五輪でのボクシングの歴史は古く、古代オリンピックまでさかのぼる。近代オリンピックではストックホルム大会(1912年)を除き、全ての大会で実施されてきた。Tokyo2020(東京五輪)では、開催国の日本勢の活躍も期待される。ここではボクシングのルールや見どころ、注目選手などを紹介する。
ボクシングの楽しみ方
■ルール
勝敗は、ポイントによる勝敗、棄権などによるT.K.O.(テクニカルノックアウト)、レフェリーが試合を止めるレフェリーストップ、K.O.による勝敗、どちらかの負傷や失格による勝敗などでつく。
攻撃手段は左右のパンチのみで、対象は相手の上半身、トランクス上部の「ベルトライン」よりも上に限定されている。
■大会形式
試合は6.1メートル四方のリングの上で行う。ラウンド数はプロとは違い、男女とも3分×3ラウンドの短時間での決戦となっている。大会方式は、グループステージなどはなく、勝ち抜きトーナメントで実施される。
■楽しんで見るポイント
拳と拳、上半身のみを攻撃、というシンプルなルールが、多彩な攻撃スタイルを生み出している。強打を持ち味とする選手は積極的にパンチを浴びせ、相手を消耗させるスタイル。一方、ディフェンスに定評のある選手はガードを固め、相手の攻め疲れを待ち防御の隙をついた一撃でK.O.をものにすることもある。このように、それぞれ得意な戦法を組み合わせて勝利を目指す。選手個々の戦い方にに注目することで、より試合を楽しんで観ることができるだろう。
種目
【男子】
- フライ級(48-52kg)
- フェザー級(52-57kg)
- ライト級(57-63kg)
- ウェルター級(63-69kg)
- ミドル級(69-75kg)
- ライトヘビー級(75-81kg)
- ヘビー級(81-91kg)
- スーパーヘビー級(91kg超)
【女子】
- フライ級(48-51kg)
- フェザー級(54-57kg)
- ライト級(57-60kg)
- ウェルター級(64-69kg)
- ミドル級(69-75kg)
注目選手
リオデジャネイロ五輪では、ウズベキスタン勢が3個、キューバ勢が3個の金メダルを獲得した。アメリカ、フランス勢の活躍も目立つ。中でもキューバは近年実力者が多く、ロンドン大会でも2選手が金メダルに輝いた。
オリンピックでのボクシングはこれまでアマチュア選手のみに限定されていたが、リオデジャネイロ大会(2016年)からプロにも解禁された。東京オリンピックはどれだけプロ選手が出場するか未知数だが、その勢力図の動きが注目される。
岡澤セオン:男子ウェルター級
日本人選手では岡澤セオンが注目選手の一人だ。1995年12月21日生まれで、ガーナ人の父と日本人を持つ。少年時代はレスリングに親しんでおり、高校時代からボクシングを始めた。中央大学進学後は、1年次に全日本ボクシング選手権大会と国民体育大会のライトウェルター級に出場し、国体では3位入賞。4年次には国体のライトウェルター級で準優勝を果たしている。
東京五輪アジア・オセアニア大陸予選では5位に入り、オリンピック出場を決めている。
東京オリンピック日本代表内定選手(3月12日時点)
【男子】
- ウェルター級/63~69kg級:岡澤セオン
【女子】
- フライ級/48~51kg:並木月海
- フェザー級/54~57kg級:入江聖奈