【憶えておきたい5つの名場面】ロシアのオリンピック〜IOCオリンピック公式チャンネル日本語版編集部が厳選〜
女性アスリートの奮闘が目を引く大国
オリンピックにおいて記憶にとどめるべき名シーンが存在するのはどの国も変わらない。世界一の面積を誇り、旧ソビエト連邦時代の1952年のヘルシンキ五輪からオリンピックに参戦しているロシアも例外ではない。近年ではフィギュアスケートのエフゲニー・プルシェンコやテニスのマリア・シャラポア、女子走り幅跳びのダリヤ・クリシナなど、世界的なアスリートの活躍が目立つロシアは、四年に一度の祭典でどれだけの栄光を残してきたのか。5つのハイライトを、関連動画とともに紹介する。
【憶えておきたい名場面①】
15歳の少女が圧巻の演技で金メダル
近年のロシアで世界的名声を得ているオリンピアンはアリーナ・ザギトワだ。2018年2月、平昌冬季五輪のフィギュアスケートで金メダルを獲得した。2002年5月18日生まれで、平昌五輪時は15歳。ショートプログラムでは歴代最高の82.92ポイントをたたき出し会場を沸かせた。
フリープログラムには金の刺繍があしらわれた鮮やかな赤の衣装で登場。バレエ「ドン・キホーテ」の曲にのせて、大舞台にも物怖じせず、難易度の高い3回転ルッツに3回転ループをつける妙技を披露した。ショートプログラムとの合計点は239.57点。同じくロシアのエフゲニア・メドベージェワを抑え、表彰台の頂点に立った。
【憶えておきたい名場面②】
リオ五輪のアーティスティックスイミングで2冠
ロシアはアーティスティックスイミング大国として知られる。シンクロナイズドズイミングと呼ばれていたこのスポーツの施設が整っているうえ、しなやかな動きが共通するバレエの人気が高いのも強さの要因だ。
夏季オリンピックでは計8つの金メダルを獲得。2016年のリオデジャネイロ五輪では、デュエットとチームの両方で世界王者に輝き、存在感を見せつけた。
デュエットとチームの両種目で金メダルを手にしたナタリア・イーシェンコは1986年4月8日生まれ。オリンピック初出場となった2008年の北京五輪から計5個の金メダルを手中に収めた。現役生活を通じて計36個の金メダルを獲得した実力者は、2017年4月に現役引退を発表している。
【憶えておきたい名場面③】
リオ五輪で金メダルに輝いた女子ハンドボール
約1億4000万人と人口の多いロシアだが、意外にもチームスポーツでオリンピックの金メダルを獲得した経験は少ない。
そうした歴史のなかで、2016年、女子ハンドボール代表が残した功績は大きい。1996年のアトランタ五輪からはデンマークが3連覇、2008年の北京五輪からはノルウェーが2連覇と、北欧勢が強さを見せるなか、リオデジャネイロ五輪では見事金メダルを獲得してみせた。
フランス、スウェーデン、オランダなどと同組となったグループBを5戦禅譲で首位突破。準決勝で強敵ノルウェーに38-37に競り勝つと、決勝では後半に一度は追いつかれたものの、フランスを22-19で倒して世界の頂点に立った。
【憶えておきたい名場面④】
レスリングでオリンピック3連覇を果たした英雄
ロシアのオリンピック史上、2番目に多い金メダルを獲得しているのがレスリングだ。古くから広い地域で格闘技の人気が高かった点も競技の強さを後押ししてきた。
ロシアのレスリング界の英雄的存在がアレクサンドル・カレリンだ。190センチを超える長身で、オリンピックにはグレコローマンレスリングの130キロ級に出場。1988年のソウル五輪、1992年のバルセロナ五輪、1996年のアトランタ五輪で3連覇を果たしてみせた。相手の体を背後から抱え、後方に反り投げる「カレリンズリフト」は敵を震え上がらせた。
世界選手権でも9度の優勝を果たすなど、レスリング界に名を残す名手だった。
【憶えておきたい名場面⑤】
18個のメダルを獲得したロシア新体操界の先駆者
ロシアは旧ソビエト連邦時代も含め、オリンピックの体操競技では金銀銅を合わせて50個以上のメダルを手にしてきた。
女子新体操で先駆者と考えられているのが、ラリサ・ラチニナだ。1934年12月27日、現在のウクライナに生まれた。当初はバレエに取り組んでいたが、体操に転向するとほどなく才能を開花させた。
21歳で出場したメルボルン五輪からオリンピックには3大会連続で出場。複数の種目で圧倒的な演技を見せ、9つの金メダル、5つの銀メダル、4つの銅メダルを獲得している。1966年に現役を引退してからは1977年まで代表チームの監督を務め、団体総合では1968年のメキシコシティ五輪から3連覇に導いている。