11月25日から12月1日まで、バドミントン全日本総合選手権が駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で開催される。各種目ともトーナメント方式で行われ、3位決定戦は実施されない。男子単・女子単の優勝者に内閣総理大臣杯、男子複・女子複・混合複の優勝者に文部科学大臣杯が授与される名誉ある大会だ。今年度の栄冠は誰の手に——注目選手をチェックしよう。
シングルスは「世界の桃田」、ダブルスは「ソノカム」ペアに注目
中学生、高校生、大学生、社会人と各世代のトップ選手が集う全日本総合選手権。特別な大会であり、この大会で優勝することは「小さいころからの夢」と語るバドミントン選手も多い。
男子シングルスで圧倒的な存在感を誇るのはやはり、2019年11月時点の世界ランキングで1位に君臨する桃田賢斗だろう。2015年度、そして2018年度も本大会で優勝している桃田は、世界選手権2連覇中。11月上旬に行われた福州中国オープンでも頂点に立ち、この一年間で10個目となるタイトルを手にするなど、その勢いはとどまるところを知らない。
左利きの桃田の強さは持久力に支えられた「守り」にある。相手選手に攻撃させておいて、普通の選手であれば返せないようなスマッシュも難なく返す。ラリーが続いている間に相手が疲労からミスをするパターンも多く、きっちりとポイントを稼いでいくスタイルだ。世界ランク14位の常山幹太、15位の西本拳太と白熱した争いが繰り広げられそうだ。
男子ダブルスでは、世界4位の園田啓悟&嘉村健士(かむら・たけし)ペア、6位の遠藤大由(ひろゆき)&渡辺勇大(ゆうた)ペアが優勝候補と目されている。結成15年となる「ソノカム」ペアは同い年で同じ身長、抜群のチームワークが光る。2017年の世界選手権で3位、2018年は2位と着実に順位を上げており、30歳で迎える東京五輪に向けて彼らのモチベーションは一段と高まっている。
奥原希望と山口茜の強さが光る女子シングルス
近年、強豪国の仲間入りを果たしている日本女子は、リオデジャネイロ五輪でシングルスの奥原希望(のぞみ)が銅メダル、ダブルスでは髙橋礼華(あやか)&松友美佐紀の「タカマツ」ペアが金メダルを獲得したことが記憶に新しい。
奥原は福州中国オープンでは惜しくも決勝で敗れて準優勝に終わったが、現在世界ランク3位につけ、全日本総合選手権でも過去に2度の優勝経験を持つ。156センチと体格的には決して恵まれてはいないが、驚異の柔軟性と反射神経、抜群のコントロールで勝利をつかむ。また、世界ランクではその奥原より下の4位ながら、全日本総合選手権で2連覇中なのが山口茜(あかね)だ。相手が返しにくいコースに打つことで消耗させて、最後に自慢の跳躍力で繰り出すジャンピングスマッシュで勝負を決める。
一方のダブルスでも、日本勢の強さは目を見張るものがある。
2018年と2019年の世界選手権で2連覇を果たしている永原和可那(わかな)&松本麻佑(まゆ)の「ナガマツ」ペアは世界3位、2017年の世界選手権で銀メダルを獲得し、本大会では2連覇中の福島由紀&廣田彩花(さやか)の「フクヒロ」ペアが2位、そして「タカマツ」ペアが4位と世界ランク上位を独占。どのペアが優勝してもおかしくない。熾烈な三つ巴の戦いが見込まれる。
混合ダブルスでは渡辺勇大&東野有紗ペアが3連覇を狙う
混合ダブルスでももちろん、世界ランク上位に位置するペアがいる。
3位につける渡辺勇大&東野有紗ペアだ。同ペアが今年も優勝した場合、3連覇を達成することになる。特に渡辺は前述のとおり、遠藤とともに男子ダブルスにも出場するため、2冠を達成する可能性は十分にある。
渡辺と東野は福島県の同じ中学校に在学中に先輩後輩でコンビを組んで以来7年、着実に力をつけてきた。一年先輩の東野と左利きの渡辺は、2018年の全英オープンで見事優勝。渡辺が多彩なショットでチャンスをつくると、東野が得意のジャンピングスマッシュで得点したり、東野がネット前から相手を崩した場合には渡辺が強力なスマッシュを決めたりするなど、長年のコンビネーションから繰り出される息の合ったプレーが武器だ。
混合ダブルスでは保木卓朗(ほき・たくろう)&永原和可那のペアにも注目だ。世界ランクは24位。2019年8月の世界選手権では3回戦まで駒を進めている。同ペアは2018年の全日本総合選手権で決勝進出を果たしており、渡辺&東野ペアの3連覇の前に立ちはだかるだけの実力を備えている。