【体操】男子日本代表残り2枠の行方は?東京五輪代表選考へ最終決戦・全日本種目別選手権

文: マンティー・チダ

体操競技におけるTokyo 2020(東京五輪)日本代表の選考対象となる大会は、6月5日(土)と6日(日)に開催される「第75回全日本体操種目別選手権」のみとなった。

5月に行われた「NHK杯体操」の時点で、男子団体枠2名と女子団体枠4名が決定。残ったのは男子団体の2枠と、男女個人枠となった。選手たちにとってみれば東京五輪へ向けて最後の関門。いったいどのようなクライマックスが待っているのだろうか。

まずは男子。個人枠の争いは鉄棒の内村航平と、跳馬の米倉英信による一騎打ちとなってきた。ともに全日本個人総合選手権(予選・決勝)、NHK杯の3試合で15点台を叩き出している。大幅減点となる失敗演技をしない限り、この2人のどちらかが出場枠を獲得することになるだろう。

■男子団体枠の残り2枠はチーム貢献選手として選出

次に団体枠。NHK杯体操優勝の橋本大輝と2位の萱和磨が代表内定し、残りは2枠となった。残り2枠の代表選考について、日本体操協会は「チーム貢献選手」として選出することをすでに発表している。

チーム貢献選手としての選出条件は以下の通り。

1.NHK杯5位以内の選手から選考

2.次の条件の、いずれかの選手から選考

  • NHK杯10位以内
  • NHK杯30位内かつ選出対象次点チームに合計1点以上の差で上回っている
  • 世界ランキング獲得選手(5試合中4試合で3位以上かつ、3試合1位以上。加えて3種目以上でチームに貢献)

3.NHK杯個人総合上位2名との組み合わせで算出されたチーム得点(ベスト3)が最も高くなる選手を選出

■3人目は谷川航が濃厚、4人目は北園丈琉、三輪哲平、武田一志の争い

これらを踏まえて、橋本や萱と激しく上位争いをしてきた選手が有力視されることになるだろう。まずはNHK杯で3位に入った谷川航。世界選手権では2度の団体総合銅メダルに貢献している。

跳馬が得意な谷川航は、全日本個人総合選手権で萱を上回る2位に入っており、総合力においても橋本や萱と比べて、遜色がないと考えて良さそうだ。全日本種目別選手権では全種目にエントリーしている。自分の演技ができれば、代表内定へ当確ランプが灯るだろう。

4人目の選考は難しくなる模様だ。NHK杯で4位の三輪哲平、5位の武田一志、2018年のユースオリンピック大会において、男子個人総合と種目別で史上初となる計5個の金メダルを獲得した北園丈琉が控えている。

北園は五輪選考初戦となった全日本個人総合選手権までは選考レースの先頭を走っていた。予選ではトップに立つものの、決勝の鉄棒で落下し6位となり、落下により右肘の剥離骨折、両ひじの靱帯損傷と診断を受ける。NHK杯には間に合わせたものの、ひじのコンディションは戻っておらず、9位に入るのがやっとだった。

北園が故障前の構成で演技を難なくやり遂げれば、4人目に滑り込む可能性は十分にある。全日本種目別選手権では、全日本個人総合選手権と同じ演技構成に戻すことを宣言しており、カギを握る技がひじへ負担がかかる鉄棒のトカチェフ。トカチェフをしっかり決め切れば、代表内定へ大きく前進するものと思われる。

もちろん、三輪や武田もここで負けるわけにはいかない。三輪は清風高校時代に出場したスーパーファイナルで2位に入り頭角を現した。難技ロペスを構成に入れる跳馬や鉄棒が得意種目。武田はミスをしない安定感に定評がある。29歳と代表に入れば最年長となり、国際試合の経験も豊富で、若い選手が多い団体において精神的支柱となれる選手だろう。

■女子の個人枠は現時点で獲得できていない

女子は、団体(チーム)枠がNHK杯までの結果を踏まえて決定している。個人枠においては、男子と同様に最大2人まで可能であるが、個人枠を争うはずだったアジア選手権が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止が発表され、規定により2019年世界選手権の結果から配分されることになった。

男子は世界選手権団体総合で3位に入ったことで個人枠を1つ確保しているが、女子は5月末時点で確保に至っていない。今後、仮に個人枠を確保できたとしても、全日本種目別(予選・決勝)の2試合を通して、2019年世界選手権種目別決勝4位の得点に達する必要がある。

【派遣標準得点】

  • 跳馬(14.733)
  • 段違い平行棒(14.733)
  • 平均台(14.000)
  • ゆか(13.966)

すでにチーム枠で選出された4選手以外から、派遣標準得点を突破できる選手が現れるのか。NHK杯までの成績で派遣標準得点を突破している選手は見当たらない。仮に枠を確保したとしても、今回の全日本体操種目別選手権で派遣標準得点を突破しないと、五輪への道は厳しいことになるだろう。