原修太:Bリーグ発、東京五輪行きのパイオニアになることができるか

千葉ジェッツでプレーする原修太/B.LEAGUE

日本人バスケットボール選手の中でも、ひときわマッチョな体格を武器に、攻守に渡って圧倒的な存在感を発揮しているBリーグ千葉ジェッツの原修太。2018年は、「FIBA3x3ワールドカップ2018」を戦う日本代表メンバーにBリーグから選出され、高い注目を集めた。5人制バスケは、長らくアメリカをはじめとする欧米の強豪国の高い壁に阻まれてきた。しかし、3x3日本代表は開催国枠を使わなくても、2020年東京五輪の出場が狙える好ポジションにいる。5人制、3人制の垣根を超えてコートを躍動する先駆者として、原の活躍に一層の期待がかかる。

日本代表に選ばれながらも…

2018年5月末に、フィリピンのマニラで開催された「FIBA3x3ワールドカップ2018」に向けた3x3日本代表候補が発表された。アジアカップでの銅メダルに貢献した鈴木慶太、小松昌弘、落合知也、野呂竜比人など、順当な顔ぶれがメンバー入りする中、原はアルバルク東京の安藤誓哉、秋田ノーザンハピネッツの保岡龍斗とともに、Bリーグプレーヤーとしてサプライズ召集された。原自身は、Bリーグファイナルの激闘を終えたわずか一週間後、間髪入れずの合宿入りに周囲は驚いたが、見事に代表入りの切符を勝ち取った。

3人制と5人制、そして、リーグの垣根を超えたメンバー召集で得られる相乗効果に期待が寄せられ、そして、3x3日本代表が世界と渡り合っていくための起爆剤として、原自身も「必要不可欠なピース」であることを証明する絶好のチャンスだったが、残念ながら、体調不良によりメンバー外となってしまった。原を欠く日本は、スロベニア、ポーランド、エストニア、インドネシアと同組のプールBで1勝3敗と振るわず、予選リーグ敗退でワールドカップを終えた。

わずか1年でプロ入り

原は1993年12月17日、千葉県生まれ。身長187センチ、体重88キロ。船橋市立高根台第三小学校のときにミニバスケットボールを始めた。その後、高根台中学校、市立習志野高校でもバスケを続け、シュート力を磨いてきた。大学でも続けようと、関東大学リーグ2部だった国士舘大学に進学。2年生のとき、チームの1部昇格に貢献、その後、レベルの高い1部の試合で揉まれ、実力を磨いた。大学3年生の終わりごろからプロ入りを意識するようになり、4年生の2015年12月、アーリーエントリーにて千葉ジェッツへの入団を果たした。

現在のポジションは得点力の求められるSG(シューティングガード)とパワープレーが必要なSF(スモールフォワード)。同じチームのライバルは、同い年であり、2014年アジア競技大会で日本代表にも選ばれ、田臥勇太に続いて日本人として2人目となるNBA選手契約を結んだ富樫勇樹だ。現在はスタメンを争う関係だが、「肉を食べに行こう」と2人で出かける関係でもある。


鍛えた体で鉄壁ディフェンス

国士舘大学時代の原はシューターとして活躍していた。しかし、千葉ジェッツ加入後、ハイレベルな選手たちと一緒に試合に出られるようになるために必要なのは、シュートが入らなくても、ディフェンスやリバウンドで流れを変えて、3ポイントシュートで勢いをつけることを原は知る。さらに、ケガによる戦線離脱を機に、体を生かしたディフェンスを手に入れるため、日々トレーニングを重ね、日本人Bリーガー屈指の胸板と腕の太さを誇る屈強なフィジカルを手に入れた。「ディフェンスから入って、チームを引き締める」という自らの役割に、ずいぶん磨きがかかってきたようだ。

今シーズンのBリーグでは、2019年2月2日にブレックスアリーナ宇都宮で行われた栃木ブレックスとの試合、第2クオーターに石井講祐のファストブレイクの起点となるスティールを決めるなどコート上で躍動。一時は最大で16点差までリードを広げ、最後は接戦に持ち込まれるも、68ー65で競り勝った。この勝利でチーム新記録となる14連勝を達成した。原はメディアとのインタビューで、接戦を制した理由を「終盤の点数を離されたときに、速攻からディフェンスとリバウンドでしっかり粘れたこと」と答えた。また、14連勝という記録について「自分たちのリズムが来ていないときに、しっかり粘り強くできたため」と語った。ピンチでも「粘り強さ」を発揮できるようになったことが、今の原の一番の持ち味となっている。

原は現在、世界ランキングに入っていない。2017-18レギュラーシーズンは24試合の先発を含む57試合に出場し、139得点(1試合平均2.4得点)を記録している。

東京五輪に向けた展望

東京五輪で日本に開催国枠が付与されるかは、2019年3月に決定される。現時点(2019年2月)においては、まだ出場は確実ではないが、付与されるためには、世界で戦える実力を示すことが求められる。ところが日本は、2014年にトップリーグが並立し、ガバナンス面での問題などを指摘され、国際バスケットボール連盟から資格停止の処分を受けた。

しかし、処分が解除された翌年の2016年にBリーグを発足させ、評価と実力を上げている。2019年ワールドカップアジア予選では、現在日本は、予選6連勝中で、ワールドカップ出場圏内となるグループFの3位となっている。ここからの奮闘が絶好のアピールとなり、新種目の3x3も、少なからぬ影響を受けるだろう。

2019年2月7日時点で、日本の男子3x3の世界ランキングは、セルビア、ロシア、スロベニアに続く4位だ。2018年11月~2019年11月までのランキングなどから出場できるのは8チーム。日本が入る可能性は十分にある。

原は「FIBA3x3ワールドカップ2018」に出場する日本代表に選出されたが、体調不良のため大会を欠場。世界という舞台でアピールができていない。東京五輪の日本代表選考では、小松昌弘(RBC東京・TOKYO DIME.EXE)、鈴木慶太(RBC東京・TOKYO DIME.EXE)、落合知也(BREX.EXE)のほか、野呂竜比人選手(RBC東京・BEEFMAN.EXE)、荒川颯(拓殖大学)らが軸になりそうだ。原がこの中に選ばれるためには、シーズンを通じて、アピールし続けることが求められる。

アグレッシブに代表入りを目指せ

強い同僚選手たちを押しのけ、試合に出続けるために、技術面と肉体面で進化を遂げてきた原修太。それを支えてきたのは、持ち前の粘り強さだろう。アグレッシブに相手との距離をつめて、ボールを離させ、ドリブルをつかせる。敵のシューターが嫌がるプレーを1分でも長く続ける。そうやってリズムを狂わせ、ボールを奪い、速攻に移って得点につなげる。まずは日本代表4枠の一角に食い込んで欲しい。そして、東京五輪の舞台で世界の強豪を相手に、そんなプレーを繰り広げる原修太の活躍がみてみたい。

もっと見る