【東京オリンピック出場枠争い】BMX・MTB:BMXパークの中村輪夢、BMXレースの丹野夏波が日本代表に?

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ストリート発祥の都市型スポーツとして80年代から競技として定着し始めたBMX。MTBは郊外の山中コースなどを使う

2020年の東京五輪に向け、自転車競技のBMX、MTB種目でも出場枠の争いは、2018年11月から始まっている。都市型の近代スポーツとして欧米を中心に人気の競技だが、日本は開催国枠の確保だけでなく、中村輪夢、丹野夏波などの存在が世界で活躍しており、メダル獲得が期待できる種目として注目される。

BMXフリースタイル・パーク:東京五輪出場枠争いの概要

東京オリンピックの舞台で、自転車競技のBMXフリースタイル・パークの出場権を得るのは、男女ともに最大9人。うち日本には、開催国枠として1枠(=1人)が与えられているため、残りの8枠を世界各国が奪い合う。

出場枠は個人ではなく、基本的に国に対して与えられる。また、各国代表として選出可能なのは、2005年12月31日より前に生まれた選手のみ。つまり2020年中に少なくとも15歳の誕生日を迎える選手だけが、オリンピックへの出場権を得る。

出場枠配分方法は次の2つ。

  • オリンピック参加資格ランキング:6枠(ランキング1位国に2枠、2位~5位に1枠)
  • 2019年アーバン・サイクリング世界選手権のBMXパークの成績:2枠

五輪参加資格ランキングでは、2018年11月1日から2020年5月11日までの指定大会の成績が、ポイントとして反映される。各国のポイントとは、当該国で最も個人ポイントを多く収集した2選手のポイントが合算されたものとなる。

指定大会と成績基準は以下の通り。

  • UCIアーバンサイクリング世界選手権大会・BMXパーク:2018年と2019年の両成績
  • UCI BMXフリースタイル・パーク・ワールドカップ・ステージ:期間内で最も良かった6大会の成績
  • BMXフリースタイル・パーク大陸選手権:期間内の1大会の成績。期間内に2大会以上開催された場合は、2020年5月12日に最も近い1大会の成績を採用
  • 国際BMXフリースタイル・パーク競技大会:期間内で最も良かった6大会の成績
  • BMXフリースタイル・パーク国内選手権:2019年大会の成績

同ポイントで2カ国以上が並んだ場合、所属選手のBMXフリースタイル・パーク・エリート個人ランキングで、より上位の選手を有する国が、国別ランキングでも上位とされる。もし、日本がオリンピック参加資格ランキング1位になった場合は、日本が2枠を手にする。自動的にオリンピックランキングの6位にも1枠が与えられる。

また、上記条件で出場枠を獲得できなかった国の中から、2019年UCIアーバン・サイクリング世界選手権・BMXパークの成績順で、2カ国に1枠ずつ与えられる。もし、1つも出場枠を獲得できない大陸がある場合は、当該大陸のオリンピック参加資格ランキング最上位国に1枠が許可される。その際はオリンピック参加資格ランキング5位の枠が削られる。

現在のランキング・有力選手など

2019年5月時点、男子で首位を走るのはオーストラリア。2018年世界選手権3位のブランドン・ルーポズと4位ジェイク・ウォールワークは、それぞれ配点の高いワールドカップでも1勝ずつを収めている。また、現世界チャンプのジャスティン・ドーウェルのアメリカが、2位で追いかける。

日本男子は7位。4月のワールドカップ広島大会で、中村輪夢がルーポズに次ぐ2位に入り、オリンピックランキングも一気に上昇した。

女子はアメリカが2位以下に大差をつけて、圧倒的な首位に立つ。世界選女王のペリス・ベネガスと、BMXフリースタイル個人ランキング世界1位のハナ・ロバーツが、東京オリンピックでも金メダル争いを繰り広げるはずだ。

2位はドイツ。3位から8位までは極めて接戦のため、この先のポイント争いが熾烈になりそうだ。日本女子は広島大会4位の大池水杜が唯一のエントリーながら、5位と好順位につけている。

日本人選手の開催国枠・選考争い

すでに日本は開催国枠として、東京オリンピックの出場枠を男女1つずつを確保している。その1枠を巡る選考基準には、日本自転車競技連盟により、4つの条件が設けられた。

(1)以下2つの基準を満たす者

  • A) 2005年12月31日以前に誕生
  • B) 2020年5月12日付けBMXフリースタイル・パーク・エリート個人ランキングで10ポイント以上を獲得している者

(2)2019年・2020年のワールドカップで、準決勝に2回以上進出した者

(3)選考基準(2)を満たす者が出場枠数を超えた場合

→2019年・2020年のワールドカップで、最も上位の成績を出した者を選考する

→同順位の場合は、2番目に良かった成績を比較する

(4)選考基準(2)を満たす者が出場枠数に満たない場合

→2019年・2020年のワールドカップで、最も上位の成績を出した者を選考する

→同順位の場合は、2番目に良かった成績を比較する

2019年シーズンはワールドカップ計3回開催予定。1回目が4月の広島大会で、男子は中村輪夢が、女子は大池水杜が決勝進出を果たした。今後、この2人を迫る存在が登場するか注目となる。

2大会目は5月末から6月上旬にかけてフランスで、3大会目は中国で行われる。2020年のワールドカップ開催日程は未定。

BMXレーシングレース:東京五輪出場枠争いの概要

ランキングや指定大会の成績をもとに、BMXレースで東京オリンピック出場権を勝ち取るのは23人。そこに日本の開催国枠1を加え、男女ともに24人が世界最高峰の戦いに挑む。

出場枠は個人ではなく、国に対して与えられる。各国が得られる出場枠は男女ともに最大3枠(1枠=1人)。年齢制限はBMXパークと同様だ。

出場枠の配分方法は次の3つ。

  • オリンピック参加資格ランキング:18枠(ランキング1・2位国に3枠、3位~5位に2枠、6位~11位に1枠)
  • BMXエリート個人ランキング:3枠
  • 2020年BMX世界選手権大会の成績:2枠

オリンピック参加資格ランキングには、2018年9月1日から2020年6月1日までの、指定大会のポイントが反映される。1国あたりのポイントは、当該国で最も個人ポイントを多く収集した3選手のポイントが合算されたもの。ポイントにエリートとジュニアの区別はない。

指定大会と成績基準は以下の通り。

  • BMX世界選手権大会:2019年と2020年の両大会の成績
  • BMX スーパークロス・ワールドカップ・ステージ:期間内で最も良かった14大会の成績
  • BMX 大陸選手権大会:期間内の1大会の成績。期間内に2大会以上開催された場合は、2020年6月1日に最も近い、1大会の成績を採用
  • 国際競技大会HCクラス:期間内で最も良かった3大会の成績
  • 国際競技大会C1クラス:期間内で最も良かった7大会の成績
  • BMX国内選手権大会(CN):2019年大会の成績

同ポイントで2カ国以上が並んだ場合、2020年6月2日付のBMXエリート個人ランキングでより上位の選手を有する国が、国別ランキングでも上位とされる。それでも順位が決しない場合は、2020年6月2日付のBMXジュニア個人ランキングを比較し、順位を決する。

上記方法で出場枠を得られなかった国の中から、2020年6月2日付のBMXエリート個人ランキングでより上位の選手を有する3カ国に、1枠ずつ与えられる(計3枠)。

さらに同時点で出場枠ゼロの国にも、2020年BMX世界選手権大会エリートでより上位の選手を有する2カ国に、1枠ずつが配分される(計2枠)。

もし、1つも出場枠を獲得できない大陸がある場合は、当該大陸のオリンピック参加資格ランキング最上位国に1枠が許可される。その際はオリンピック参加資格ランキング11位の枠が削られる。

現在のランキング・有力選手など

2019年5月上旬現在、オリンピック参加資格ランキングでは、男子ではフランスとオランダがひとつ頭抜け出した状況だ。

特にフランスは昨年の世界選手権覇者シルヴァン・アンドレと、世界選手権は2位ながら過去2回世界選手権を制し、ジュニア時代から11年連続で世界選表彰台に乗ってきたジョリス・ドデという、2つの柱を擁する。7月末開催の2019年世界選手権では、大量ポイントの獲得が予想される。

また、2015年世界選手権で、史上最年少19歳で世界チャンピオンに輝いたオランダのニエク・キマンは、個人ランキングで首位を走る。

一方の女子は、オランダとアメリカが他を大きく突き放す。特にオランダの世界女王ラウラ・スムルデルスは、2018シーズンはワールドカップ8戦中5戦を制し、圧倒的な強さを誇る。残念ながら今季のワールドカップ初戦は落車し、その影響で翌日の2戦目も好成績を逃した。

日本男子は16位、女子は12位。2019年4月にアジア選手権では、男子は吉村樹希敢が2年ぶり3度目のアジア王者に君臨。女子は丹野夏波が見事な初優勝を飾っている。

日本人選手の開催国枠・選考争い

すでに日本は開催国枠として、東京オリンピックの出場枠を男女1つずつを確保している。ただしオリンピック参加資格ランキングで上位5位以内に入った場合は、順位に対応した枠が約束されている。

国内の選考基準には、日本自転車競技連盟により、4つの条件が設けられた。

(1)以下2つの基準を満たす者

  • A) 2002年12月31日以前誕生
  • B) 2020年6月2日付けBMXエリート個人ランキングで10ポイント以上を獲得している者

(2)2019年・2020年のワールドカップで、準決勝に2回以上進出した者

(3)選考基準(2)を満たす者が出場枠数を超えた場合

→2019年・2020年のワールドカップで、最も上位の成績を出した者を選考する

→同順位の場合は、2番目に良かった成績を比較する

(4)選考基準(2)を満たす者が出場枠数に満たない場合

→2020年のワールドカップ第3・第4戦で、最も上位の成績を出した者を選考する

→同順位の場合は、2番目に良かった成績を比較する

選考対象となるワールドカップは、2019年の全10戦と、2020年の第1戦~第4戦の計14試合。2019年はすでに2戦が終了し、2戦目で女子の丹野夏波が準決勝進出を果たしている。丹野が代表候補最右翼となる。

MTBクロスカントリー:東京五輪出場枠争いの概要

東京オリンピックで、マウンテンバイク(MTB)・クロスカントリーのスタートラインに並ぶのは、男女ともに最大38名。日本は開催国枠として男女ともに1枠(=1人)が与えられており、残る37枠は、国際自転車競技連合(UCI)の定めるルールに則って各国に配分される。

出場枠は個人ではなく、国に対して与えられる。1カ国あたりの最大出場可能人数は男女ともに3。年齢制限はBMX種目同様となる。

出場枠の配分方法は次の4つ。

  • オリンピック参加資格ランキング:30枠(上位2カ国に3枠、3位~7位に2枠、8位~21位に1枠)
  • 2019年大陸選手権の成績:3枠(アフリカ、アメリカ、アジアに1枠ずつ)
  • 2019年マウンテンバイク世界選手権大会のエリート成績:2枠
  • 2019年マウンテンバイク世界選手権大会のU23成績:2枠

オリンピック参加資格ランキングは、東京オリンピックのために特別に制定された。2019年5月28日付け(2018年5月28日~2019年5月27日の競技結果に基づく)と2020年5月28日付け(2019年5月28日~2020年5月27日)の、UCIクロスカントリー国別ランキングのポイントを合算したものが、最終的な出場枠決定に用いられる。

UCIクロスカントリー国別ランキングとは、各国で最も好成績を残した3選手のポイント合算で算出されたもの。また、同ポイントで2カ国以上が並んだ場合、2020年5月28日付けのクロスカントリー個人ランキングで、より上位の選手を有する国が、国別ランキングでも上位とされる。

上記方法で出場枠を得られなかった国の中から、アフリカ、アメリカ、アジアの3大陸に限り、2019年大陸選手権エリート・クロスカントリーオリンピック個人戦で当該大陸で最も上位に入った1カ国に、1枠が与えられる(計3枠)。

出場枠を得ていない国の中から、2019年マウンテンバイク世界選手権大会のエリート種目でより上位に入った2カ国に、1枠ずつ与えられる(計2枠)。それでも出場国を得ていない国には、同大会のU23種目で、より上位に入った2カ国に、1枠ずつが配分される(計2枠)。

現在のランキング・有力選手など

2019年5月上旬のオリンピック参加資格ランキングでは、男子はイタリアとスイスが上位2位につける。とりわけスイスは前回五輪金メダリストにして、7度の世界王者に君臨する(しかも現在4連覇中)のニノ・シューターを擁する。このニノが2年連続で総合優勝を飾り、特に一昨季6戦全勝と完全制覇を成し遂げたワールドカップシリーズは、2019年は5月19日に第1戦目が行われる。

女子は一昨年の世界女王ヨランダ・ネフと、昨年世界タイトルを手にしたケイト・カートネーをそれぞれ擁するスイスとアメリカが、現時点では最大枠3を獲得する位置に付ける。また、日本のオリンピック参加資格ランキングは男子32位、女子は53位。

日本人選手の開催国枠・選考争い

国内の選考基準には、日本自転車競技連盟により、4つの条件が設けられた。

(1)以下2つの基準を満たす者

  • A) 2001年12月31日以前誕生
  • B) 2019年5月28日また、は2020年5月28日付け個人ランキングで10ポイント以上を獲得している者

(2)2018年5月28日から2020年5月27日の期間に開催されたオークラス(Hors classe)以上の大会(世界選手権大会、ワールドカップ、大陸選手権、オークラス)において、出場大会の優勝者と同一周回で競技を終了し、かつ同大会でUCI個人ポイントを獲得した者

(3)獲得出場枠が1~3名の場合

2020年5月28日付UCI個人ランキング最上位の者から、出場枠数に応じ順に選考する

(4)選考基準(2)を満たす者が出場枠数に満たない場合

選考基準(1)を満たす者の中から、2020年4月1日~5月27日開催のC1以上の大会で、各自のベスト3大会で獲得したUCIポイント合計数の多い者から順に選考する

日本選手の中で、オークラス以上の大会でポイントを獲得しているのは、2019年5月上旬現在、全日本選手権10連覇・アジア選手権9回優勝の山本幸平を筆頭に男子は5人いるが、女子はゼロとなっている。

トラック日本代表内定選手

男子短距離

  • 新田祐大
  • 脇本雄太

女子短距離

  • 小林優香

男子中距離

  • 橋本英也

女子中距離

  • 梶原悠未
  • 中村妃智

マウンテンバイク日本代表内定選手

男子

  • 山本幸平

女子

  • 今井美穂

BMX日本代表内定選手

男子レーシング

  • 長迫吉拓

女子レーシング

  • 畠山紗英

男子フリースタイル

  • 中村輪夢

女子フリースタイル

  • 大池水杜
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