1」枠
  • 世界最終予選「1」枠

ソフトボール出場チーム(全「6」枠)

  • 日本
  • アメリカ合衆国
  • イタリア
  • メキシコ
  • カナダ
  • オーストラリア

■空手

空手は国・地域ごとに1種目「1」枠まで。出場選手は世界空手連盟(WKF)によるオリンピック・スタンディング(2020年4月6日時点)により決定される。新型コロナウイルスの感染拡大により、3月や4月に開催を予定していた対象試合が中止。一部の階級には影響が出たものの、2020年3月17日に全階級の出場内定選手を発表した。

WKFによる世界ランキングが選考基準となっており、新型コロナの影響で中止になったプレミアリーグ大会を延期開催した場合、ポイント加算対象とする意向が示されている。それによってランキング順位が変わった場合、一部の日本代表内定者に変更が出る可能性はある。

  • 男子 形: 喜友名 諒
  • 男子 組手67キロ級: 佐合尚人
  • 男子 組手75キロ級: 西村 拳
  • 男子 組手75キロ超級: 荒賀 龍太郎
  • 女子 形: 清水希容
  • 女子 組手55キロ級: 宮原美穂
  • 女子 組手61キロ級: 染谷 真有美
  • 女子 組手68キロ超級: 植草 歩
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