東京五輪・男子テニス総括

錦織圭が単複でベスト8進出...男子シングルスの金メダルはズベレフが獲得!

文: 神 仁司
写真: 2021 Getty Images

Tokyo 2020(東京五輪)男子テニスは、シングルス・ダブルスで錦織圭がベスト8進出。シングルスではアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が金メダルを獲得した。ここでは東京五輪・男子テニスを振り返る。

■錦織が単複でベスト8! 

収穫もあったオリンピックだったので、これを機に大きなステップを踏みたい。

東京五輪・テニス競技、男子シングルス準々決勝で錦織圭(ATPランキング69位、大会時、以下同)は、第1シードのノバク・ジョコビッチ(1位、セルビア)に2-6、0-6で敗れ、オリンピック2大会連続のメダル獲得はならなかった。

(ジョコビッチは)強かったですね。終始何もできずに終わったので悔しい気持ちが大きいです。

これまでジョコビッチとの対戦成績は錦織の2勝16敗(錦織の棄権負け2回含まず)で、錦織の15連敗中(錦織棄権負け1回含まず)。錦織の勝利は、2014年全米オープン準決勝まで遡らなければならない。

錦織は、東京で酷暑の続く中、単複で6日連続の試合となり、「(疲れは)多少はもちろんありました」と語りつつも、持てるすべての力をジョコビッチにぶつけた。今回のオリンピックでは錦織のグランドストロークが好調で、トップ10時代を彷彿とさせた。伸びのあるストロークでジョコビッチを追い詰める場面はあったが、ことごとくジョコビッチ特有のコートカバーリングが広い驚異的な守備でかわされた。逆にジョコビッチは鋭いショットを返し、錦織のミスを誘った。第1セットも第2セットも共に、第2ゲームで錦織が早々とサービスブレークを許してしまったことも、ジョコビッチが優位にゲームを進める要因となった。今後錦織は、トップ10復帰を目指すにあたり、対トップ10選手に対するサーブからのポイントの作り方、特にセカンドサーブからのポイントの作り方を、マックス・ミルニーコーチと取り組むべきだろう。

また、「シングルスとダブルスを戦うのは簡単ではなかった」と語ったものの、錦織はマクラクラン勉(ATPダブルスランキング38位、以下ダブルスランキングはDを付ける)と組んだ男子ダブルスにも出場してベスト8に進出した。特に2回戦では、第7シードでイギリスペアのジェイミー・マリー(D22位)/ニール・スクプスキ(D16位)を6-3、6-4で破るシードダウンを演じた。

イギリスペアは、2人ともグランドスラムタイトルを保持しているダブルス強者だったが、ツアー屈指のショットメイカーである錦織の力が発揮された。さらにマクラクランとのコンビネーションも良く、日本男子ペアとしては1920年アントワープ大会で銀メダルを獲得した熊谷一弥/柏尾誠一郎以来、実に101年ぶりのベスト8に進んだ。

東京オリンピックで錦織がさまざまな競技のアスリートたちから刺激をもらったことは、今後の彼のキャリアに良い影響へとつながっていくだろう。

とても刺激になっていて毎日試合を見ています。ソフトボール、卓球、競泳も見たが、みんなとても良くやっていて、そのことが刺激になっているのは間違いない。それこそ、オリンピックに出場する良い点です。大勢のアスリートたちが頑張っている姿を見ることができるし、競技は違ってもいろいろな感情が湧いてきます。

そして、錦織の母国・日本で開催された特別なオリンピックであり、コロナ禍ではあったものの最初で最後の貴重な経験となったのは間違いない。

すごく感謝したいですね。開催されたことにもそうだし、たくさんの方のサポートがあって、今日もプレーできているので。メダルを取る位置、準決勝までは行きたかったというのはありましたけど。やっぱりちょっとそこは悔しいですね。子供というか、将来夢のある人たちに見てもらいたかったなっていうのは、正直一番ありますよね。オリンピックを出る1つの意味ではありました。

すでに錦織は再始動しており、8月第1週のATPワシントンD.C.大会に参戦している。夏の北米ハードコートシーズンを戦い、8月30日からニューヨークで開催されるグランドスラム・全米オープンに照準を定めていく。

「収穫もあったオリンピックだったので、これを機に大きなステップを踏みたい」と語る錦織が、東京で見せた躍動するようなテニスを続けられるのであれば、今後大きな結果を残して飛躍できるチャンスをつかみ取れるはずだ。

■男子シングルスはズベレフが初の金メダル獲得!ジョコビッチはメダルゼロに終わる

男子シングルス決勝では、第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(5位、ドイツ)が、第12シードのカレン・ハチャノフ(25位、ROC=ロシアオリンピック委員会)を、6-3、6-1で下して、金メダルを獲得した。テニス競技のシングルスで、ズベレフはドイツ男子選手として初めてのゴールドメダリストに輝いた。ドイツ勢でシングルスでの金メダル獲得は、1988年ソウルオリンピック・女子シングルスのシュテフィ・グラフ以来となる。

オリンピックでの金メダルは、他のタイトルと比較できないです。スポーツで最大のイベントで、比べられないです。とりわけテニスでは。オリンピックの金メダルは、自分にとってこれ以上ないほど価値あるものです。自分のためでだけでなく、ドイツのために戦っているから。

決勝でズベレフは時速210kmを超えるサーブが好調でサービスエース6本を決め、ファーストサーブでのポイント獲得率は83%に達した。またサーブからの3球目攻撃がよく決まり、さらに攻めが早くスピードの乗ったグランドストロークがハチャノフサイドに深く入り、27本のウィナーを記録。1時間19分のズベレフの完勝だった。

今は最高の気分です。ゴールドメダリストなんて信じられない。あまりにもかけ離れた話だから、夢にも見たことなかったです。

24歳のズベレフは、東京でオリンピックデビューを飾ったが、初出場ながら見事金メダルを獲得し、改めて非凡な才能を証明してみせた。

一方、金メダル候補筆頭だったノバク・ジョコビッチ(1位、セルビア)は、3位決定戦で敗れてメダルゼロに終わった。

3位決定戦のファイナルセット第3ゲーム直後に、ジョコビッチはネットのポールにラケットを叩きつけて壊し、コードバイオレーション(警告)を受けるありさまだった。またミックスダブルスの3位決定戦を右肩のけがで棄権し、誰もが予想しなかった結末を迎えた。

「悔いはない」とジョコビッチは振り返ったが、日本特有の蒸し暑さに苦しめられて疲労が蓄積していき、自分のテニスを見失った。男子選手で誰も成し遂げていない年間ゴールデンスラム達成(グランドスラム4大会全制覇+オリンピック金メダル獲得)への夢も断たれてしまった。

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