卓球界の「怪物」張本智和とは一体どんな人物?

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張本 智和

ブエノスアイレスにおいて開催中の夏季ユースオリンピック、その中でも特に名を轟かせるのが日本選手団の団長をつとめる男子卓球の張本智和(はりもと ともかず)である。

彼はわずか15歳にしてその特異な才能で世界を手中に収めようとしている。

この卓球界の天才児の名が世界に知られ始めたのは、昨年8月に行われた ITTF(国際卓球連盟)ワールドツアー・チェコオープンでのこと。たった14歳と61日という年齢で史上最年少優勝という歴史的勝利をとげた。

今回のユースオリンピックの男子シングルスでは惜しくも中国の王楚欽に金メダルを譲り渡し2位に終わったが、2年後の東京オリンピックではその活躍が期待される。

果たして張本選手とは一体どんな人物なのだろうか?

張本選手の卓球のルーツ

張本選手はフィギュアスケートのスーパースター羽生結弦と同じ宮城県仙台市出身で、2003年6月27日生まれ。

両親はともに中国出身の元卓球選手、家族のDNAに卓球の血が流れている。

父親の宇はもともと仙台卓球センターでコーチをしており、母親の凌は1995年の世界卓球選手権の中国代表である。

この様な両親の元に生まれた張本選手はわずか2歳でラケットを握った。

小学生時代

張本選手の上達の早さは眼を見張るものであった。わずか3歳と4ヶ月という年齢で地元の大会において8歳未満の部で4位を収め、7歳で全国チャンピオンに輝く。

2年後には全国大会のジュニア男子シングルスで自分の年齢の倍もある選手を相手に試合に挑んだ。

他の選手達は自分よりも経験のある選手に圧倒されていたにも関わらず、張本選手にとっては相手が強ければ強いほど、その逆境が勝つためのモチベーションになった。

2015年10月にはワルシャワにおけるITTFワールドツアー・ポーランドオープンにおける男子シングルスに参戦、最年少の選手として第一ラウンドに進んだ。

わずか12歳の張本選手は中国のオリンピックチャンピオン馬龍と対戦することなる。

この試合においては馬選手に全く歯が立たなかったが、将来有望な選手として注目されるようになる。

そして翌年の2016年、13歳の誕生日を迎える前にこの天才児はジャパンオープン荻村杯(∪—21)で史上最年少選手として優勝し、その年の12月の世界ジュニア卓球選手権でもシングルスのトップになる。この頃にはもう大人にも引けを取らないほどの腕を上げていた。

東京に拠点を移す

世界ジュニア卓球選手権で優勝した後、張本選手は自分の人生にとって大きな決断をすることになる。

2016年3月に地元仙台の小学校を卒業した張本選手は、さらに腕を上げるために東京に拠点を移すことにし、4月にJOCエリートアカデミーに入校した。

「エリートアカデミー」は全国から集められたトップアスリートたちをスポーツ面、教育面の両方から育成する目的で設立されたが、張本選手が入校してからその効果はすぐに現れてきた。

大きな前進

2017年に入るとITTFワールドツアー・インドオープンで大きな活躍をした。

張本選手は年上の選手たちを次々に下して決勝まで進み、惜しくも歴代チャンピオンであるドイツのドミトリ・オフチャロフに敗れる。

その年の6月にはリオ・オリンピック銅メダリストである水谷隼を破り、堂々の世界選手権デビューを果たした。

当時13歳だった張本選手はドイツ・デュッセルドルフの世界選手権ではベスト8に入り、中国オープンでは準決勝まで残った。

しかし張本選手が本当に歴史を変えたのは2017年の8月27日のことである。

14才と61日という年齢で、史上最年少の選手としてオロモウツで行われたチェコオープンでの男子シングルスを制する。

張本選手はドイツのスーパースター、ティモ・ボルを下して世界でのトップの位置を不動のものにした。それでも彼の挑戦は止まない。

張本選手はチェコで優勝した直後、「2020年の東京オリンピックでは男子シングルス、男子団体で金メダルを取りたいが、それには今後も練習を重ねる」と語った。

順調に前進

記録は塗り替えられ続けている。

今年のはじめに行われた全日本卓球選手権大会の男子シングルス・ジュニアの部において史上最年少で優勝(14歳と207日)。

4月のアジアカップでは世界ランキング1位の樊振東(中国)を下し、6月のジャパンオープン荻村杯では馬龍(中国)を本国において破った。

決勝ではロンドンオリンピック金メダリスト張継科(中国)に勝ち、北九州市においてITTFワールドツアー2度目の優勝を飾った。

ブエノスアイレス・ユースオリンピックと今後の挑戦

オリンピックへ向けての新たな挑戦がアルゼンチンの首都であるブエノスアイレスにおいて始まった。

第3回夏季ユースオリンピックでの試合を前に張本選手は男子シングル、団体での金メダル宣言。

現地10日に行われた男子シングル準決勝では「台湾の張本」とも称される17歳の林昀儒を見事下して決勝に進出したが、同日決勝で対戦した中国の王楚欽(18)にゲームカウント1−4と大敗を喫した。

男子シングルでは惜しくも銀メダルに終わったが、12日に行われる混合団体戦での金メダルへの希望はまだまだ捨ててはいない。

試合後にアップしたインスタグラムでは「1番輝く色は団体で獲れるように頑張ります。」と決意を新たにした。

本人は積極的に使うバックハンドが自分の最強の武器だと語るが、それよりも強い武器は彼の強靭な決意である。

張本選手の心の奥底には揺るぎない自分に対する信念がある。その信念は金色に輝く未来につながっていくであろう。

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