【柔道】阿部詩、渡名喜風南、素根輝。東京五輪で金メダルを狙える選手たち

文: マンティー・チダ

東京オリンピックが7月23日に開幕。柔道競技は24日から始まる。

今回は日本柔道女子で特に注目される階級をピックアップ。金メダルを目指す選手たちを紹介する。

◆対外国選手48連勝の記録を持つ阿部詩

女子52kg級には阿部詩が出場する。

世界選手権では2018年、2019年と連覇を成し遂げ、2018年には兄の一二三とともに兄妹で金メダルを獲得。今年に入ってからグランドスラムで2勝を上げるなど、五輪本番へ向けて順調な仕上がりを見せている。

阿部の得意技は内股と袖釣込腰。兄の一二三同様に体幹の強さを生かした瞬発力から放たれる豪快な立ち技が阿部の特徴だ。一二三が試合で繰り出す技を観察してノートに書き留めていきながら、その技を自分のものにしていったという。寝技にも積極的に取り組むなど、立ち技、寝技、どちらでも攻められるスタイルを築き上げてきた。

阿部は2016年3月、チューリンゲンカデ国際で国際大会デビューを果たすと、2019年11月のグランドスラム・大阪の準決勝まで、対外国選手に怒涛の48連勝を達成。対戦相手には、リオデジャネイロ五輪金メダリストのマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)、ワールドマスターズを過去2回制覇したアモンディーヌ・ブシャール(フランス)も含まれている。

今大会でも苦手とするライバルは見当たらないことから、自分の柔道をやり切れば表彰台が自ずと見えてくるはずだ。同じ日には、一二三が挑む男子66kg級も行われる。同日に兄妹同時金メダルという歴史的な瞬間が訪れる可能性もありそうだ。

◆渡名喜風南は3強対決を制することができるか

女子48kg級は、1988年ソウル五輪から女子柔道が公開競技として実施以来、谷(旧姓田村)亮子が長年君臨していた階級だ。2010年に谷が現役引退後、五輪で金メダルを獲得することができていない。

今大会は渡名喜風南が出場する。これまで世界選手権で金メダルを2回、銀メダルを1回獲得し、東京五輪でも第3シードにエントリーされている。第1シードのディストリア・クラスニキ(コソボ)、第2シードのダリア・ビロディド(ウクライナ)と、リオデジャネイロ五輪以降に世界選手権金メダルを獲得した2人を含めて3強という見方が強い。

過去の対戦成績ではクラニスキに2勝1敗、ビロディドとは1勝4敗。シード順で勝ち上がれば、渡名喜は準決勝でビロディドと対戦する可能性がある。

渡名喜とビロディドが直近で顔を合わせたのは、2021年1月のワールドマスターズ。それまで2019年世界選手権決勝を含めて4連敗中だったが、5度目の対戦でようやくビロディドに勝つことができた。

ただし、もうひとりのライバルと目されているクラスニキと同決勝で対戦し、敗れている。通算成績では上回るものの、直近の対戦では敗れているというわけだ。

いずれにしても渡名喜にとって、クラニスキとビロディドから勝利することが金メダル獲得へ向けて避けて通れない道となりそうだ。

◆自分の柔道をやり切れば自ずと金メダルが狙える素根輝

女子の最重量級となる78kg超級には、素根輝が出場する。

2019世界選手権で優勝するなど、世界トップクラスの実績を誇る。特にザグレブ・グランプリ2019から個人戦に限れば、国際大会4連勝。東京五輪メダル獲得に向けて視界良好だ。

2019世界選手権を初制覇し、11月のグランドスラム・大阪を制したことで、曽根は柔道勢としては一番乗りで五輪代表の切符を獲得していた。競技へ集中するため、2020年7月まで在学していた環太平洋大学を中退し、4月から日本大学へ進学することを発表。1年3か月ぶりの試合となった3月のグランドスラム・タシケントではオール一本勝ちで優勝としていた。

曽根のライバルと目される1番手は、第5シードのロマヌ・ディッコ(フランス)だろう。今年に入り、ワールドマスターズ2021、グランドスラム・テルアビブで2勝するなど、国際大会6連勝中。この階級では一番勢いがある選手だ。

破壊力抜群の柔道スタイルは、見るものを魅了する。曽根とディッコは2017年世界ジュニア選手権で対戦し、その時は曽根が勝利している。もっとも、対戦は4年も前のもので力関係を推し量るには不十分なデータだ。五輪本番でも厄介な存在になることは間違いないだろう。

もう1人あげるとすれば、2008年北京五輪金メダリストで、3大会連続でメダルを獲得しているイダリス・オルティス(キューバ)。曽根とオルティスの対戦成績は、曽根の3勝1敗だが、決して侮れない存在だ。

2018世界選手権やワールドマスターズ2018の決勝で曽根はオルティスを下している。ただし、2018年グランドスラム・大阪では、組み手争いで劣勢を強いられ、技を仕掛けられないまま反則負けを喫している。組み手で互角の戦いに持ち込めるのかが、勝利へのポイントになりそうだ。

シード順で勝ち上がれば、決勝で顔を合わせる可能性もある。2004年アテネ五輪塚田真紀以来の金メダル獲得へ、自分の戦いを貫けるのかがポイントとなりそうだ。