髙藤直寿:TwitterやYouTubeも駆使する「新種」の柔道家は悲願の金メダルを目指す【アスリートの原点】

東海大学2年次に世界チャンピオンに

文: オリンピックチャンネル編集部

リオデジャネイロ五輪の銅メダリストの髙藤直寿(たかとう・なおひさ)は、2020年2月のグランドスラム・デュッセルドルフ大会を制し、東京五輪の柔道男子60キロ級代表に内定した。コロナ禍の影響により、この大会以来、実戦からは遠ざかっているが、新技を研究するなど日々の稽古でバージョンアップを図っている。癒しの存在である愛犬の名前は「炭治郎」。悲願の金メダル獲得に向け、「全集中」で東京五輪に挑む。

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小・中・高で日本チャンピオンに

髙藤直寿(たかとう・なおひさ)は1993年5月30日、栃木県下都賀郡国分寺町(現在の下野市)で生まれた。幼少期からやんちゃで、あまるほどのエネルギーを発散するため、7歳の時に近所の道場で柔道を始めた。基礎は警察官の父親仕込み。「相手を思い切り投げるのが楽しかった」と語ったことがあるように、すぐにその魅力にのめり込んだ。

小学3年次には下都賀郡野木町にある野木町柔道クラブに移った。先輩には後に2016年リオデジャネイロ五輪柔道男子66キロ級で銅メダルを獲得した海老沼匡がおり、同クラブの福田健三会長のもと、恵まれた環境でさらに技を磨いた。

小学5年次の2004年には、新たに創設された全国小学生学年別柔道大会の小学5年男子40キロ級で初代チャンピオンに輝く。準優勝はのちに阿部一二三としのぎを削ることになる丸山城志郎だった。続く2005年には小学6年男子45キロ級で優勝。準優勝はのちに世界団体2大会連続金メダルの高市賢悟だ。当時から高藤の技術は際立っていた。

中学は地元の栃木を離れ、神奈川県の名門・東海大相模中等部へ。そのまま系列校の東海大相模高等学校、東海大学へと進んだ。本人いわく「一番勝てていた時代」。中学3年次の2008年には全国中学校柔道大会の男子60キロ級を制し、高校2年次、3年次にはインターハイ(全国高等学校総合体育大会)の男子60キロ級で連覇を達成する。

ジュニアからシニアへの転換期となるこの時期、なかなか勝利を掴めず苦しんでもいた。そんな中、高校3年次の2011年講道館杯全日本柔道体重別選手権大会に出場し、2位の好成績を収めた。講道館杯優勝で自信をつけた高藤。大学2年次の2013年には世界柔道選手権大会の男子60キロ級を制し、ついに世界王者になった。

金メダル獲得を唯一の目標として臨んだリオデジャネイロ五輪では、準々決勝での1本負けを喫した。何とか気持ちを奮い立たせ、敗者復活戦を勝ち抜いて銅メダルを獲得したが、「自分の中で“魔物”を作り上げてしまった」と心の乱れを悔いた。

現役柔道家兼YouTuberとして活動

周囲の期待も自身の思いも「金メダル」だっただけに、リオ五輪でのつまずきのショックは大きかった。だが、同時に柔道と真摯に向き合うようになったという。支えてくれる人たちへの感謝する気持ちを思い出した。高藤が感謝するひとりが男子日本代表監督の井上康生だ。

井上監督は、その高藤のひととなり、そして我流のスタイルをして「新種」と話す。高藤の柔道は、相手の動きに応じて次々に攻め手を変え、組み合う前に技を仕掛けていく。十八番は「高藤スペシャル」。相撲の「櫓(やぐら)投げ」に似たオリジナル技だ。

SNSを駆使する点も他の柔道家とは一線を画す。2012年頃には、自身の試合を見てTwitterをフォローしてきた4歳年上の女子柔道選手・牧志津香にダイレクトメッセージを送って畳上さながらの猛アタックを仕掛ける。約2年間の交際を経て2014年に結婚。学生結婚、授かり婚ということでも話題になった。

2019年10月にはYouTubeチャンネル「TAKATO NAOHISA高藤直寿」を開設し、現役柔道家にしてYouTuberとなった。日本代表チームのハワイ合宿の様子や小学生時代、高校時代の試合の様子、東京五輪代表内定の報告など、コンテンツは多岐にわたり、前述の「高藤スペシャル」の解説動画も惜しみなく公開している。

2020年2月、グランドスラム・デュッセルドルフ大会優勝で、東京五輪の柔道男子60キロ級代表に内定した。東京五輪後には、現役柔道家兼YouTuberとして「金メダル獲得の報告」動画を公開することが期待される。

選手プロフィール

  • 髙藤直寿(たかとう・なおひさ)
  • 柔道選手男子60キロ級
  • 生年月日:1993年5月30日
  • 出身地:栃木県下都賀郡国分寺町(現在の下野市)
  • 身長・体重:160センチ/60キロ
  • 出身校:下野市立国分寺小(栃木)→東海大相模中(神奈川)→東海大相模高(神奈川)→東海大(神奈川)
  • 所属:パーク24
  • オリンピックの経験:リオデジャネイロ五輪 男子60キロ級 銅メダル)
  • ツイッター(Twitter):高藤直寿TAKATO NAOHISA(@naohisatakato)
  • ユーチューブ(YouTube):TAKATO NAOHISA高藤直寿

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