「柔道ニッポン」東京五輪代表内定選手が世界と対戦…ワールドマスターズ、グランドスラム振り返り

芳田司、田代未来、素根輝、阿部一二三らが優勝。 原沢久喜、ウルフアロンらも手ごたえ
文: マンティー・チダ

2020年12月13日、男子66キロ級日本代表内定選手決定戦で、阿部一二三が丸山城志郎との激戦を制したことで、Tokyo 2020(東京五輪)の柔道は、男女14階級全ての代表内定選手が決まり、そのうち8階級の選手が初出場となった。

前回のリオデジャネイロ五輪では金メダル3個、銀メダル1個、銅メダル8個を獲得。国別では金メダル、メダル総数ともに1位。Tokyo 2020(東京五輪)でも多くのメダルが期待できる柔道ニッポン。五輪代表に内定している選手を中心に直近の国際大会を振り返る。

◆芳田司が寝技を駆使してワールドマスターズを制覇

カタールのドーハでは1月11日から13日まで、2021年ワールドマスターズが開催された。ワールドマスターズは国際柔道連盟主催の国際大会で、年に1回のみ行われる。オリンピックや世界選手権に次ぐ大会として位置付けられ、出場できる選手も世界ランキングの上位36名までとされており、Tokyo 2020(東京五輪)本番を占う大事な大会と見られた。

五輪代表内定組からは向翔一郎(男子90キロ級)、原沢久喜(100キロ超級)、渡名喜風南(女子48キロ級)、芳田司(女子57キロ級)、濵田尚里(女子78キロ級)が出場。

コロナ禍の影響から調整面で心配されたが、芳田は得意の寝技を駆使して見事に優勝。渡名喜と濵田も準優勝に輝く一方で、向と原沢は2回戦敗退。五輪代表内定に選出されなかった、2018年の世界選手権銅メダルの大野陽子(女子70キロ級)が優勝するなど、選手層の厚さを見せた大会でもあった。

◆田代未来がオール一本勝ちの圧勝、阿部詩、新井千鶴、素根輝も優勝

ワールドマスターズの下に位置付けられているのがグランドスラム(GS)。1年に6大会行われるが、コロナ禍により日本は、2月のテルアビブ大会(イスラエル)には選手を派遣せず、3月のタシケント大会(ウズベキスタン)と、4月アンタルヤ大会(トルコ)に五輪代表内定選手らを送り込んだ。

3月5日から7日まで行われたタシケント大会には、男女合わせて11階級にエントリーし、五輪代表内定組からは永瀬貴規(男子81キロ級)、阿部詩(女子52キロ級)、田代未来(女子63キロ級)、新井千鶴(女子70キロ級)、素根輝(女子78キロ超級)が出場した。

阿部詩は、昨年2月のGSデュッセルドルフ大会(ドイツ)以来、1年1カ月ぶりの実戦。準決勝までの3試合全てを一本勝ちで勝ち上がり、決勝は不戦勝で優勝に輝いた。

「試合勘を取り戻し、緊張感の中でどれだけ自分の動きができるのか」を目標とし、コロナ禍によって試合が遠ざかっていたこの1年を新技開発に充てていた。得意な形に持ち込めなかったが、どんな局面でも勝利を掴み取ることで優勝という結果に繋いだ。

田代は決勝でアンドレヤ・レスキ(スロベニア)を小外刈で下すなど、決勝までの5試合をオール一本勝ちとして仕上がり万全をアピール。1年4カ月ぶりの実戦となった素根も、準決勝までの3試合全てで一本勝ち。決勝はベアトリス・ソウザ(ブラジル)が指導3つをもらって反則負けとなり優勝。

新井も準々決勝で12分の熱戦を制するなど消耗戦となったが、勝負強さを発揮して制した。一方リオデジャネイロ五輪銅メダリストの永瀬は3位に終わった。

◆阿部一二三が大会を制して順調さをアピール

4月1日から3日まで行われたアンタルヤ大会には、男子4階級、女子1階級にエントリー。国内選考で激闘の末に代表内定を勝ち取った阿部一二三(男子66キロ級)は1年2カ月ぶりの国際大会となった。阿部は2回戦から登場、決勝ではアルベルト・ガイテロマルティン(スペイン)を延長の末に優勢で下して優勝。Tokyo 2020(東京五輪)に向けて順調な仕上がりを見せた。

ウルフ アロン(男子100キロ級)は右ひざのケガから復帰して初の実戦。「五輪前に自分の現在地を確認できた」と決勝で敗れて準優勝に終わったが、手応えを十分に感じていた。試合勘を取り戻していけば、まだまだ力を出していける状況のようだ。

ワールドマスターズに続く参戦の原沢も、決勝で敗れたが準優勝。2回戦敗退から立て直した原沢は「(アジア・オセアニア選手権も含めて)外国勢と7試合し、結果が出て、良い経験になった」と納得の表情だった。一方の向はワールドマスターズに続いて2回戦敗退。「自分の弱さを分かった。愚直にやるしかない」と決意を示す。

コロナ禍の影響で心配された試合勘も、国際大会に参加したことで戻りつつある日本勢だが、7月末のTokyo 2020(東京五輪)に向けて、さらなるコンディション向上が求められる。

◆ワールドマスターズ大会結果

  • 男子100キロ超級 原沢 久喜(百五銀行)2回戦敗退
  • 男子90キロ級 向 翔一郎(ALSOK)2回戦敗退
  • 男子73キロ級 橋本 壮市(パーク24株式会社)2位
  • 男子60キロ級 永山 竜樹(了德寺大学職)欠場
  • 女子78キロ級 濵田 尚里(自衛隊体育学校)2位
  • 女子70キロ級 大野 陽子(コマツ)優勝
  • 女子63キロ級 鍋倉 那美 2位
  • 女子57キロ級 芳田 司(コマツ)優勝
  • 女子52キロ級 志々目 愛(了德寺大学職)2位
  • 女子48キロ級 渡名喜 風南(パーク24株式会社)2位

◆GSタシケント大会結果

  • 男子100キロ超級 影浦 心(日本中央競馬会)優勝
  • 男子90キロ級 長澤 憲大(パーク24株式会社)優勝
  • 男子81キロ級 永瀬 貴規(旭化成株式会社)3位
  • 男子60キロ級 永山 竜樹(了德寺大学職)優勝
  • 女子78キロ超級 素根 輝 優勝
  • 女子78キロ級 梅木 真美(ALSOK)優勝
  • 女子70キロ級 新井 千鶴(三井住友海上火災保険株式会社)優勝
  • 女子63キロ級 田代 未来(コマツ)優勝
  • 女子57キロ級 玉置 桃 (三井住友海上火災保険株式会社)優勝
  • 女子52キロ級 阿部 詩(日本体育大学2年)優勝
  • 女子48キロ級 角田 夏実(了德寺大学職)2位

◆GSアンタルヤ大会結果

  • 男子100キロ超級 原沢 久喜(百五銀行)2位
  • 男子100キロ級 ウルフ アロン(了德寺大学職)2位
  • 男子90キロ級 向 翔一郎(ALSOK)1回戦敗退
  • 男子66キロ級 阿部 一二三(パーク24株式会社)優勝
  • 女子78キロ級 濵田 尚里(自衛隊体育学校)優勝