Tokyo2020(東京五輪)の卓球競技は7月24日(土)から8月6日(金)まで東京体育館で行われる。日本は伊藤美誠、石川佳純、平野美宇の3名が代表。日本勢の試合日程は、混合ダブルス、女子シングルス、女子団体の順で、出場種目は下記の通り。
- ・混合ダブルス:伊藤美誠(水谷隼とのペア)
- ・女子シングルス:伊藤美誠、石川佳純
- ・女子団体:伊藤美誠、石川佳純、平野美宇
日本女子は2012年ロンドン五輪で、日本卓球界初となる銀メダルを女子団体で獲得し、2016年リオ五輪でも団体銅メダルを獲得した。東京五輪でも3大会連続のメダル獲得、そして金メダルが期待されている。
組み合わせは、ITTF(国際卓球連盟)が算出した、オリンピックランキングを基準に決定された。ランキング1位が第1シード、2位が第2シードとなり、決勝までは対戦しない。第3・4シードは第1シード側か、第2シード側に入るかはドローで決定。第5~8シードもドローで振り分けられる。
■混合ダブルスのポイントは女子のプレー
混合ダブルスで伊藤/水谷ペアは第2シード。優勝候補で第1シードの許昕/劉詩?ペア(中国)とは決勝まで当たらない。第3シードのチャイニーズタイペイのペアとは準決勝で、第7シードのドイツペアとは準々決勝で対戦することが濃厚だ。
卓球は他のスポーツと比較し、男女のレベル差が少ないと言われているが、やはり男子の方がパワー、スピード、テクニックで上回っている。そのため、混合ダブルスでは女子が男子の打球をいかに対応出来るかが重要となる。
伊藤は男子のプレーにも対応できるテクニックを持っており、同じ卓球クラブ出身である先輩の水谷が、伊藤の変幻自在のプレーを支える。メダル獲得の可能性は高く、決勝で中国ペアを倒しての金メダル獲得も夢ではない。
■女子シングルス、伊藤は第3シード、石川は第5シード
女子シングルスの伊藤美誠は第3シード。過去勝利したことのない第1シードの陳夢ではなく、第2シードの孫穎莎(中国)と準決勝、第7シードの田志希(韓国)と準々決勝で対戦するブロックに入った。
伊藤の実力からすれば、準々決勝まではどの選手が勝ち上がって来ても、勝利する可能性は高い。準決勝では同世代で、常に接戦となるライバルの孫穎莎と対戦するだろう。
もちろん、過去の対戦成績では分は悪いが、伊藤にも勝つチャンスは十分にある。中国選手はともに五輪初出場で、卓球王国・中国の計り知れないプレッシャーを背負いながら戦うこととなる。
それでも勝ち続けてきているのが王者・中国なのだが、伊藤が主導権を握り、さらにプレッシャーをかけることが出来れば、僅かなほころびを見出すことが出来るはずだ。そこからミスなく攻め続けられれば、勝利を掴める。
五輪という大舞台で中国選手に勝利するには、タフで厳しい戦いになるが、伊藤であれば、準決勝、決勝と連続でそのような試合が出来ると信じている。
一方、第5シードの石川佳純は、同じ国の伊藤とは決勝まで対戦しないため、準々決勝で陳夢、孫穎莎、鄭怡静(チャイニーズタイペイ)のいずれかと対戦するブロックとなる予定だったが、ドローで第4シードの鄭怡静とのブロックとなり、準決勝まで中国勢とは対戦しない組み合わせになった。
石川は初出場のロンドン五輪は準決勝と、銅メダル決定戦で敗れ、惜しくも4位。リオ五輪では、銅メダルを獲得したキム・ソンイ(北朝鮮)に、64分の激闘に末に敗れた。3大会目の五輪で、シングルスでの悲願のメダル獲得を目指している。
今年の全日本選手権の決勝では、伊藤美誠が圧倒的有利と予想される中、石川がゲームカウント1-3から逆転勝ちをして、5年振りに涙の優勝を果たした。東京五輪でも、全日本のように最後まで諦めず粘り強く戦い、勝負どころではアグレッシブに攻め切ることが出来れば、中国選手に対しても勝機はあるはずだ。
■順当にいけば決勝は日本と中国の対戦
女子団体は第2シードのため、第1シードの中国とは決勝まで対戦しない。同じブロックには、第4シードの香港、第5シードのチャイニーズタイペイ、第8シードのルーマニアが入ったが、正直、どのチームが来ても日本が準決勝までで負けるイメージは浮かばない。それほどまでに日本の3選手の実力は高い。
順当に決勝まで勝ち進むと、中国との対戦が予想される。銀メダルが確定しているため、日本チームに失うものはない。期待したいのは平野美宇。リオデジャネイロ五輪ではリザーブ選手として帯同し、目の前で試合に出られない悔しさを味わった。2017年のアジア選手権では、中国選手を3連破し優勝する快挙を達成。ハリケーン・ヒラノと称された。決勝では東京五輪第1シードの陳夢に3-0で勝利しての優勝だった。
リオ五輪から5年。団体では1試合目のダブルスから石川とのペアで出場する。ハリケーン級のアグレッシブなプレーをすることが出来れば、アジア選手権のように中国に勝利するチャンスは十分にある。
1988年ソウル五輪の女子ダブルスで、韓国ペアが金メダルを獲得した以外、女子種目の金メダルは中国が独占している。伊藤、石川、平野、それぞれがベストプレーで中国にプレッシャーをかけ続けることが出来れば、勝てない相手ではない。3選手は歴史を塗り替える実力を持った選手達だ。東京でその瞬間をぜひ見てみたい。