Tokyo 2020(東京五輪)に向けた日本水泳連盟が定める競泳の国際大会への派遣標準記録は、世界のなかでもとくに厳しく、国内で優勝しても簡単に日本代表になることはできない。2019年7月の韓国・光州での世界水泳を終え、すでに代表が内定した種目もあるなか、険しい代表争いを勝ち抜き、間近に迫る東京五輪への出場権を手にするのは誰になるのか、より一層注目が高まっている。
2019年7月14日から28日にかけて韓国・光州で行われた世界水泳選手権(世界水泳2019)において、個人種目に限り、金メダル獲得で自動的に東京五輪の同種目代表が内定することになっていた。
そんななかで金メダルを獲得したのは、瀬戸大也、ただ一人。瀬戸は男子200メートル、および男子400メートル個人メドレーで2冠を達成。それぞれの五輪代表も内定した。来年の日本選手権の同種目にも出場すれば確定する。
大橋悠依は女子400m個人メドレー3位で代表権獲得とはならなかったものの、今後の代表争いに向けて弾みをつけた。
一方、リレーの出場枠は決勝出場で確定したため、男女ともに4x100メートル、4x200メートル、4x100メートルメドレーの計6種目で東京五輪出場枠を獲得した。
今後の日本代表争いは、派遣標準記録突破にフォーカスされ、2020年4月の日本選手権が最終選定の場となる。
【東京五輪代表内定】
【東京五輪出場枠確保】
【世界水泳2019の結果】
第97回日本選手権水泳競技大会・競泳競技「ジャパンスイム2021」が東京五輪日本代表選考大会に。日本水泳連盟は、同大会で「決勝で派遣標準記録突破」、「決勝で2位以上」を内定条件と定めた。
各種目の東京五輪代表内定選手は以下の通り。
【男子】
自由形
バタフライ
背泳ぎ
平泳ぎ
個人メドレー
400mリレー
800mリレー
400mメドレーリレー
【女子】
自由形
バタフライ
背泳ぎ
平泳ぎ
個人メドレー
400mリレー
800mリレー
400mメドレーリレー
※リレー種目は第97回日本選手権での派遣標準記録突破選手、選考委員会を経て日本代表内定
東京五輪の競泳では、全35種目が実施される。前回のリオデジャネイロ五輪で実施された32種目に、男子800メートル自由形、女子1500メートル自由形、男女混合4×100メートルメドレーリレーの3種目が追加される形だ。日本と時差のあるアメリカでのテレビ放映時間などが考慮され、2008年の北京五輪と同様に、各種目の決勝レースは午前10時30分から12時30分の間に行われる。実施予定の種目は以下のとおり。
競泳各種目には開催国枠は設けられていない。一方で、各国は最大で男女28名ずつ、計56名までの出場枠を確保することができるが、オリンピックに出場する選手は、国際水泳連盟が定めた参加標準記録をクリアしていなければならない。
リレー種目には16カ国が出場する。そのうち12カ国は2019年7月に韓国の光州で開催される第18回世界水泳選手権大会の出場国に出場権が与えられ、残る4カ国は2019年3月1日から2020年3月31日までの国際大会などでの成績をもとに決定される。
日本水泳連盟が東京五輪の日本代表選手選考の対象として定めた大会は2つ。2019年7月に韓国の光州で開催される第18回世界水泳選手権大会と、2020年4月に行われる第96回日本選手権水泳競技大会だ。
まずは世界選手権の個人種目で金メダルを獲得すると、東京五輪の日本代表に内定する。ただし、2020年の日本選手権で同種目に出場することが条件となる。次に、2020年の日本選手権において、日本水泳連盟が定めた派遣照準記録を突破したうえで、各種目の上位2位以内に入った選手に東京五輪への出場権が与えられる。
日本水泳連盟は「世界で戦える選手を送り込む」という姿勢を取っており、大会主催者が定める参加標準記録とは別に、独自に設定する派遣標準記録は世界各国と比べても厳しいものとなっている。2019年の世界選手権への派遣標準記録は、「派遣標準記録Ⅰ」が8位以内、「派遣標準記録Ⅱ」が16位以内に相当するタイムだ。
2019年4月に行われた日本選手権において、Ⅰ・Ⅱの両方の派遣標準記録を突破し、かつ2位以内に入った選手に世界選手権への出場権が付与された。ただし、50メートル背泳ぎ、同平泳ぎ、同バタフライは派遣標準記録Ⅰの突破選手のみとなっている。世界選手権への派遣標準記録の厳しさが示すとおり、日本勢は、準決勝や決勝に進出できるレベルの力を持っていなければ、世界選手権やオリンピックといった国際大会に出場することはできない。
2021年4月の日本選手権で代表選考が行われた。
2019年の日本選手権において、高いハードルを超え、晴れて世界水泳選手権(世界水泳2019)への出場切符を手にした選手は男女合わせて17名だった。
瀬戸大也は男子400メートル個人メドレー、男子200メートル個人メドレー、男子200メートルバタフライで3冠に輝いた。なかでも200メートル個人メドレーでは、4年ぶりに自己ベストを更新して初優勝。バタフライでは3年ぶりの奪還に成功した。女子では、400メートル個人メドレーで日本記録を保持する大橋悠依(ゆい)が4分33秒02のタイムで3連覇を達成し、200メートル個人メドレーと合わせて世界選手権出場を決めた。
さらに今回の日本選手権では、男子200メートル平泳ぎの小日向一輝(こひなた・かずき)をはじめ、初の世界選手権出場内定を勝ち取った選手が4名誕生している。日本人選手たちの実力は年々拮抗しており、5月末に行われるジャパンオープン2019の成績によって発表される追加選手も含め、国際大会への出場権をめぐる戦いは混戦となっていた。
なお、2019年3月に白血病を患ったことを公表し、闘病中の女子エース池江璃花子と、同月に精神面の不調から無期限の休養を発表したリオデジャネイロ五輪金メダリストの萩野公介にとって、東京五輪への出場枠をつかむチャンスは、2020年4月に行われる日本選手権の一度きりとなる。
【男子】
【女子】
近年の競泳界は「スペシャリスト」よりも多種目で活躍する「オールマイティ」な選手が増えている傾向にある。日本人のなかでも瀬戸や萩野、大橋、池江らは個人メドレーを主としながら、一大会で複数の種目において表彰台を争うレベルのパフォーマンスを披露することができる選手だ。世界では、男子はマイケル・フェルプス(アメリカ、2016年に引退)、女子はカティンカ・ホッスー(ハンガリー)が「オールマイティ」型の筆頭に挙げられる。
ただし、東京五輪においては、予選が夜、準決勝や決勝が朝から昼にかけて行われるといった変則的なスケジュールで開催されることが、マルチプレーヤーにとっては不利な点となる。いかに体調管理を徹底し、タフに戦えるかが勝負の分け目となるだろう。
一方で、日本勢では「スペシャリスト」にも表彰台入りへの期待が高まる。2019年夏の世界選手権代表に内定した渡辺一平は、男子200メートル平泳ぎの世界記録保持者だ。そのほか、世界選手権代表選手で日本記録を保持しているのは以下5名。彼らは世界選手権や東京五輪でのメダル有力候補とされている。
【世界水泳2019の結果】