【東京オリンピック出場枠争い】バレーボール:2度目の東京五輪で再び頂点へ。開催国枠を得た日本代表は強化の真っただ中

2 執筆者 オリンピックチャンネル編集部
出場枠を得ている日本女子では「木村沙織の後継者」と呼ばれる古賀紗理那がエースとしての活躍を期待されている

前回の東京五輪で初めて行われたバレーボール。その1964年、日本女子は「東洋の魔女」と呼ばれ、自国開催の舞台で金メダルを手にした。開催国枠を与えられている2度目の東京五輪でも、めざすのはやはり表彰台の頂点。大きな目標達成に向かう上で、「Project CORE」と「NEXT4」が重要な意味を持つ。

男女ともに12カ国が出場権を獲得

2020年の東京五輪では男女各12チームが出場権を得る。出場枠の内訳は男女ともに共通で、以下のとおり。最終的に全出場国が出そろうのは2020年6月末となる。

■バレーボール出場枠内訳:男女各12枠

  • 開催国枠(日本):1枠
  • アジア予選:1枠
  • アフリカ予選:1枠
  • 南米予選:1枠
  • ヨーロッパ予選:1枠
  • 北中米予選:1枠
  • 2019年8月開催の大陸間予選(2019年1月1日時点の世界ランク上位24チームが6グループに分かれ対戦)の結果、各グループで1位となった国:計6枠

大陸間予選のグループ分けはすでに決定済みで、プールA~Fまでの6グループに4チームずつが分かれて、総当たり戦を行う。

■大陸間予選グループ分け

男子

  • プールA:ブラジル、エジプト、ブルガリア、プエルトリコ
  • プールB:アメリカ、ベルギー、オランダ、韓国
  • プールC:イタリア、セルビア、オーストラリア、カメルーン
  • プールD:ポーランド、フランス、スロベニア、チュニジア
  • プールE:ロシア、イラン、キューバ、メキシコ
  • プールD:カナダ、アルゼンチン、フィンランド、中国

女子

  • プールA:セルビア、プエルトリコ、タイ。ポーランド
  • プールB:中国、トルコ、ドイツ、チェコ
  • プールC:アメリカ、アルゼンチン、ブルガリア、カザフスタン
  • プールD:ブラジル、ドミニカ共和国、カメルーン、アゼルバイジャン
  • プールE:ロシア、韓国、カナダ、メキシコ
  • プールF:オランダ、イタリア、ベルギー、ケニア

東京オリンピック出場国

2月13日に、FIVB(国際バレーボール連盟)より東京オリンピック本戦の予選ラウンドの試合日程が発表された。

■予選ラウンド組み合わせ

【男子】

プールA

  • 日本
  • ベネズエラ
  • カナダ
  • イタリア
  • ポーランド
  • イラン

プールB

  • ブラジル
  • チュニジア
  • ロシア
  • アルゼンチン
  • アメリカ
  • フランス

【女子】

プールA

  • 日本
  • ケニア
  • セルビア
  • ブラジル
  • 韓国
  • ドミニカ共和国

プールB

  • ロシア
  • イタリア
  • アメリカ
  • アルゼンチン
  • 中国
  • トルコ

※各組上位4チームが決勝トーナメントに進出する。

■予選ラウンド日本の試合日程

【男子】

  • 7月25日(土)16:25~:vsベネズエラ
  • 7月27日(月)19:40~:vsカナダ
  • 7月29日(水)19:40~:vsイタリア
  • 7月31日(金)14:20~:vsポーランド
  • 8月2日(日)19:40~:vsイラン

【女子】

  • 7月26日(日)19:40~:vsケニア
  • 7月28日(火)14:20~:vsセルビア
  • 7月30日(木)19:40~:vsブラジル
  • 8月1日(土)19:40~:vs韓国
  • 8月3日(月)19:40~:vsドミニカ共和国

※放送予定は未定

■決勝トーナメント日程

【男子】

  • 8月4日(火):準々決勝
  • 8月6日(木):準決勝
  • 8月8日(土):決勝、3位決定戦

【女子】

  • 8月5日(水):準々決勝
  • 8月7日(金):準決勝
  • 8月9日(日):決勝、3位決定戦

中田久美監督率いる日本女子と、「NEXT4」に注目の日本男子

開催国枠で出場権が確保されている日本は、東京でのメダル獲得をめざし早くから選手の強化に励んできた。

日本バレーボール協会は「2020年、そしてその先の未来に向けて、バレーボールを活性化し、国民の皆様へ勇気と感動をお届けすることをめざす」というコンセプトをもって、Project COREを発足した。

「CORE」はCoaching(指導方法作成)、Opportunity(体験機会=普及事業)、Recruit(有望選手発掘)、Enhancement(選手強化)の頭文字をとったもので、強化選手を選出し、各選手の年齢に合う大会に積極的に出場することで国際経験を積んできた。

これまでのオリンピックの歴史で金、銀、銅の全色を2つずつ獲得している日本女子はとりわけ、表彰台の入りの期待が高まっている。監督は日本バレーボール史上最年少となる15歳で代表入りを果たした経歴を持つレジェンド、中田久美。圧倒的な実績に裏打ちされた指導力で、多くの選手から厚い信頼を得ている。

選手面では、木村沙織、栗原恵といったスターたちはすでに現役を引退したが、後継者も順調に台頭中。「木村沙織の後継者」と呼ばれ、新ヒロインとして注目される古賀紗理那や、1998年生まれで2017−2018シーズンにはVリーグ最優秀新人賞に輝いた黒後愛などのメンバー入りが有力と見られている。

一方、表彰台のすべての場所に一度ずつ立った歴史を持つ男子だが、近年は低迷期にあった。北京五輪で全敗に終わると、ロンドン、リオデジャネイロと出場権を獲得できなかった。しかし東京五輪でのリベンジを見据え、次世代の日本男子バレー界を担う主軸4選手の「NEXT4」を結成。世界でもトップクラスのサーブを誇り、現在ドイツでプレーする柳田将洋、大学時代に本場イタリアに留学した石川祐希らの活躍が見込まれる。

■女子日本代表2020年登録メンバー

1月27日、JVA(日本バレーボール協会)は女子日本代表"火の鳥NIPPON"の2020年登録メンバーとスタッフを発表した。男子は2月14日時点で発表されていない。

監督

  • 中田久美(JVA)

アウトサイドヒッター

  • 黒後愛(東レ アローズ)
  • 古賀紗理那(NECレッドロケッツ)
  • 新鍋理沙(久光製薬スプリングス)
  • 石井優希(久光製薬スプリングス)
  • 鍋谷友理枝(デンソー エアリービーズ)
  • 長内美和子(日立リヴァーレ)
  • 吉野優理(埼玉上尾メディックス)
  • 井上愛里沙(久光製薬スプリングス)
  • 石川真佑(東レ アローズ)
  • 工藤嶺(デンソー エアリービーズ)
  • 林琴奈(JTマーヴェラス)
  • 曽我啓菜(NECレッドロケッツ)

ミドルブロッカー

  • 岩坂名奈(久光製薬スプリングス)
  • 荒木絵里香(トヨタ車体クインシーズ)
  • 芥川愛加(JTマーヴェラス)
  • 奥村麻依(デンソー エアリービーズ)
  • 渡邊彩(トヨタ車体クインシーズ)
  • 入澤まい(日立リヴァーレ)
  • 及川真夢(岡山シーガルズ)
  • 山田二千華(NECレッドロケッツ)

セッター

  • 宮下遥(岡山シーガルズ)
  • 田代佳奈美(デンソー エアリービーズ)
  • 佐藤美弥(日立リヴァーレ)
  • 関菜々巳(東レ アローズ)
  • 松井珠己(日本女子体育大学4年)

リベロ

  • 山岸あかね(埼玉上尾メディックス)
  • 小幡真子(JTマーヴェラス)
  • 井上琴絵(デンソー エアリービーズ)
  • 水杉玲奈(東レ アローズ)

ブラジルアメリカは男女ともに強さを誇る

前回のリオデジャネイロ五輪は、男子は開催国ブラジル、女子は中国の優勝で幕を閉じた。実際2019年6月18日時点の国際バレーボール連盟(FIVB)のランキングでも、男子はブラジルが首位、アメリカ、イタリア、ポーランド、ロシアがその背中を追っている。女子ではセルビアがトップ、次いで中国、アメリカ、ブラジル、ロシアの順となっており、日本も堂々6位にランクインしている。

世界ランキングをもとにすると、大陸間予選で順当に勝利を収め、本大会への切符を勝ち取りそうなのは男子ではやはりブラジル、アメリカ、イタリア、ポーランド、ロシア、カナダ、アルゼンチンあたりと言えそうだ。女子ではセルビア、中国、アメリカ、ブラジル、ロシア、オランダ、イタリアの出場権獲得が有力視されている。

各大陸予選では、大きな番狂わせがなければ、アジアからは男子がイランや中国、韓国、女子では韓国やタイ、アフリカからは男子がエジプトやチュニジア、女子ではカメルーンやケニアの出場枠に食い込んでくると見られている。南米予選では男子がアルゼンチンやキューバ、女子が同じくアルゼンチン、ヨーロッパ予選では男子がフランスやセルビア、女子はトルコ、ドイツやベルギー、ポーランドなどが混戦を展開する可能性もある。そして北中米予選では、男女ともにドミニカ共和国、プエルトリコなどが東京五輪出場を狙っている。

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