リオデジャネイロ五輪の日本女子新体操では、皆川夏穂が個人総合で3大会ぶりに出場。団体の「フェアリージャパンPOLA」も、ロサンゼルス五輪で8位入賞を果たした山崎浩子が強化本部長となり、順調に強化を進めている。2018年9月に行われた世界新体操2018では、2大会連続となる銀メダルを団体種目別で獲得した。東京五輪では、さらなる活躍が期待されている。
上限撤廃で20点超えのスコアも登場。新体操のルールは?
東京五輪では33競技・339種目が行われる。その中で新体操は「体操」に分類される。体操競技、いわゆる「体操」では床運動や器械を用いた演技を行うが、新体操ではフープ、ボール、クラブ、リボンといった手具を用いた演技を行う。最近は男子新体操も注目されているが、東京五輪は女子のみで、個人総合と団体総合が行われる。
新体操の競技者は、13メートル四方のフロアマット上で、手具を用いながら音楽に合わせて演技。これを審判団が、D得点(難度/上限なし)とE得点(実施/最高10点)の合計で採点する。新体操はオリンピックの翌年にルール改正が行われるが、それ以外の年にも、細かく採点基準が変更される。
D得点は身体難度(BD)、ダンスステップコンビネーション(S)、回転を伴ったダイナミック要素(R)、手具難度(AD)の4要素で採点。2017年までは最高10点だったが、2018年から上限なしとなっている。E得点は減点方式で、手具の落下や身体表現、音楽との一致などが評価の対象となる。
また、手具についても細かく規定されている。フープは直径80〜90センチで、重量300グラム以上。クラブは長さ40〜50センチで、重量150グラム以上。ボールは直径18〜20センチで重量400グラム以上。リボンは幅4〜6センチ、長さ6メートル以上、重量35グラム以上、スティック部の長さは40〜60センチで直径1センチと決められている。
団体は、1チーム5人で2回の演技を行う。1回は5人が同じ手具を使って演技を行い、もう1回は2種類の手具を組み合わせて演技を行う。個人の演技時間は1分15秒から1分30秒以内だが、団体の演技時間は2分15秒から2分30秒以内と定められている。また、手具難度ではなく、連係(C)がD得点の対象となる。
2018年9月、ブルガリアのソフィアで開催された世界新体操では、団体総合でロシアが金メダルを獲得。2回の演技の合計点は46.300。5位のフェアリージャパンは40.650だった。また、個人総合の金メダルに輝いたのは、ロシアのディナ・アヴェリナで、4種目の合計は81.450。対して日本の皆川は12位で、トータルスコアは70.950だった。ちなみに、ディナ・アヴェリナには双子の姉アリーナがおり、こちらも同大会の種目別でメダルを獲得するなど、トップアスリートとして活躍している。
新体操のルーツはバレエ。日本では人気漫画のヒロインも普及にひと役
新体操のルーツは、ヨーロッパで発展した舞台舞踊「バレエ」にあるとされる。これが1920年代になってからドイツやソビエト連邦(現ロシア)で競技として確立。1963年にハンガリーで第1回世界新体操選手権が行われた。オリンピックでは、1984年のロサンゼルス五輪から個人総合が正式種目に採用され、1994年のアトランタ五輪から団体も正式種目となった。
日本が初めて国際大会に参加したのは、1969年、ブルガリアのバルナで開催された第4回新体操世界選手権。その後、ロサンゼルス五輪で山崎浩子が8位に入賞したことや、あだち充の人気漫画『タッチ』のヒロインが新体操をしていたことなどから、広く一般に知られるようになった。ただ、これまで団体を含め、日本人選手がオリンピックでメダルを獲得したことはない。
オリンピックで金メダルを独占しているのはロシア。団体総合ではシドニー五輪からリオデジャネイロ五輪まで5連覇を達成。個人総合でも選手を替えながら、ロシア代表の選手が5大会連続で金メダルを獲得している。
日本は東京五輪の開催国のため、団体と個人で出場枠を1ずつ確保している。団体の日本代表はフェアリージャパンの愛称で親しまれ、トライアウトなどでメンバー選考が行われている。個人の代表選手は、直前の世界大会の成績、あるいは選考会などで決定される見込みだ。
進歩を続ける日本新体操界。東京五輪で表彰台を目指す
フェアリージャパンは2017年イタリア・ペザーロで開催された第35回世界新体操選手権の団体種目別のボールと&ロープで銀メダル、フープで銅メダルと二つメダルを獲得、オリンピックでも行われる団体総合で銅メダルを獲得した。
また、皆川夏穂も個人種目別のフープで銅メダルを獲得する快挙を果たした。これにより、東京五輪での表彰台に大きな期待が寄せられている。また、2018年10月に行われた夏季ユースオリンピックでは、高校1年生の山田愛乃が個人総合で8位に入賞。皆川や喜田純鈴、大岩千未来に迫る勢いを見せている。
果たして、日本新体操史上初となるオリンピックでのメダル獲得となるか。東京五輪の新体操は、現在建設中の有明体操競技場で、2020年8月7日から9日までの3日間で開催されることが決まっている。