バドミントンにおける東京五輪の出場枠は、ワールドランキングで算出されたポイントによって割り当てられることになっている。出場権獲得に向けてさまざまな国際大会で凌ぎが削られるなか、日本人同士でも激しい争いが繰り広げられる。果たして2020年のコートに立つのは誰になるのか。
オリンピック出場選手はワールドランキングによって決定
バドミントンの試合はシングルスもダブルスも3ゲーム形式で行われ、2ゲームを先取したほうが勝利を手にする。各ゲームは21点先取のラリーポイント制となっており、20点で並んだ時には2点差がつくまで試合が続けられる。ただし、両者29点で並んだ場合には、30点目を手に入れたほうが勝者となる。つまり、1ゲームにおける最大スコアは30−29ということだ。
オリンピックにおいては、1972年ミュンヘン五輪と1988年ソウル五輪で公開競技として実施され、1992年バルセロナ五輪で正式競技となった。行われるのは、シングルスの男子と女子、ダブルスの男子と女子と混合の5種目。オリンピックの舞台で最も多くのメダルを獲得しているのは中国だ。バルセロナ五輪以降、31個のメダルを手にし、うち18個が金メダルという実績を誇る。2012年ロンドン五輪では、上記の5種目があるなか、そのすべてで金メダルを獲得。表彰台の一番高いところを独占した。銀メダルも2つ獲得している。
2020年東京五輪では、東京都調布市の武蔵野の森スポーツプラザが会場となる。2017年11月に完成した新しい施設はエアコンの風がコートに直接当たらない構造で、風の影響を受けやすい性格のバドミントンを実施するには最適とも言える会場となっている。
出場選手の選考は、世界バドミントン連盟(以下BWF)によるワールドランキングから算出されたポイントによって決定する。ただし、一つの国、または一つの地域から出場できる人数は各種目2名、2組までと決められている。強豪国の一つに数えられるようになってきた日本を筆頭に、各国、各地域で熾烈な出場権獲得争いが始まっている。なお、「開催国枠」と「大陸代表枠」などが存在し、ランキング上位でない選手が出場権を獲得できる可能性もある。
2020年の東京五輪はのべ172名の選手が出場権を獲得
2020年東京五輪に出場できるのは、シングルスの男子と女子でそれぞれ38名、ダブルスの男子と女子と混合で各16組。のべ172名の選手が武蔵野の森スポーツプラザのコートに立つことになる。
既出のとおり、選手の出場枠はワールドランキングで算出されたポイントによって割り当てられることになっている。2019年4月29日から2020年4月26日までの約1年間が選考期間となっており、2020年4月30日付けのワールドランキングに基づき各種目の出場選手が選出される。選考対象となる大会は以下のとおりだ。
ワールドランキングの対象となる大会
- トマス杯・ユーバー杯
- スディルマンカップ
- 世界バドミントン選手権大会
- BWFワールドツアー
- インターナショナルチャレンジ
- インターナショナルシリーズ
- フューチャーシリーズ
- 大陸選手権大会(個人・団体)
- その他多種目競技会での個人・団体戦でBWFの事前認可があるもの
シングルスでは、男子と女子ともに34名の選手がワールドランキング最上位から選ばれる。すでに述べたとおり、各国から出場できるのは最大2名までとなっており、16位以内に同国の選手が2名以上ランクしている場合、該当国には2名分の出場枠が与えられることになる。その他、シングルスには1名の「開催国枠」と、3名の「三者委員会招待枠」が設けられている。開催国枠は、ワールドランキングによる選手選出がされていない場合に限り適用されることになっている。
ダブルスでは、男子と女子と混合ともに16組がワールドランキング最上位から選ばれる。ダブルスも1カ国最大2組までの出場となっており、8位以内に2組以上がランクしている場合、該当国には2組分の出場枠が与えられる。
ワールドランキングで好位置につける日本人選手たち
近年、日本の躍進は著しく、世界的に見てもすでに強豪国の一つ数えられている。記憶に新しいところでは、2016年リオデジャネイロ五輪の女子ダブルスで髙橋礼華(あやか)&松友美佐紀の「タカマツ」ペアが世界一に立ち、女子シングルスでは奥原希望(のぞみ)が銅メダルを獲得。世界に日本バドミントンの強さを印象づけた。
もっとも、リオデジャネイロ五輪でメダルを手にした彼女たちにしても、その立場は安泰ではない。
2018年には福島由紀&廣田彩花(さやか)の「フクヒロ」ペアが「タカマツ」ペアを抜いて世界ランク1位に立った。さらに、永原和可那(わかな)&松本麻佑(まゆ)の「ナガマツ」ペアは2018年の世界バドミントン選手権大会を制覇。2018年冬にはワールドランキング1位から3位までを日本人ペアが独占している。2019年5月7日更新のワールドランキングでは、「フクヒロ」ペアが1位、「タカマツ」ペアが2位、「ナガマツ」ペアが3位と、日本勢がトップ3を独占。2020年東京五輪の出場権獲得に向け、日本人同士が白熱した競争を繰り広げている。なお、女子シングルスでも、山口茜(あかね)が奥原をワールドランキングで追い抜き、1年前の2018年4月に一時トップに君臨している。
男子シングルスでは、桃田賢斗がワールドランキング1位を独走。2018年の世界選手権や2019年のアジアバドミントン選手権の金メダルに続き、東京五輪でもメダル獲得の期待がかかる。ワールドランキングを見ると、桃田に続く日本人選手には、10位の西本拳太と17位の常山幹太がいる。西本と常山が激しく残り1枠を争う構図だ。男子ダブルスでは、園田啓悟&嘉村健士ペアがワールドランキング3位につける。遠藤大由&渡辺勇大ペアも5位に位置しており、世界を相手に上位争いを演じている。
各種目のワールドランキングで好位置につけている日本人選手たち。2020年東京五輪でのバドミントンは、日本勢の活躍が大いに期待できる。