森ひかる:スーパーの屋上に設置された遊具に魅了され、14歳で史上最年少の日本一に輝く【アスリートの原点】

「東京五輪で金メダル」をめざし、石川県の高校に越境転校

文: オリンピックチャンネル編集部
2019年12月、トランポリンの世界選手権で日本勢初の個人種目優勝を果たした。東京五輪での表彰台は射程圏内と言っていい

2019年12月、東京五輪本番と同じ会場となる有明体操競技場で開催されたトランポリンの世界選手権において、森ひかるは男女通じて日本勢初の個人種目優勝を果たし、東京五輪代表に内定した。彼女は4歳上の双子の兄2人とともに地元の東京でジャンプの魅力を知り、成長を遂げてきた。

2017年の世界選手権では団体で4位入賞(左端)。高木裕美(右から2人目)とのシンクロでは銀メダルを獲得している

1回200円の遊具がとにかく楽しかった

もし 「あの場所」にトランポリンがなかったら──。森ひかるが世界の頂点に立つことはなかったかもしれない。

トランポリンの魅力を知ったのは4歳のころ。地元の東京都足立区にあるスーパーの屋上に設置されていた遊び用のトランポリンで跳んだのがきっかけだった。1回200円で7分間使える遊具が「とにかく楽しくて」何度も通った。最初は遊びのつもりだったが、やがて4歳違いの双子の兄2人とともに、近所の「江北なかよしトランポリンクラブ」に通い始める。5歳の時には地元の大会で早くも優勝し、頭角を現した。

成長を促したのは、2人の兄の存在だった。体格の違いもあって、どんどん高いレベルのクラスに進んでいく兄たちの姿を見て、「なんとか追いつこう」と持ち前の負けず嫌いな根性に火がついた。長兄の晴太郎は、のちに日本のジュニア強化選手に選ばれるほどの実力の持ち主。兄の背中を追いながら、妹もめきめきと力をつけていった。

2019年にはワールドカップで2つの銀メダル、世界選手権において日本勢の男女通じて初の個人競技金メダルを獲得してみせた

シドニー五輪で6位の丸山章子監督のもと成長

2008年には、多くの日本代表選手を送り出しているフリーエアースポーツクラブに移った。すると、同年に全日本ジュニア選手権低学年の部で優勝を果たし、初めて日本一に輝く。2011年には世界選手権の11~12歳の部を制し、ジュニア年代の世界一に立った。

2013年には大きな出来事が2つあった。

一つは、14歳という史上最年少で達成した全日本トランポリン競技選手権初優勝だ。「残れてラッキー」と無欲で決勝の舞台に臨んだことが奏功した。独特な雰囲気にのまれることなく、10本のジャンプをすべて真ん中でぴたりと跳び、初の栄冠を手にした。

そしてこの年、2020年のオリンピック開催地が東京に決まった。トランポリンは18歳以上の年齢制限があるため、リオデジャネイロ五輪には出場できない。この時から、森の目標は「東京五輪で金メダル」に設定された。

高校は地元の都立足立新田高校に入学したが、1年の秋にさらなる成長をめざして、トランポリンが盛んな石川県の金沢学院東高等学校(現金沢学院高等学校)へ転校する。シドニー五輪のトランポリン競技で6位入賞の実績を持つ丸山章子監督のもとで技を磨いた。高校卒業後は金沢学院大学に進学すると、2018年のアジア競技大会で銀メダル、世界トランポリン選手権の個人で5位、シンクロで金メダルと躍進した。

そして2019年にはロシアとスペインで行われたワールドカップの2大会において個人銀メダル、世界選手権において日本勢の男女通じて初の個人競技金メダルを獲得し、いよいよ東京五輪での表彰台入りが現実味を帯びてきた。東京生まれのヒロインが華麗なジャンプで観客を沸かせる。

選手プロフィール

  • 森ひかる(もり・ひかる)
  • トランポリン選手
  • 生年月日:1999年7月7日
  • 出身地:東京都足立区
  • 身長/体重:159センチ/51キロ
  • 出身校:江北中(東京)→足立新田高(東京)→金沢学院東高(石川)
  • 所属:金沢学院大学クラブ
  • オリンピックの経験:なし
  • インスタグラム:森ひかる Mori hikaru(@\hikapoline\
  • ツイッター:森ひかる Hikaru Mori(@hikapoline)

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