東京五輪のホッケー(フィールドホッケー)は、男女ともに日本への開催国枠が与えられた。残りの枠は男女各11ずつ。まずは各大陸選手権で出場権獲得チームが決まり、その後、14チームが7つの枠を争うオリンピック予選に突入する。日本はメダルをめざしてのチーム強化に力を注いでいる。
各大陸予選の王者が東京五輪の出場枠を得る
2020年東京五輪でのホッケー(フィールドホッケー)競技は男女それぞれの種目が行われ、各12チームが出場する。1チームあたり16人のメンバーで構成され、男女合わせて384人のホッケー選手が、大井ホッケー競技場のフィールドに立つこととなる。
国際ホッケー連盟(以下FIH)は2018年5月、2020年東京五輪に関して、日本には男女ともに開催国枠を与えることを明らかにした。発表の時点で「サムライジャパン」の通称を持つ男子代表の世界ランキングは16位(2019年5月20日時点で18位)、「さくらジャパン」の愛称を持つ女子代表は12位(2019年5月20日時点で14位)。出場権を与えられるに足る順位を維持していると言えるだろう。
残る11チームずつの出場枠を争う大会は以下のとおりだ。
東京五輪の出場枠を争う大会
- 1:アジア競技大会2018(アジア大陸、2018年8月~9月)
- 2:パン・アメリカン競技大会2019(アメリカ大陸、2019年7月~8月)
- 3:欧州選手権2019(ヨーロッパ大陸、2019年8月)
- 4:オセアニアカップ2019(オセアニア大陸、2019年9月)
- 5:アフリカオリンピック予選トーナメント2019(アフリカ大陸、2019年8月)
- 6:オリンピック予選(2019年11月)
このうち1から5は各大陸の予選で、優勝したチームに2020年東京五輪の出場権が与えられる。ただし、すでに終了したアジア競技大会については「(開催国枠で出場が確定している)日本が優勝した場合、2位チームに出場権が与えられることはない」という規定があり、実際に男子はマレーシアを、女子はインドを決勝で破って日本がアベック優勝を果たしたため、この大会から2020年東京五輪への出場権を得るチームは現れなかった。
アジア予選の優勝チームに与えられるはずだった男女1枠ずつはオリンピック予選に回され、本来6枠ずつだったものが7枠ずつに拡大された。また、その他の大陸大会は2019年7月以降の開催となるため、2019年5月の時点で日本以外に出場権を獲得しているチームはない。
オリンピック予選は14チームで7つの出場枠を争う
6のオリンピック予選には14チームが参加する。2019年11月に開催されるこの大会では2チームずつに分けられ、それぞれ2試合を行って、スコア等で相手を上回った7チームに2020年東京五輪への出場権が与えられる。
FIHはトップレベルの代表チーム8つが参加しているFIHプロリーグで、それに準ずるレベルの24チームを3グループに分けたFIHシリーズファイナルズを主宰しており、FIHプロリーグから上位4チーム、FIHシリーズファイナルズから各グループ2チームずつの6チームがオリンピック予選に参加する。残る4チームは、2018-19シーズン終了時点の世界ランキングから、各大陸予選を勝ち抜いてオリンピック出場権を確保したチーム、オリンピック予選への出場権を確保したチームを除いた上位4チームが選出される。
FIHプロリーグとFIHシリーズファイナルズのなかでは、男子のFIHシリーズファイナルズのクアラルンプールラウンドのみが全日程を終了しており、優勝したカナダと2位マレーシアがオリンピック予選への出場権を獲得している。
また、FIHプロリーグでは、2019年5月15日現在で男子はベルギー、オーストリア、オランダ、イギリスが、女子はオランダ、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギーが上位につけている。ただし消化試合数はチームによってバラつきがあるため、今後、順位が大きく変動する可能性もある。
東京オリンピック出場確定国(11月5日時点)
男子
- 日本(開催国)
- アルゼンチン(アメリカ)
- ベルギー(ヨーロッパ)
- 南アフリカ(アフリカ)
- オーストラリア(オセアニア)
- オランダ
- スペイン
- カナダ
- インド
- ニュージーランド
- イギリス
- ドイツ
女子
- 日本(開催国)
- アルゼンチン(アメリカ)
- オランダ(ヨーロッパ)
- 南アフリカ(アフリカ)
- ニュージーランド(オセアニア)
- オーストラリア
- スペイン
- 中国
- インド
- イギリス
- ドイツ
- アイルランド
日本は男女ともチーム内のサバイバルへ
すでに開催国枠で2020年東京五輪への出場権を確保している日本は、男女ともにメダル獲得に向けて代表チーム強化を進めている。男子は4月下旬から5月上旬にかけてオランダ遠征を実施し、以下の20人が参加した。
オランダ遠征の男子日本代表
- GK:吉川貴史(岐阜朝日クラブ)、新本優(表示灯フラーテルホッケーチーム)
- DF:膳棚大剛(天理大学ベアーズ)、大橋雅貴(LIEBE 栃木)、山田翔太(岐阜朝日クラブ)、霧下義貴(天理大学)、田村陸(山梨学院大学)、藤島来葵(立命館大学)
- MF:北里謙治(ALDER 飯能)、三谷元騎(福井クラブ)、星卓(LIEBE 栃木)、田中世蓮(岐阜朝日クラブ)、 落合大将(LIEBE 栃木)、永吉拳(天理大学)
- FW:村田和麻(小矢部 RED OX)、和久利裕貴(福井クラブ)、山﨑晃嗣(滋賀クラブ)、福田健太郎(岐阜朝日クラブ)、渡辺晃大(福井クラブ)、加藤凌聖(立命館大学)
オランダ遠征では計6試合を実施。サムライジャパンは2勝2分け2敗の成績で帰国した。フランスに5−2、アイルランドに2−2、ポーランドに2−1という結果を残しており、まずまずの手応えを得たと言っていい。6月にはFIHシリーズファイナルズ」の試合が控えており、この舞台も貴重なチーム強化の場となるはずだ。
一方、女子のさくらジャパンは2019年2月に代表候補として以下の26名を発表した。
女子日本代表候補(2019年2月発表)
- GK:景山恵(ソニーHC BRAVIA Ladies)、田中秋桜(山梨学院大学)
- DF:内藤夏紀(ソニーHC BRAVIA Ladies)、錦織えみ(コカ・コーラレッドスパークス)、及川栞(HC Oranje-Rood/オランダ)、浅井悠由(コカ・コーラレッドスパークス)、小野真由美(SOMPOケア株式会社)、星希巳加(ソニーHC BRAVIA Ladies)、野村香奈(南都銀行 SHOOTING STARS)、狐塚美樹(グラクソ・スミスクライン Orange United)、大田昭子(コカ・コーラレッドスパークス)
- MF :松本夏波(コカ・コーラレッドスパークス)、石橋唯今(ホンダロジコム株式会社)、真野由佳梨(ソニーHC BRAVIA Ladies)、 永井葉月(ソニーHC BRAVIA Ladies)、 尾本桜子(山梨学院大学)、 瀬川真帆(ソニーHC BRAVIA Ladies)、 湯田葉月(コカ・コーラレッドスパークス)
- FW:金藤祥子(コカ・コーラレッドスパークス)、森花音(天理大学)、山田明季(コカ・コーラレッドスパークス)、加藤彰子(コカ・コーラレッドスパークス)、永井友理(ソニーHC BRAVIA Ladies)、清水美並(ソニーHC BRAVIA Ladies)、狩野真美(南都銀行 SHOOTING STARS)、河村元美(コカ・コーラレッドスパークス)
女子も2019年6月にFIHシリーズファイナルズの試合がある。こちらは広島県での開催となるため、強化と選手選考に加え、国内での認知度を高める役割を担うことにもなるだろう。
最初に述べたとおり、2020年東京五輪に出場できるのは男女とも1チームあたり16人ずつ。日本代表にとっては、ここから東京五輪出場をめざすチーム内でのサバイバルが激しさを一気に増していく。
東京五輪日本代表内定選手
【男子】
- GK 吉川貴史
- DF 山下学
- DF 膳棚大剛
- DF 大橋雅貴
- DF 山田翔太
- DF 霧下義貴
- MF 三谷元騎
- MF 田中世蓮
- MF 落合大将
- MF 田中海渡
- MF 永井祐真
- FW 田中健太
- FW 北里謙治
- FW 村田和麻
- FW 山﨑晃嗣
- FW 渡辺晃大
【女子】
- GK 浅野祥代
- DF 及川栞
- DF 星希巳加
- DF 狐塚美樹
- DF 錦織えみ
- DF 浅井悠由
- DF 松本夏波
- MF 真野由佳梨
- MF 永井葉月
- MF 瀬川真帆
- MF 尾本桜子
- FW 鳥山麻衣
- FW 野村香奈
- FW 永井友理
- FW 山田明季
- FW 森花音