【卓球】日本は地元開催のアドバンテージを活かし、2大会連続のメダルを狙う - 卓球男子みどころ

1 執筆者 照井雄太
Niwa / Harimoto / Mizutani

新型コロナウイルス感染拡大によって1年延期されたTokyo2020(東京五輪)が開幕する。卓球競技は、7月24日(土)~8月6日(金)の日程で、東京体育館にて開催される。

日本男子は、張本智和、丹羽孝希、水谷隼の3名が代表だ。試合日程は、混合ダブルス、男子シングルス、男子団体の順番となっており、出場種目は下記の通りとなる。

・混合ダブルス:水谷隼(伊藤美誠とのペア)

・男子シングルス:張本智和、丹羽孝希

・男子団体:張本智和、丹羽孝希、水谷隼

前回大会の2016年リオデジャネイロ五輪では、男子団体で銀メダル、水谷隼が男子シングルス銅メダルと、悲願だったメダルを獲得し、東京五輪でも2大会連続のメダル獲得が期待されている。

■日本チームは選手村へは入らず、ナショナルトレーニングセンターに滞在

開幕が近づき、各国の選手団が来日している。静岡県浜松市でブラジル、東京都府中市でオーストリアなど、関東近辺で事前合宿を行っているチームもあれば、開幕直前に来日し、そのまま選手村へ入村しているチームもある。最大のライバルとなる中国、ドイツ、韓国は事前合宿を行わず、開幕直前の来日となった。

7月19日には本番会場となる東京体育館での公式練習がスタート。日本だけでなく、中国を含め各国チームが練習を行った。日本チームは選手村には入らず、東京・北区のナショナルトレーニングセンター(NTC)を拠点とする。普段から合宿で使用している施設で調整し、自国開催のアドバンテージを最大限に活かして欲しい。

組み合わせは、ITTF(国際卓球連盟)が算出したオリンピックランキングを基準に決定する。ランキング1位が第1シード、2位が第2シードとなり、決勝までは対戦しない。第3・4シードは第1シード側か、第2シード側に入るかはドローで決定。第5~8シードもドローで振り分けられる。

■水谷/伊藤ペアが混合ダブルスで金メダルを狙う

混合ダブルスの水谷/伊藤ペアは、第2シードとなり、優勝候補で第1シードの許昕/劉詩雯ペア(中国)とは決勝まで当たらない。第3シードは林昀儒/鄭怡静ペア(チャイニーズタイペイ)とは順当に行けば準決勝で対戦する。

第4シードの黄鎮廷/杜凱栞ペア(香港)は中国ペアのブロックに入った。どちらも強力なペアだが、世界中から天才と呼ばれ、中国も警戒する林昀儒のチャイニーズタイペイのペアが、より難しい相手になるだろう。

準々決勝では、第7シードのパトリック・フランチスカ/ペトリッサ・ゾルヤペア(ドイツ)と当たる可能性が高い。右利きの男子選手フランチスカが爆発力を持っており、左利きの女子選手ゾルヤペアもダブルスが上手い。

難敵が続くが、水谷/伊藤ペアは2人の実力、実績から考えると、メダル獲得の可能性は高いと言える。さらには、中国ペアを倒しての金メダル獲得も夢ではない。ともに静岡県磐田市生まれで、同じクラブ(豊田町スポーツ少年団)出身の2人のプレーには大いに期待したい。

■男子シングルス、張本は第3シード、丹羽は第12シード

男子シングルスの張本智和は第3シード。第2シードの馬龍(中国)とは決勝まで、第1シードの樊振東(中国)とは準決勝まで対戦しない。準々決勝で対戦が予想されるのは、第5シードで19歳の林昀儒。同世代の戦いは激しいものになりそうだ。

第9シード以下の選手も実力が拮抗しており、誰が勝ち上がってもおかしくない。だが、張本は普段どおりのプレーができれば、準決勝まで進む実力を持っている。ベスト4まで勝ち進み、中国選手に対し、爆発した最高のプレーを見てみたい。

一方、丹羽孝希は第12シード。勝ち上がれば、第7シードのドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)、第4シードのヒューゴ・カルデラノ(ブラジル)と強敵が待ち構える。

だが、誰が相手でも丹羽らしいアグレッシブなプレーを見せて欲しい。独特な緊張感がある五輪では、過去にも波乱が起きてきた。本番に強い丹羽であればサプライズを起こす力を持っているはずだ。

■男子団体はシングルスで張本の2勝が条件

男子団体で第3シードの日本は第1シードの中国ではなく、第2シードのドイツのブロックに入り、第4シードの韓国が中国のブロックに入った。リオ五輪も同様のシード順で、ドローでドイツ側となった日本は、準決勝でドイツに勝利し、決勝で中国に敗れたが、銀メダルを獲得している。

ただ、ドイツと戦う前にも難敵が立ちふさがる。日本が初戦のオーストラリア戦に勝てば、準々決勝で対戦するのは、第5シードのスウェーデンが有力。ダブルスが強く、2019年世界選手権2位のファルクがいる。

また、ドイツもすんなり勝ち進めるかどうかはわからない。同じブロックには第7シードで、エース林昀儒、2013年世界選手権ダブルス優勝の荘智淵/陳建安ペアのチャイニーズタイペイが入った。

日本のメダル獲得はリオ五輪での水谷の様に、張本が常にシングルスで2勝することが必須条件となるだろう。初の五輪出場となる張本を、丹羽、水谷が結果で支えることが出来れば、メダル獲得することが出来るはずだ。

リオ五輪で初のメダルを獲得した日本男子。東京五輪では3種目でメダル可能性があるが、思い切って悔いが残らないプレーをしてもらい、新たな歴史を作ることに期待したい。

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